中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

桐蔭学園中学校・中等教育学校

2015年06月掲載

桐蔭学園中学校・中等教育学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.6学年が同じ問題に挑むトーマス・オリンピックで英知を発掘!

インタビュー2/3

6学年が同じ問題に挑むトーマス・オリンピック

唐沢先生 入学してからも、こういうパズル的な要素が入った問題を解くチャンスがあります。全学年統一テストで、その名も「トーマス・オリンピック」(桐蔭数学学力試験)です。桐蔭数学[TOIN mathematics]を略してトーマスです。

末包先生 2000年から始めて16年目に入りました。年2回(夏と冬)なので、次は31回目です。

唐沢先生 中1から高3までの男女が同じテストを受けます。中学レベルの問題を5題、高校レベルの問題を5題、合計10問を出題するので、順位づけは中高で分けますが、それぞれの成績上位者は表彰し、図書カードなどを贈っています。6学年が同じ問題に挑むというと驚くかもしれませんが、中学生ができないかというとそうでもなくて、進んでいる生徒は高3レベルの問題を解いてしまうことがあります。逆に、高校生が以前習っていたことを忘れていて、思わぬところでつまずいたりするのでおもしろいです。

末包先生 トーマス・オリンピックのために勉強している生徒もいます。

全員受けるのですか。

末包先生 毎回、大勢の生徒が参加してくれます。ですから大学の大教室をお借りして実施しています。

数学科/唐沢俊之先生

数学科/唐沢俊之先生

毎回1、2題は東大などで出題されるような難題も出題

6年間、受け続ける生徒はいますか。

末包先生 います、います。ずっとトップを狙う生徒もいます。

唐沢先生 厳選された問題ばかりなので、1題でも解ければ立派なもの。難しすぎて、足が向かなくなる生徒もいますが、難問にチャレンジすることを楽しいと感じる生徒もいますので、そういう生徒は一度解けるとまた挑戦してくれます。

どのような問題を出すのですか。

唐沢先生 生徒のアイデアを引き出せる出題を心がけています。試験時間は3時間(1時間経過したら途中退室可)。じっくり取り組めるため、私たちが想像もしない、独創的な解法を見つけるのが楽しいです。解答は冊子にまとめて配布しています。

数学が好きな生徒がどっぷり浸かれるイベントなのですね。

唐沢先生 虫食い算のような穴埋め問題や、正直村とうそつき村のような、論理的思考を問う問題も出しますが、1、2題は東大などで出題されてもおかしくない問題も入れています。中学生でも高校レベルの問題にチャレンジできるよう、高校で習う公式を使わなくても解ける問題を選ぶなどの工夫もしています。

末包先生 桐蔭学園には数学の教員が大勢います。教員にとっても作問のスキルアップを図る場になっており、多くの問題案の中から10題に絞ります。採用してもらえるように、問題作成に、教員は工夫を凝らしています。

問題づくりコンクールも実施

トーマス・オリンピックを励みにしている生徒は、大学入試で数学を志望しますか。

末包先生 特に理学部数学科を選ぶというわけではないです。ただ、数学を得点源に進路を開拓していると思います。最近は、問題をつくらせることも必要だろうということで、『数学の問題づくりコンクール』も実施しています。問題づくりは意外と難しく、授業で「簡単な問題をつくってごらん」と言っても作れません。オリジナルの問題をつくると総合的な力がつくので、年2回、このような機会を設けています。中学生は幾何分野でつくってくることが多いです。

唐沢先生 複数の教員で問題文、解説文、考察から問題の工夫やおもしろさなどを判断し、評価します。数理的な良問には「アルキメデス賞」、初等幾何の良問には「ユークリッド賞」、微分積分分野の良問には「ニュートン賞」などを授与しています。

感触はいかがですか。

末包先生 トーマス・オリンピックに比べるとまだまだ参加者が少なく、数学が好きな生徒がつくってくるという感じです。みんなを「つくりたい」という気持ちにさせるには時間がかかるかもしれませんが、授業で習った知識を使い、自分で自由に考えることに楽しさを覚えている生徒はいると思うので、これからも継続していきます。

トーマス・オリンピック

トーマス・オリンピック

日本数学コンクールなどで活躍する生徒も!

こうしたイベント開催は数学科だけですか。

佐藤先生 他にもやっている教科もありますが、全学的には数学科が一番熱心にやっています。

唐沢先生 数学は興味をもって取り組めば伸びるので、こうした機会をつくることで生徒も楽しいですし、我々も楽しくなります。非凡な才能を発掘する、いい機会になっています。

外部のコンクールで活躍するような生徒はいますか。

唐沢先生 2014年度は日本数学コンクールで、高校女子部の生徒が銀賞を受賞しました。京都大学が全国の高1、高2を対象に、数学の才能を開花させるきっかけづくりのために開催した「数学の森 in Kyoto」にも、中等4年生の2名が書類審査を通過し、京都大学で行われる数学の森コンテストに招待され、2人とも銅賞を獲得しました。「おさかなプレート」で知られる「ゴースト暗算」(2桁×2桁の計算を丸覚えではなく暗算で導き出すメソッド)の考案者も本校の卒業生です。あの生徒も在学中は数学で異彩を放っていて、東大理Ⅲに現役合格しました。

入試広報部長/佐藤透先生

入試広報部長/佐藤透先生

インタビュー2/3

桐蔭学園中学校男子部
桐蔭学園中学校男子部「私学にしかできない、私学だからできる教育の実践」を掲げ、「真のエリートの育成」を目指し、昭和39(1964)年4月、横浜の北郊、緑深い丘陵地帯の一角に、桐蔭学園は誕生した。創立以来、一貫して日本の未来を担(にな)う真の英才を育てる場として、教育内容・施設の整備・拡大を図っており、「知育」「徳育」「体育」という、人が成長する上で最も大切な要素を育てる学園の理念、「桐蔭イズム」は、いまでは多くの人々に広まっている。創立以来掲げてきた「自由・求学・道義・愛国」という4項目の建学の精神に加え、平成26(2014)年創立50周年を機に、「自然を愛し、平和を愛する国際人たれ」という一項が加わった。桐蔭学園の校章は、五三の桐(ごさんのきり)。歴代理事長の母校、旧制東京高等師範学校(現・筑波大学)の校章にちなんでおり、桐には、瑞鳥、鳳凰(ほうおう)が宿るとされている。
中学高校は高校2年までは男子部と女子部に分かれており、高校3年では男子部と女子部が合同で志望コース別授業を受講するといった「男女併学」を採用している。高校男子部は理数科と普通科に分かれている。平成13年(2001年)4月には、男子4クラス約160人の桐蔭学園中等教育学校が誕生した。中等6年時には高等学校・女子部との合同の授業も行われている。クラブ活動もさかんで、硬式野球部をはじめ、サッカー部、ラグビー部、柔道部、剣道部、テニス部などが全国優勝するほか、現在でも各分野で全国レベルの成績を挙げている。