中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

渋谷教育学園渋谷中学校

2015年09月掲載

渋谷教育学園渋谷中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.身の回りのこととサイエンスとのかかわりを大事にしよう。

インタビュー2/3

リード文から生物のおもしろさを感じてほしかった

大谷先生 本校の入試問題は生物、地学、物理、化学の4分野からまんべんなく出題しています。各分野の担当者が作成した問題を持ち寄り、皆で議論して、まとめていきます。本校のコンセプトに対して適切であるか、全体のバランスはどうかなども検討します。本校の理科は、かなり問題数が多いと思うのですが、30分の試験時間で解いてしまう受験生はすごいなと思います。そういう状況の中で、少しでも楽しかったと思ってもらえる問題にしたいと思いながら作問しました。

その想いを、入試問題のリード文に託したのですね。

大谷先生 大学入試でも東大の生物などはリード文が長くて有名ですよね。よく読むと、問いになっているところ以外に、おもしろいところがたくさんあります。高3の授業では、それをネタに議論します。最終的には問いも見ますが、行間を読むことはとても楽しいです。

同じように、本校の受験生にも楽しんでほしいと思い、バイオームの話から入りました。バイオームは高校生物の分野ですが、自然教育園に行くと松が目につきます。そこでどのようなバイオームなのかに着目してもらいたいと思い、あえて触れました。森林の移り変わる様子は、光合成の話と絡めました。環境問題としては、亜熱帯性植物の「シュロ」を題材に、増殖の原因を問いました。温暖化が進むと地面が凍結しないため、冬を越せてしまうのです。勘違いされている方が多いのですが、気温が上がったからではなく、ヒートアイランドなどで地面の下に温かいお湯が流れているなど、いろいろな問題があり、亜熱帯性の樹木が育つことができるのです。

理科/大谷昌央先生

理科/大谷昌央先生

生物への興味は尽きない

入試問題の題材はどのように収集していますか。

大谷先生 昔はきっかけを与えられないと思いつきませんでした。入試問題を作る季節になると、「また、この季節か」と思い悩んだものです。今は日常的に題材をストックしているため、それをどういうふうにカタチにしていくかを考えることが多いので、それほど苦しくはありません。

私は、生物の教員になりたくてなったわけではありませんでした。化学の教員になりたかったのですが、通っていた大学が生物学科だったので、生物教諭として採用されたのです。それでもすぐに楽しくなりました。大学入試も化学で受験したので、生物のなにもかもが新しく、おもしろそうな情報が入ってくるとはまりました。20代後半からは本当に生物が楽しくて、今に至っています。

身の回りのものに目を向ける習慣をつけよう

大谷先生 しょっちゅう本屋へ行き、おもしろそうだなと思うとつい買ってしまいます。最近はインターネットで買えるので、読んでいない本が溜まるばかりです(笑)。この問題を考えていた時も、ふらっと本屋へ行くとカラスの本がありました。すぐに購入し、一気に読んで、このようなかたちで問題に反映しました。

受験生の皆さんにも、日頃の生活で周りを見ることを大事にしてほしいと思っています。入試問題のコンセプトは説明会でもお話させていただくのですが、身の回りのこととサイエンスとのかかわりは大事にしていることの一つですので、問題が解けた、解けないではなく、「なぜだろう」と思ったことを解決できる達成感を日頃から味わってもらいたいと思っています。それが入試で問題文を読んだ時に、(作者と)共感できるということにつながっていくと思います。

渋谷教育学園渋谷中学校

渋谷教育学園渋谷中学校

実験を通して原理を考えてほしい

そういうことは普段の授業の中でも大切にされているのですか。

大谷先生 授業で行う実験は、手順が書いてあるので、その通りにやれば結果が出ます。「予測どおりだった」という感想で終わりにしては何にもなりません。原理を考えてほしいので、どんどん本を紹介します。例えば英語で書かれている「LIFE」を勧めると、帰国生が多いので「本当だ。おもしろい」と共感してくれる子がいます。多少難しくても、自分の中でかみ砕き、しっかり吸収してほしいので、英語の論文を配ることもあります。読まない子もいますが、興味のある子にとっては得られるものが大きいと思います。

帰国生はどのくらいいるのですか。

大谷先生 帰国生は学年の1~2割です。その中で、高校生になっても生物の授業を選択してくれる生徒に、そのようなこともしています。高校3年生の担任なので、担当している授業の多くは高3ですが、中1ももっています。どちらも楽しいです。中1を見ていると、子どもたちはこうして成長していくのだなと思います。

では、この入試を受けて入ってきた生徒も担当しているのですね。

大谷先生 そうですね。だから授業でも活用しました。生態系の話をしている時に、東京のカラスは99.9%がハシブトガラスという話をしたら、「お~」という声があがったので、調べたかいがあったと思いました。

インタビュー2/3

渋谷教育学園渋谷中学校
渋谷教育学園渋谷中学校地上9階・地下1階の校舎は、地域との調和と快適な環境をコンセプトとして設計されており、都市工学の先端技術が駆使されています。これからの新世代にふさわしい、充実した学校生活を提供されています。教育目標は、21世紀の国際社会で活躍できる人間を育成するため「自調自考」の力を伸ばすことを根幹に、国際人としての資質を養う、高い倫理感を育てる、という3つです。
学習面における「自調自考」を達成するために、シラバス(学習設計図)が活用されています。シラバスは、教科ごとに1年間で学習する内容と計画が細かく書かれたもので、家づくりにたとえるならば設計図にあたるものです。シラバスをもとに、生徒自身が「いま何を学んでいるのか」「いま学んでいることは何につながるのか」ということを常に確認し、自ら目標を設定することで学習効果が上がるように指導されます。「何を学び、学んでいることは何につながるのか、全体のどのあたりを勉強しているのか」を確認しながら、授業に目標を持ち積極的に参加して、毎日の学習に取り組むことができます。外国人教師による少人数英語教育が実践され、さらに、中学3年生から、希望者は英語以外にもうひとつの言語を学ぶチャンスがあります。ネイティブの教師と一緒に自分の世界を広げてみましょう。開講講座は、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語です。海外研修は希望者を対象に、中学のオーストラリア研修、高校のアメリカ・イギリス・シンガポール・ベトナム研修があります。研修の目的は若者交流です。異文化理解や語学研修など、さまざまな経験を通して交流の輪が広がります。海外からの帰国生も多数在籍しており、留学生も受け入れています。
自分を律する心を養い、一人ひとりの人生をより豊かにし、人のために役に立ちたいと思う人間を育むため、生徒の発達段階に合わせたテーマで、6年間で35回にわたる「校長講話」が行われています。