シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

星野学園中学校

2015年03月掲載

星野学園中学校【算数】

2015年 星野学園中学校入試問題より

図はたて3cm、横4cmの長方形に、たて横1cmごとに線をひいたものです。
図の(ア)の角と(イ)の角の大きさの和は何度ですか。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この星野学園中学校の算数の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

45度

解説

(ア)と(イ)の角の大きさの和を知りたいので、(ア)、(イ)の角が隣りどうしにならぶように図形を置きかえることを考えます。すると、例えば下の図1のように、影をつけた三角形を移動させた形に置きかえることができます。

図1

ここで、図2のようにA~Eとし、三角形ABCと三角形CDEに目を向けます。これら2つの三角形は合同です。ですから、辺ACの長さと辺CEの長さは等しく、また、図の同じ印(●と○)のついた角どうしの大きさも等しいことがわかります。

図2

また、三角形ABC(三角形CDEでもよい)の内角の和に目を向けると、●+○+90度=180度なので、●+○=180度-90度=90度とわかります。
ここまでのことから、三角形ACEは、辺ACと辺CEの長さが等しく、角ACEの大きさは180度-(○+●)=180度-90度=90度の三角形とわかります。つまり、三角形ACEは直角二等辺三角形です。

求める角の大きさは、図のア+イの大きさ、つまり、直角二等辺三角形ACEの角Eの大きさであることから、45度とわかります。

日能研がこの問題を選んだ理由

この問題は、非常に少ない条件から成り立っている問題です。問題文にも数値の情報は「3cm」「4cm」「1cm」と、長さに関する3つしか登場しません。たったこれだけの情報で、(ア)と(イ)の角の大きさの和を求めることができるのです。

たくさんある情報の中から、必要な情報を選んで考えを進めていくチカラは大切です。一方、この問題のように、極限までそぎ落とされた情報しかないとき、それらの情報を組み合わせ、糸を手繰るように新しい情報を見つけていくチカラも大切です。情報が少なければ少ないほど、一つひとつの情報は重要な意味を持つことになります。そのためには、情報の裏に隠れているものを見つけ出すアンテナの感度を高める必要があるでしょう。少ない情報からどれだけたくさんの情報を見つけることができるか、そんな見方で楽しむことができる問題です。

以上の理由から、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。