出題校にインタビュー!
東洋英和女学院中学部
2015年11月掲載
東洋英和女学院中学部の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.自分と違うことを知ることは、自分の発見につながる
インタビュー2/3
長文読解は心情把握と論理把握の力を見る
2015年入試には物語文が出題されませんでしたが、年によって違いはありますか。
寺内先生 素材文の選定の過程で今年はたまたまそうなっただけで、大きな方針は変わっていません。基本的には長めの文章で、物語文で登場人物の心情を読み取る力を、説明文で論理を正確に把握する力を試しています。
小学生にとっては多少取っつきにくい内容かもしれませんが、それが問題を解く上で足を引っ張らないように、問題を解きながらテーマの理解が深まるような出題を心がけています。
神藤先生 A日程では心情把握を問う問題を出したいと考えています。素材文の内容によっては非常に長文になることもあり、その場合には、問題文は長文の文章のみになることがあります。この問題文中の例は、子供にとっては身近ではないことが描かれています。そのため、想像力をはたらかせて筆者の思考に迫っていくという点では、物語のような要素もあったのではないかと思います。
国語科/寺内玲子先生
生徒には“興味の種”を蒔いておく
寺内先生 小学生は自分と考え方が合う・合わないが好き・嫌いに直結しやすく、合わないとなると敬遠してしまうところがあります。「自分と合わないから嫌い」と思わずに、「筆者は何を伝えたいのかな」という視点で読んでみましょう。本は楽しんで読んでほしいですが、読解力をつけるには少々の忍耐力も必要だと思います。
神藤先生 他者の意見に耳を傾けようとする姿勢を持ってほしいですね。自分との違いを知ることで、自分を再確認することにもつながります。
“食わず嫌い”にならないように、授業でしか読まないような、生徒が好んで手に取らなさそうな本を、あえて課題図書に指定して読んでもらうようにしています。中には新書を読んで「おもしろかった」と言ってくれる生徒がいるので、“興味の種”を蒔くようにしています。実際に芽が出るかどうかは生徒次第ですが、種を蒔き、水やりをして、「芽が出ますように」とお祈りする(笑い)。そうした発芽のための環境づくりが学校教育であり、家庭教育だと思います。
漢字は意味がわからないと身につかない
寺内先生 中学入試では漢字の書き取りでとめ・はねを厳しく見ていますが、入学後も丁寧に指導しています。全学年で月1回程度、漢字テストを実施しており、合格点に達しなければ再テストもあります。間違えて書くのは実は意味がよくわかっていないことがあるので、難しい意味の漢字については授業で取り上げます。語彙力テストを実施している学年もあります。
高校生に「殺し文句」という言葉を使う場面を聞いたところ、「恋愛」ではなく「脅迫」を選んだ生徒が多く、そもそも意味を知らなかったのに驚きました。こちらが知っていて当然と思っている言葉を知らないことがあり、使う言葉に世代間ギャップを感じます。
神藤先生 以前、生徒があまりに「うざい」という言葉を使うので、授業で「うざい」を各自言い換えてもらったことがあります。言葉は時代とともに使われ方が変わりますが、語源や本来の意味を押さえた上で使ってほしいですね。
東洋英和女学院中学部
「感動した」といった画一的な表現から抜け出す
寺内先生 本校では国語の授業に限らず、発表したり文章を書いたり、自分の考えを表現する機会が数多くあります。それが表現力の向上につながっていると思います。
神藤先生 中1には最初に自己紹介してもらいますが、これはまさに「自分の言葉で表現する」ことになります。「クラス礼拝」もその1つです。本校の1日は毎朝の礼拝で始まります。ふだんは大講堂や小講堂で行いますが、月に1〜2回クラス礼拝の日があります。各回2人の生徒が、身の回りの出来事や世の中で起きた事件などについて、自分の考えを聖書の言葉につなげて話します。
中1の時点では話すのが苦手だったり、自己表現を嫌がる生徒もいます。担任や聖書科の教員とコミュニケーションを取りながら、できることから少しずつ取り組みます。「こんなことをしました」「感動しました」「よかったです」といった画一的な表現では、話し手の思いが伝わってきません。一口に感動と言ってもいろいろありますから、自分の考えをどんどん掘り下げて、それを言葉にして伝えられるように指導しています。
インタビュー2/3