出題校にインタビュー!
城北中学校
2016年04月掲載
城北中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.穴埋め形式で受験生の理解度を見極める
インタビュー1/3
従来の「3つの設問」ではない新たな大問形式
清水先生 今回、表中の空欄の数字を答える穴埋め形式の問題を出しました。これは本校にとって新しい試みでした。
通常、後半の大問は3つの設問を出しています。この問題も最初は3つの設問を作りました。正方形1個の面積が、(1)4cm2、(2)2cm2、(3)5cm2となる個数をそれぞれ答えてもらうものでした。
しかし、正方形のパターンはこの3つのほかにもあります。なぜその3つだけ聞くのか、この3つのほかにもないのかと、受験生が思うのではないかという意見が出ました。とはいえ、すべてのパターンを聞くのは難しすぎる。そこで穴埋め形式にすることにしたのです。
入試委員長/清水団先生
「まっすぐ向き」以外も見つけられたかどうか
清水先生 この問題の考え方としては、まっすぐの向きの正方形は1辺を長くしていけばいいので、面積が1cm2、4cm2、9cm2、16cm2は簡単にわかるでしょう。
表を見ると、面積1cm2(1×1)と4(2×2)cm2の間に「2cm2」があります。表中の見えている数字がヒントになります。斜めに辺を取るダイヤ型の正方形は、2cm2のほかに「8cm2」があります。
さらに、表から「5cm2」の正方形が作れることがわかります。これはダイヤ型ほど斜めではないけれど、やや傾いた正方形があることを示しています。このパターンは5cm2だけでなく「10cm2」もあります。
この問題を完答するには、8パターンの正方形をそれぞれ数え上げなければなりません。このように表の穴埋め形式にすると、受験生がどこまでわかったのか理解度を把握することができます。単純に合計の個数を求める問題にすると、受験生がどこまで理解できたのかは把握できません。
入試問題は、受験生が準備してきた学習がきちんと発揮できる問題を出したいと思っています。生徒の学力を細かく見たいというのは以前からの課題でしたが、穴埋め形式は、受験生の問題を解く過程を評価する問い方として有効な方法だという手応えを感じました。
完答率は13%、得点率は50%以上
清水先生 6つの空欄すべて正解だった受験生は全体の13%でした。15%程度を予想していたので想定内でした。面積が5cm2の正方形の個数(8個)と、上下が空欄になっている正方形の面積(10)cm2と個数(2個)のところは難しかったようです。
まったく手をつけていない答案はありませんでした。得点率でいえば50%以上になったのは、表を手がかりにして、できるところをやろうと取り組んでくれたからだと思います。中には消して書き直した跡がある答案用紙がありました。「まだあった!」と気づいたのでしょう、考えながらやっている様子がうかがえました。
次のような解答もありました。面積が8cm2の正方形は1個ですから、ふつうは表の上の段の5と9の間のマスに「8」と入れるべきところですが、9と16の間に「8」と入れて、下の個数の空欄に「1」と入れた受験生がいました。順番に並べなさいというルールは示していませんし、8cm2の正方形を見つけたことを評価して、これには点数をつけました。
城北中学校 今回出題問題の原案
部分ではなく全部を数えて全体をとらえる
この表のおかげで、受験生は勘違いしないで問題に向き合うことができたと思います。数え上げの結果が表として視覚化されているのもわかりやすいです。
清水先生 表中の数字が問題を解く手がかりになります。表がなければまったく手を出さないか、やってみたけれどうまく解けない受験生がかなりいただろうと思いますが、ヒントを見せることで、あれこれ試行錯誤してくれたのではないかと思います。表のどこを空欄してどこを見せるかはずいぶんと吟味しました。
このような形式を採用したのは、すべてを数え上げる体験をしてもらうことと、全部数えると8パターンの正方形が作れることを伝えたいというねらいがありました。部分ではなく全体をきちんととらえてもらいたかったのです。
数え上げる問題はよく出題しています。確率や数列などいろいろな分野にわたり関わりがあるからです。規則性を見つけて「なぜ、そうなるのか」を考えるようにしましょう。
インタビュー1/3