中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

栄東中学校

2016年03月掲載

栄東中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.東大の推薦入試に一人合格。大学の先生と話す力は、中1から積み重ねた成果。

インタビュー2/3

定期テストは記述問題が中心

入試問題が難しいので、入学後に、教科書の文章がやさしすぎて、つまらなく感じてしまうというようなことはありませんか。

奥田先生 理解を深めるために、週4時間配当のところを2時間で終わらせて、教科書の内容に関連する文章を発展させた、さまざまな文章を読んでいます。

佐藤先生 合わせて、定期テストが入試問題以上に難しいんですよ。中1の1学期からほとんどの問題が記述式で、中間テストの解答用紙にはマス目がありますが、期末テストからマス目がなくなり、ある程度、字数を自由にしています。しかも読む文章は半分が初見となります。中1の1学期から、ほぼオリジナルの問題をやらせますので、うかうかしていられないのです。

入試広報部次長/奥田克己先生

入試広報部次長/奥田克己先生

定期テストで初見の文章を出題。本物の力を身につける

佐藤先生 国語の定期テストに記号問題はほとんどありません。ですから、子どもたちも「書かなければいけないんだ」とあきらめます。論述して答えるということは、大学でも必要になってきます。ここまで徹底してやれば、1年生でも30分で600字くらいは書けるようになります。

奥田先生 例えば授業で『城の崎にて』を扱ったら、試験では死生観を扱った評論を出題するというように、テーマや筆者を関連づけたものを選んで出しています。

生徒さんはどんな対策をして臨むのですか。

佐藤先生 半分は授業で習ったところが出ますから、そこは万全にしてきます。単語や漢字などの必要な基礎知識は、日々の積み重ねが大切です。そのつど範囲を決めて出題していますので、そこもしっかりと詰めてきます。初見の文章については奥田が話したように、テーマや筆者を関連付けたものを出します。難易度は少し上がりますが、授業を受け、自分なりに深く掘り下げたテーマであれば、読みやすいと思います。そうした狙いをもって文章を選んでいます。

中1から書く力をつけることが肝心

最初はびっくりするでしょうね。

佐藤先生 木っ端みじんになります(笑)。そして次に向けて子どもは真剣になります。ここで気を抜くと、男子は特に書くことが面倒くさくなって、数学はやるけど国語はやらない子になってしまいます。すると読解力や発信力がなくなり、高校に上がってから成績が伸びなくなりますので、ここでしっかりやって、基礎力を身につけておくことが大事だと思っています。

木っ端みじんにされた生徒さんは、その後、補習などで指導するのですか。

佐藤先生 再テスト、補習までいきますね。書くことさえいやがらなければ、たいてい書けるようになります。

栄東中学校

栄東中学校

自分の言葉で話ができる子に育てる

6年間の学びで大切にしていることを教えてください。

奥田先生 ただ単に読んだり、答えを考えたりするだけではなくて、自分が言いたいことを話す、書くということに力を入れています。中学生の間に、自分の言葉で話ができる子に育てるということですね。そのためプレゼンテーションの機会を数多く設けるようにしていて、中1の国語ではスピーチから始めます。これは国語科に限ったことではなく、各教科で必要なこととして取り組んでいます。

今、アクティブ・ラーニングが注目されていますが、国語科で取り組んでいることはありますか。

佐藤先生 定期テスト後の時期に行うことが多いのですが、グループワークやディベート、プレゼンテーションなどに取り組んでいます。

人前に立てない生徒も必ず話せるようになる

大塚先生 例えば中2では、短歌・和歌を題材に行いました。図書館にコーナーを作ってもらい、みんなで行って調べて、発表しました。

佐藤先生 関連校が複数ありますので、そこから短歌にまつわる書籍を100冊以上集めました。調べたことをもとに、夏休みには自分で創作活動を行い、できた短歌をさいたま市の短歌コンテストに出して、一人が優秀賞を受賞しました。2学期には発表を行い、生徒同士がコメントで評価しあいました。

生徒さんの様子はいかがでしたか。

大塚先生 中1から積み重ねていきますので、発表の内容は濃くなっているように感じました。

佐藤先生 入学したての頃は、みんなの前に立てない生徒もいますが、必ず話せるようになります。

大塚先生 中3では、生徒に授業をさせました。得た知識を自分の中で咀嚼し、相手に伝えることで理解が深まるので、板書をしたり、話したりして、伝えるということをさせてみると、難なくこなしていました。

栄東中学校

栄東中学校

高校でもアクティブ・ラーニングを実施

高校でもアクティブ・ラーニングをしますか。

奥田先生 さすがに高3は難しいですが、高1、高2では行います。例えば記述の答案をつくる時に、1人ではなく3人でつくるとか。その採点を他のグループが行うとか。そういうことを、各教科で、中1から積み重ねていきますので、生徒は違和感なく取り組んでいます。

教員も、アクティブ・ラーニングに取り組んで長いので、最初は一部でしたが、互いに授業を見て勉強し、徐々に広がっていきました。

佐藤先生 今年の中1は、「担任の先生を集めて、国語の研修会をやりましょう」と言ったら、全員参加してくれて、「おもしろいね」という声が挙がりました。このように、教科や学年の枠をこえて、お互いに意見交換もしています。

社会科では役割を決めて英語でプレゼン

他教科では、どのようなアクティブ・ラーニングをされているのですか。

奥田先生 社会(日本史)の授業を見たことがあります。開国のあたりで、ハリスが日本に来て、不平等条約を結ぼうとします。そこまでを授業で教えて、先生が「次の時間はハリスが来るから、キミたちは長州藩。キミたちは弱小藩。キミたちは農民……」とグループごとに立場を与えて、「ハリスに思いの丈を述べてください」と言うのです。

私が聞いた中で、すごいなと思ったのは、向こうは日本の金がほしい。日本では銀が貴重だったが、金はそれほどでもない。そこで、「金を安く売るので、うちの藩の名産であるシルクも一緒に買ってください」と、英語で交渉しているのを見た時です。

英語でプレゼンテーションですか?

奥田先生 ハリス役をネイティブの先生にお願いしたので。もちろん伝えたいことを事前に練って準備をしているのですが、相手は思い通りに応答しませんからね。

栄東中学校 栄東天満宮

栄東中学校 栄東天満宮

コミュニケーション能力を磨く場が多数

奥田先生 中2で京都に行く時も、事前に清水寺や金閣寺等を調べます。そして現地では、京都大学に留学している学生さんに、各班ごとに、付いていただいて、その人たちに自分たちが調べたことを英語でプレゼンします。移動する時には、当然、英語で会話もしますので、そういうところで自分のコミュニケーション能力を鍛えられます。その後、中3の修学旅行でオーストラリアへ行きます。現地の学校訪問では、同じように日本の文化を英語で伝えます。相手は同世代ですから、話の広がりも変わっていきます。

コミュニケーション能力がつきますね。

奥田先生 今年、東大の推薦入試に一人合格しました。学術論文を出したことで、受験資格を得て、臨んだのですが、1時間ほど面接が行われ、論文についていろいろ聞かれたそうです。そこできちんと答えることができて、合格することができたのも、中1から積み重ねた成果ではないかと思います。

インタビュー2/3

栄東中学校
栄東中学校平成4年に中学校が開校し、中高一貫教育が開始された。時代の変化に先駆けて、アクティブ・ラーニングを取り入れ、「①授業、②校外学習、③キャリア、④部活動」という4つを軸に分けて展開している。授業での工夫という枠を超えて、生徒の学びの場すべてをアクティブ・ラーニング実践の場ととらえ、学校そのものがアクティブ・ラーニングの場である。特定の教員が実践するのではなく、全教員がアクティブ・ラーニングの実践者であることが最大の特徴である。
大学入試結果は教育の成果であり、そこにいたるプロセスと大学卒業後、社会で生きる力の育成に関する学校としての方針をアクティブ・ラーニングという理論に基づいて計画して実践している。授業は常に見学可能であり、教員同士がいつでも授業を見せ合う環境となっている。中1の入学時点では人の前でプレゼンテーションすることが苦手な生徒でも、中3までの間に至極当然のこととなっていくということである。
建学の理念は、『人間はだれもがすばらしい資質を持った、宝の原石であると考え、その原石を磨き上げ、文字通り本当の「宝」として育てること』であり、そのために、「今日のことは今日やり、勉強も仕事も明日に残さない」ことを校訓としている。
広大な敷地には、勉学に専念するための充実した施設があり、先生方も遅くまで生徒たちの学びにつき合うことも多いという。もちろん勉強だけではなく、多くのクラブ活動も盛んであり、それはやはり学校での生活すべてがアクティブ・ラーニングであるということに通じている。