中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

実践女子学園中学校

2015年10月掲載

実践女子学園中学校【理科】

2015年 実践女子学園中学校入試問題より

2014年6月に、ニホンウナギは国際自然保護連合に絶滅危惧種の指定を受けました。ウナギの生態はわかっていないことも多く、産卵場所についてグアム島に近いマリアナ諸島の西側の沖であることがわかったのも、2006年と最近のことです。ウナギは海と川を行き来する魚であり、南の海でふ化したウナギが海流にのって日本まで来て、日本の河川で成長します。
現在、私たちが食べているウナギのほとんどは養しょくによるものですが、養しょくといっても卵から育てるのではなく、ウナギのち魚である「シラスウナギ」を海や川からつかまえてきて、養しょくを行っています。

(問)シラスウナギが産卵場所からどのような経路で日本へ来るのかはわかってきていますが、ニホンウナギの親が産卵場所へどのように戻るのかは、まだわかっていません。
あなたが研究者なら、どのような方法で調べたらよいと考えますか、説明しなさい。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この実践女子学園中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、出題意図についてのインタビューを見てみましょう。

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例

例①:親ウナギがとれる日本の河口を探し、その河口付近から産卵場所に向かう海流を調べ、その経路に沿って、ニホンウナギの親がいるかどうかを調べる。

例②:日本の川にいる親ウナギをつかまえ、印をつけて放し、放した場所から産卵場所までの間でウナギをつかまえて、印をつけた親ウナギがどこにいるのかを調べる。

解説

問題文中では、「産卵場所がグアム島に近いマリアナ諸島の西側の沖であること」「ウナギが海と川を行き来する魚であること」「南の海でふ化したウナギが海流にのって日本まで来ること」「日本の河川で成長すること」など、いくつかの情報が示されています。「南の海でふ化したウナギが海流にのって日本まで来ること」をもとに、日本へ来るときと同様に海流を利用しているという仮説を立てたり、「ウナギが海と川を行き来する魚であること」をもとに、調査する場所として河口付近を選んだりと、さまざまな視点から、調べる方法を考えることができます。

日能研がこの問題を選んだ理由

問題文から、ウナギについて現在わかっていることを読み取り、まだ明らかになっていない、産卵場所へ戻る経路について調べる方法を考え、自分の言葉で表現します。ウナギそのものの生態について、学んできている受験生はほとんどいないと考えられますが、問題文中で示された内容を手がかりにし、調べる方法を探っていきます。

この問題では、未知の内容に対して、問題文に示された情報と既知のものを結びつけ、筋道を立てていきます。このとき、未知の内容を考えることや、試行錯誤しながら筋道を立てる過程を楽しむことができます。

このように、見慣れたものと見慣れないものが結びついて、新たな知識のネットワークが構築されると考え、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。