中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

渋谷教育学園渋谷中学校

2015年09月掲載

渋谷教育学園渋谷中学校【理科】

2015年 渋谷教育学園渋谷中学校入試問題より

(一部改題)

S君はよく聞こえてくるカラスの鳴き声が気になりました。自然教育園は、ハシブトガラスの寝ぐらになっているそうです。日本の一般的な都市では、ハシブトガラスとハシボソガラスが入り交じっているのに、『東京では99.9%がハシブトガラスになっているそうです。』自然教育園にいるカラスたちも、よくニュースなどで話題になっている都内の繁華街でゴミを散らかしているカラスなのだろうかと不思議に思い、ハシブトガラスとハシボソガラスの特徴を調べてみました。それをまとめたものが次の表です。

ハシブトガラス
渋谷教育学園渋谷中学校 写真 ハシブトガラス
[くちばし]太くてがっちりしている
[住処(すみか)]森・山間部
[食べ物の好み]高カロリーな食材、油など
ハシボソガラス
渋谷教育学園渋谷中学校 写真 ハシボソガラス
[くちばし]細め
[住処(すみか)]農耕地・草原
[食べ物の好み]昆虫など

(問)『 』部分について、東京に住むカラスのほとんどがハシブトガラスです。自然教育園のような森を寝ぐらにして、都内の環境に適応していると考えられます。多くの人間が住む東京はハシブトガラスにとって、どのような点で住みやすい場所であると考えられますか。表を参考にして述べなさい。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この渋谷教育学園渋谷中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、出題意図についてのインタビューを見てみましょう。

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例

東京はハシブトガラスの住処となる森や山間部に似た自然教育園などがあり、人間が出す食べ残しのゴミなど、高カロリーで油を多くふくむ好みの食べ物を得ることができるから。

解説

ハシブトガラスの特徴と都内の環境を結び付けて、東京がハシブトガラスにとって住みやすい場所である理由を説明します。

住処については、問題文の中で「この自然教育園は、ハシブトガラスの寝ぐらになっている」という説明があるので、この部分から、都内に森・山間部の代わりとなるものがあることがわかります。また、ビルの谷間が森・山間部の起伏と似ていることから、ハシボソガラスよりもハシブトガラスにとって、飛び回りやすい環境であるということを推測することも可能です。

食べ物については、問題文中で、S君が「自然教育園にいるカラスたち」と「都内の繁華街でゴミを散らかしているカラス」が同じカラスなのだろうかと不思議に思ったことが示されており、表で、ハシブトガラスは「高カロリーな食材、油などが好み」であるという情報が示されています。このことから、都内では、人間が出すゴミから、ハシブトガラスにとって好みの食べ物を得られることがわかります。

日能研がこの問題を選んだ理由

この問題では、問題文と表の情報から、ハシブトガラスの特徴を読み取り、ハシブトガラスの特徴と関連する都内の環境の特徴を探っていきます。まずは、日本で一般的に見られるハシブトガラスとハシボソガラスを表で比較することで、ハシブトガラスの特徴を明らかにしていきます。次に、ハシブトガラスの特徴と都内の環境について、問題文中の情報から関連する要素を見つけ出し、自分の言葉で表現します。

この問題を通して、初めて出あうことがらであっても、示された情報や知識を使い、身近なところで見られる現象について筋道立てることで、日常と学びが結び付いていることに気づき、自分自身でいろいろな発見をすることにつながると考え、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことにいたしました。