出題校にインタビュー!
東洋英和女学院中学部
2015年11月掲載
東洋英和女学院中学部の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.言葉の深い意味をすくい取り、咀嚼して自分の言葉で表現する
インタビュー1/3
本文全体を丁寧に読み、筆者の思考に寄り添う
神藤先生 この問題は本文のテーマに関わる文章記述の問題です。文章全体の主眼点をしっかりとつかむことができるか、さらに、つかんだことを的確に表現できるかを試しました。それにはまず、本文の下線部の前後だけを読む、部分的に読むのではなく、全体をきちんと読むことです。そうして文章中の例から、この筆者が何をよしとしているのか、筆者の考えをつかみます。一般論ではなく、「この筆者」の思考に寄り添って読み進めることが求められます。
国語科/神藤真理先生
設問を解き進める中で理解を深化させる
神藤先生 この問題は大問の最後(問九)です。この問題に至る設問を1つ1つ丁寧に解いていく中で理解を深めていけるように、設問の順序を工夫しました。この問題の前の2つの設問(問七と問八)は、この問題を解くためのヒントでもありますがよくできていました。
本校では、小学部のお子さんもA日程の入試を受けます。この問題に関しては、小学部からのお子さんは0〜満点まで得点にばらつきが見られましたが、受験生は部分点が多かったです。受験生は設問の流れに乗ることで、得点できるだけの読み取りができたと言えるでしょう。
「よそに出会う」が意味するものは何か
神藤先生 文中の事例から、「子供でいたい甘え」とは「はた目から見たら自分がどのように映るかを全く気にしない」というところまでは読み取ることができていました。けれど、この筆者が何をよしとしているかというところまではとらえきれていませんでした。
寺内先生 何となくとらえているようではありましたが、的確に表現するのが難しかったようで、相手に伝わるように表現するところまでは達していませんでした。
神藤先生 「他者の目を意識して自分を周りに適応させていく」ことが大人になることですが、それを拒否するというのはどういうことか。子供と大人を相対化して論理を組み立てることがうまくできていませんでした。「子供でいたい」とは「大人になりたくない」ということですが、「大人」を表すような言葉が見つからなかったのは、表現力不足だったのかなと思います。
寺内先生 小学生なりの、年齢相応の表現ができればいいのですが、「子供」に相対する言葉として「大人」を用いた答案はあまりありませんでした。また、大人を表すような説明も少なかったですね。
神藤先生 採点のポイントは、「よそに出会う」の意味を読み取れているかどうかです。表層的なとらえ方は「他者と出会う」ということですが、そこから連想して、言葉の深いところにあるものを何らかのカタチですくい取って、自分の言葉で言い換えて表現してもらいたかったのです。その一番簡単な言い換えが「大人」になります。「大人になる」とはどういうことかを押さえた上で、「子供でいたい甘え」がどういうことかを書けると満点になります。
東洋英和女学院中学部
文中の言葉を咀嚼して、自分のものとして表現する
神藤先生 文章記述は「自分の言葉で表現する」ことにこだわって出題しています。文中の言葉を使ってまとめるところから一歩進めて、文中の言葉を咀嚼して自分のものにして表現する力を試しています。本校では、そのように言葉の感受性が豊かなお子さんに入学していただきたいと思っています。
言葉の感性はふだんの言葉遣いにも表れますし、人間関係や他者理解にもつながります。相手の言葉を表面的にとらえるのではなく、その言葉の根本にあるものをくみ取れるようであってほしいですね。コミュニケーションする中で、自分の気持ちを相手にきちんと伝えよう、相手の話を相手の立場に立って受け止めようと意識して頂けたらと思います。
インタビュー1/3