シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

城北中学校

2016年04月掲載

城北中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.過程重視の学びを入試問題に反映させる

インタビュー2/3

問題の配置は易しい問題から徐々に難しく

清水先生 本校の算数の入試問題は大問5題の構成です。大問1が計算問題(2題)、大問2が小問集合問題(6題)、大問3〜5は取り上げた分野についてそれぞれ3つの設問を出しています。

問題の配置は、易しい問題から始まって徐々に難しくなるように心がけています。

最初の計算問題は受験生に落ち着いてもらう“ウォーミングアップ”の意味合いもあります。答えもあまり細かい数字にならないようにしています。最後の問題まで解いてもらうために、小問集合問題も計算があまり面倒にならないようにしています。計算力は問題を考える土台になるので、しっかり練習しておきましょう。

立体図形は中学の授業でも多くの時間を割いているということもあり、伝統的によく出題している分野の1つです。立体図形はものの見方を計るのに適していますから多少難しくても出したいと思っています。東京私立男子中学校フェスタの体験授業で入試問題を解説しているので、そうした機会を利用していただければと思います。

 入試委員長/清水団先生

入試委員長/清水団先生

問題を解く過程を評価する入試問題を出題したい

清水先生 算数の入試問題は答えのみを聞く単答式になっていますが、入学後は正解を出すまでの過程をきちんと書かせています。ですから入試問題にも、「過程を大事にする学び」という本校のスタンスをきちんと反映させたいと思っています。

受験生がどのように考えたのか、どのように取り組もうとしたのかなど、問題を解く過程を見ることで、受験生の力をきちんと評価できるようになると思います。今回は穴埋め形式でしたが、途中の考え方を書かせる記述式の問題も検討しています。

問題を解く過程を評価する問題形式は、算数に限らずほかの教科でも検討しています。

数学のあいまいさは丁寧に解説

清水先生 算数から数学になって最初に大きな違いを感じるのが文字の使い方です。最初にきちんと対処しておくと、後で余計な苦労をせずにすみます。

例えば、関数の式の「f(x)」は何を表しているかというと、fは関数(function)の頭文字なので、「xの関数」であることを示しています。「f×(x)」というかけ算ではないことを、最初にきちんと教えています。

数学にはこのような表記の難しさがあります。教員は当たり前のこととして使っていますが、初めて目にする生徒にとってはいちいち気になります。数学はきちんとしているようで、きっちりしていないところがあります。生徒が“消化不良”を起こさないように授業や生徒からの質問で丁寧に教えるようにしています。

城北中学校

城北中学校

最初はくどいくらい丁寧に式を立て、徐々に省略する

清水先生 質問で多いのが、「この式の次がなぜこの式になるのか、途中の式がわからない」というものです。最初のうちは問題を解く過程をくどいくらい、省略しないで板書します。生徒の理解度を確認しながら、考え方がつかめてきたら、少しずつ省略していくようにしています。

私の授業は生徒の質問を発端に展開していきます。ですから、「みんなから質問がないと“自習”になってしまうよ」と生徒に言って、質問するように促しています。このスタイルに慣れてくると、生徒は自発的に質問してくれるようになります。すると、生徒も予習をして授業に臨む反転学習に近い形になります。

インタビュー2/3

城北中学校
城北中学校都立城北中央公園と石神井川に沿った緑豊かな環境に、約4万平方メートルもの広大なキャンパスが広がり、創立50周年を記念して建設された校舎には充実した学習・スポーツ・文化施設が整備されている。厳しい寒さにも耐え、春を告げる花の代表格である桜の花をあしらったデザインが。城北学園のマーク。創立からの、着実・勤勉・自主の精神と質実厳正の姿を象徴しています。
6年間を2年ずつ「基礎期」「錬成期」「習熟期」の3期間に分けて連携させる「3期体制」。その経験とノウハウから生まれた理想の教育プログラムは、難関大学への高い実績を生み出し、各界で活躍する卒業生の輩出している。各期間で生徒の発達段階に応じた目標を掲げ、一人ひとりの生徒が目標の達成に向かって努力し、成長を遂げられるように指導が行われている。
活発なクラブ活動は城北学園の伝統。全国レベルにある部活動も多く、運動部では、ラグビー部、少林寺拳法部、水泳部(水球競技)、文化部では、ラジオ部や囲碁将棋部が過去に全国優勝を果たしている。運動部や文化部。すべてがひとつになって城北学園の圧倒的なムーブメントを生み出している。