中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

自修館中等教育学校

2015年04月掲載

自修館中等教育学校【国語】

2015年 自修館中等教育学校入試問題より

自修館では「探究」という総合学習を行っています。探究では会社や大学などを訪問して話を聞くこともあります。
さて、あなたはこれからある会社を訪問して話を聞こうと考えています。
それをお願いする手紙を書きなさい。ただし手紙には次の「項目」を全て入れ、後の「条件」に従って書くこと。

「項目」
訪問者:自修館中等教育学校一年生の私(氏名は自分の氏名を使ってください)と、あと一年生三名。
訪問先:いろは社という出版社。
訪問目的:本ができるまでのことを知るため。
訪問日時:六月六日(水)午前十時頃から一時間ほど。
「条件」
敬語を使うこと。
正しい手紙の形式(拝啓-敬具等)にのっとらなくてもよいが、訪問させていただくことをお願いする文章を書くこと。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この自修館中等教育学校の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、出題意図についてのインタビューを見てみましょう。

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例

いろは社 広報担当者様

自修館中等教育学校一年の○○○○と申します。
この度は、貴社を訪問させていただきたく、手紙をお送りいたしました。
私の通っている自修館中等教育学校には、「探究」という総合学習の時間があります。この時間では、私たち生徒が自らの興味あることがらを研究していきます。
私の所属するグループでは、どのように本が作成されていくのかという点について深く興味を持ち、本の作成過程を研究テーマにしたいと考えました。そこで、私たちは「探究」のフィールドワークの時間を使って貴社を訪問させていただき、どのように本が出来るのか、その過程を教えていただきたいと思っております。
今年度の「探究」のフィールドワークの日時は、六月六日(水)となっています。そのため、当日の午前十時から一時間ほど、私たちにお時間をいただくことができないでしょうか。当日は、私、○○○○と、同じグループの三名が話を伺わせていただきたく思います。
お忙しいところ、大変申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

解説

「探究」という、総合学習の中で会社訪問を行うという状況をふまえ、会社訪問のお願いをする手紙を作成していきます。設問の中では、「訪問者」「訪問先」「訪問目的」「訪問日時」という「項目」と、「敬語を使うこと」「訪問させていただくことをお願いする文書を書くこと」が条件として挙げられています。ですから、これらの内容はすべて手紙に含めることが必要です。今回、手紙を出すのは自修館中等教育学校の生徒であり、会社を訪問させていただく側になります。訪問先である会社の方に「探究」の時間がどのようなものなのか、また、なぜ訪問先として「いろは社」という出版社を選んだのか、その理由もあわせて手紙に盛り込み、訪問の意図を伝えておきたいところです。さらに、こちらの願いを聞き入れていただくためにも、こちらの思いが相手に伝わるように、内容、そして言葉づかいを意識しながら手紙を書くように心がけたいところです。

日能研がこの問題を選んだ理由

この問題では、受験生が自修館中等教育学校の生徒になったと仮定し「会社訪問をお願いするための手紙を書く」という状況が設定されています。

ここでは、状況として設定されている「会社訪問」を自分のこととしてとらえることが必要です。さらには、手紙の送り先に「会社訪問」を許諾してもらうために、示された項目、条件を満たしたうえで手紙を作成していきます。

相手に「会社訪問」をお願いする手紙を書くことは「会社訪問」という「目的」を達成するための「手段」について自ら考え、作成していくことだと言い換えることができます。問題に取り組むことを通して、「目的」と「手段」の関係をとらえることが試される問題だといえるでしょう。

「目的」と「手段」の関係をとらえる力は、これから先もずっと使い続けることのできる力です。そんな入試だけにとどまらない、今後生きていくうえでも大切な力が試されているという点に魅力を感じました。

このような理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。