今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
攻玉社中学校
2016年05月掲載
2016年 攻玉社中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
(問)次の俳句の空欄【A】~【E】に当てはまるものを次の(ア)~(コ)の中から選び、さらにその場所を地図上の(い)~(ぬ)の中からそれぞれ一つずつ選び、記号で答えなさい。
- 柿くへば鐘が鳴るなり【A】
- 荒海や【B】に横たふ天の川
- 春風や牛に引かれて【C】
- 流氷や【D】の門波(となみ)荒れやまず
- 五月雨を集めてはやし【E】
- (ア)善光寺
- (イ)筑後川
- (ウ)伊勢
- (エ)宗谷
- (オ)増上寺
- (カ)法隆寺
- (キ)夕張
- (ク)佐渡
- (ケ)津軽
- (コ)最上川
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この攻玉社中学校の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答
- 【A】俳句:カ、地図:ち
- 【B】俳句:ク、地図:ほ
- 【C】俳句:ア、地図:へ
- 【D】俳句:エ、地図:い
- 【E】俳句:コ、地図:に
解説
提示されている俳句に当てはまる地名や川の名前を選ぶときには、俳句の構成である五・七・五という音の数も手がかりにすることができます。たとえ、当てはまる内容が何であるのかわからなかったとしても、言葉の音を数えることによって、地名や川の名前を選ぶことも可能となるでしょう。一方、地図から場所を選ぶ場合についてです。これらの場所を選ぶ時も、ものによっては知識がなくても考えることができます。たとえばDの俳句です。Dの俳句は「流氷や」という言葉から始まります。「流氷」という言葉からイメージを広げていくと、海が近いところ、寒いところ、北海道といった情報を引き出すことができます。寒いところであり、なおかつ、流氷の流れ着くところといったことを手がかりにすると、「い」であると考えることができるでしょう。
俳句は、少ない言葉をたよりとし、詠まれている内容をイメージしていくことで、そこに描かれた情景、趣を汲みとることができます。自分の中にあるさまざまな情報をつなぎ合わせることでも、そこに詠まれた内容を味わっていくことができるのです。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
この問題では、提示されている俳句の中に、当てはまる地名や川の名前を選び、俳句を完成させていきます。さらに、俳句で詠まれている土地がどこであるのか、日本地図の指し示す場所の中から選びます。ここで扱う内容は、国語という科目だけにとどまるのではなく、社会という他科目の範疇にも及ぶ思考力が求められています。
この問題に取り組む時には、俳句に詠まれている内容と、日本地理に関する知識とを結び付けて総合的に考え、判断していく必要があります。子どもたちは、入試当日の「国語」という教科の中で、他教科とも関連する問題に出会い、緊張感と戸惑いが混在する状況の中ではありながらも、これまでの自分自身の持つ知識や情報を引き出し、頭と心を動かしながら、この問題に取り組んだのではないかと考えます。
さまざまな情報を関連させ、総合的に考える力は、これから先もずっと使い続けることのできる力です。そんな入試だけにとどまらない、今後生きていくうえでも大切な力が試されているという点に魅力を感じました。
このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。