中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

渋谷教育学園渋谷中学校

2015年09月掲載

渋谷教育学園渋谷中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.自らの手で調べ、自らの頭で考える力を身につけよう。

インタビュー3/3

男子の成長にいつも感動。6年間の月日は大きい

大谷先生 本校は今年、創立20周年を迎えました。私は1期生の時に入りました。その頃と比べると、若干男子が大人しくなっている印象があります。他校を知らないので、もしかすると全体的にいえることなのかもしれませんが、本校は女子の人数が多く、女子のほうが成長も早いので、入学時はどうしても男子は押され気味です。理科の授業では、理科好きの男子が発言して存在感を示していますが、きちんと提出物を出すのは女子ですし、授業を聞いているのも女子です(笑)。しかし中3、高1あたりになると「○○くん、すごい」というように、一目置かれるようになります。男子は中学から高校にかけて成長するので、教師としてはそれが楽しみの一つでもあります。中学生で教えた生徒が高校生になり、再び授業で出会った時の成長ぶりにいつも感動しています。

旺文社赤尾好夫記念賞受賞の切替日奈子さん

旺文社赤尾好夫記念賞受賞の切替日奈子さん

教育目標は自調自考

大谷先生 ご存じだと思いますが、本校の教育目標は「自調自考(自らの手で調べ、自らの頭で考える)」です。ノーチャイムも、その考え方によるものです。理科でも、私は演示実験ではなく、「やるなら君たちの手でやりなさい」と言っています。最初に原理を話して「この器具は1本2万円するから気をつけろよ」などと注意を与えて実験をさせています。話を聞かないために失敗した時は叱りますので、生徒たちも自分で考えなければいけないということを次第に覚えていきます。

2年間かけて取り組む『自調自考論文』

大谷先生 また、高校1年~高校2年の2年間をかけて「自調自考論文」の執筆に取り組みます。「自調自考」に基づいた教育活動の集大成として、自分の興味のあるテーマを研究し、1万2000字の論文を書き上げます。そして書き上げた論文を、「図書館を使った調べる学習コンクール」(高校生の部)などに出品しています。

私は今回はじめてゼミの担当になり、15名ほどの生徒を担当しました。多くの生徒が実験を行い、その結果を踏まえて論文を書くことにしたので、夏休みは実験が続きました。一人ひとり実験が異なるので、指導は大変でしたが、生徒の興味に触れることができて非常に有意義でした。そして学内だけでなく、「図書館を使った調べる学習コンクール」で最優秀賞にあたる文部科学大臣賞を受賞するなど、学外でも評価されてうれしく思いました。

東京家政大学生活科学研究所主催コンクール・佳作受賞の櫻井円香さん

東京家政大学生活科学研究所主催コンクール・佳作受賞の櫻井円香さん

自調自考論文のテーマと進路は必ずしも一致していない

進路選択に近い時期に自調自考論文に取り組まれていますが、進路選択に影響はありますか。

大谷先生 自調自考論文のテーマと同じ分野に進む生徒もいますが、多様に考えて、自調自考論文では今しかできないことを深く掘り下げてみようと、進路とは別の分野で行う生徒もいます。

興味のあることに積極的に取り組む姿勢は、徐々に身についていくと思います。ですから進路が決まらずに悩んでいる生徒がいたら、「寄り道をしながらでもキミの人生は決まっていくから大丈夫。なるようになるよ」と励ましています。

いつか自分のやりたいと思うことが見つかると思うので、見つけたらずっとやり続けてほしいと思っています。

医学部に進学する生徒も増えている

理科の道で活躍されている卒業生はいらっしゃいますか。

大谷先生 日本代表として国際生物オリンピックに出場し、銀メダルに輝いた卒業生がいます。医学部に進学する生徒も増えているので、将来お世話になろうと思っています。

現在の中学1年生から大学入試が変わりますが、何か対策を考えていらっしゃいますか。

大谷先生 理科としてどのようなアクティブラーニングができるかは常々考えています。ただ、現在行っていることもアクティブラーニングになっていると思うので、模索はしながらも、入試改革の概要が明らかになった時に、よりよい方法を見つければいいのではないかと思っています。

渋谷教育学園渋谷中学校

渋谷教育学園渋谷中学校

インタビュー3/3

渋谷教育学園渋谷中学校
渋谷教育学園渋谷中学校地上9階・地下1階の校舎は、地域との調和と快適な環境をコンセプトとして設計されており、都市工学の先端技術が駆使されています。これからの新世代にふさわしい、充実した学校生活を提供されています。教育目標は、21世紀の国際社会で活躍できる人間を育成するため「自調自考」の力を伸ばすことを根幹に、国際人としての資質を養う、高い倫理感を育てる、という3つです。
学習面における「自調自考」を達成するために、シラバス(学習設計図)が活用されています。シラバスは、教科ごとに1年間で学習する内容と計画が細かく書かれたもので、家づくりにたとえるならば設計図にあたるものです。シラバスをもとに、生徒自身が「いま何を学んでいるのか」「いま学んでいることは何につながるのか」ということを常に確認し、自ら目標を設定することで学習効果が上がるように指導されます。「何を学び、学んでいることは何につながるのか、全体のどのあたりを勉強しているのか」を確認しながら、授業に目標を持ち積極的に参加して、毎日の学習に取り組むことができます。外国人教師による少人数英語教育が実践され、さらに、中学3年生から、希望者は英語以外にもうひとつの言語を学ぶチャンスがあります。ネイティブの教師と一緒に自分の世界を広げてみましょう。開講講座は、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語です。海外研修は希望者を対象に、中学のオーストラリア研修、高校のアメリカ・イギリス・シンガポール・ベトナム研修があります。研修の目的は若者交流です。異文化理解や語学研修など、さまざまな経験を通して交流の輪が広がります。海外からの帰国生も多数在籍しており、留学生も受け入れています。
自分を律する心を養い、一人ひとりの人生をより豊かにし、人のために役に立ちたいと思う人間を育むため、生徒の発達段階に合わせたテーマで、6年間で35回にわたる「校長講話」が行われています。