中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

東京女学館中学校

2014年08月掲載

東京女学館中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.見慣れている現象はなぜ起こる?その理由を考えてみよう!

インタビュー1/3

女子は蛾を嫌うけれど、よく見ている?

この問題の出題意図からお話いただけますか。

阿部先生 理科の入試は30分間です。その中で、受験生に持っていてほしい知識を問わなければなりません。しかし、それだけではなくて、その場で考えたり、知識を使ったりする力も測りたいと考えているので、この問題もその一つとして出題しました。

女子が苦手であろう「蛾」を取り上げたのはなぜですか?

阿部先生 日常生活の中で目にする機会が多い昆虫だからです。原案を持ち込んでくれたのは、ここにいる小関先生なのですが、昨年、女学館に赴任し、中1の夏期合宿(軽井沢)で生徒を引率した時のできごとがきっかけだったようです。

小関先生 生徒が蛾を見てキャーキャー騒ぐので「なぜ嫌いなの?」と聞くと、「気持ちが悪い」「粉っぽい」などと言うのです。でも、いやがるわりにはよく蛾を見ているので、題材としてインパクトがあると思いました。

目の付けどころが素晴らしいです。

小関先生 入試問題に限らず、常におもしろいものを見つけたいという感覚があります。ただ、私がおもしろいと思っても、彼女たちがそう思うかはわかりません。ですから生徒たちの反応は大事にしています。

理科/阿部先生

理科/阿部先生

解けた子は、論理立てて考えられる子

問題を提案された時、先生方の反応はいかがでしたか?

阿部先生 日頃、子どもたちが目にしている現象がどのようにして起きているのかを考える問題で、素材はおもしろいと思いました。ただ、問題として整っていたわけではないので、受験生が取りつきやすく、解き終えた時に「おもしろい」と感じてもらうにはどうしたらいいかをみんなで考え、シンプルにまとめることを心がけていたら、このような形になりました。

小関先生 光に集まる習性は誰でも知っていますが、その理由は知らないと思います。だから問題にすることで、考える楽しさを知ってもらえるのではないかと思いました。

興味や関心が学びを深める原動力

「虫は光に集まる」は思い込みで、「光に集まろうとしているわけではない」と言っている問題なんですよね。

小関先生 光に集まる習性があるのなら、「月に向かうのでは?」と考えてもおかしくないですよね。なぜ、どこまでも上に向かわないのか。上に向かって飛び続けた挙げ句、死んでしまう蛾はいないのか。そんな考えがふと浮かんだ時に、調べてみようという気持ちが湧くと思うのです。

「覚えているから」「知っているから」ではなくて、問題を解き終えた時に次のステップに上がれる、そこが素晴らしいと思いました。

小関先生 あることを教えた時に、「そうなんだ」で終わってしまう子と、「ということは?」「となると…」というように、次に進む子がいます。次に進めるかどうかは、頭がいい、悪いではなくて、興味や関心が原動力になると思います。そこに気づかせてあげたいので、おもしろい問題にこだわっています。

Aの角度を垂直で出したら、この現象は起こらないですよね。

小関先生 そうなんですよ。90度では、ただ円を描くだけなんですよね。

Aが微妙に鋭角になっているところがポイントなのです。

阿部先生 すぐに絵を描けるかどうか。そこにセンスが出ますよね。あるいは経験から戻ってきてもいい。いろいろなアプローチができる問題だと思います。

東京女学館中学校

東京女学館中学校

2問とも正解した受験生は約半分

どの程度できていましたか。

阿部先生 ➀、➁ともに答えられた受験生は半分程度でした。意外と多かったので驚きました。選択肢の問題なので、偶然できた子もいたと思いますが、2問とも正解している受験生は本質的な部分を理解できていると思います。その子たちの他の問題の出来を調べてみると、点を取れていて、平均点も高いことがわかりました。このことから、与えられた条件を読み取り、組み立てて考える力というのは、どの問題にも通じていることがよくわかりました。

身近な理科に興味を持ってほしい

空欄は少なかったですか?

阿部先生 選択問題なので、空欄はほとんどなかったです。「こういう問題も出る」ということで、これから受験される皆さんが、日常の生活の中で、身近な理科に興味を持つきっかけになればいいと思います。

PM2.5の問題もありましたね。

阿部先生 世の中のことに敏感であってほしいという思いがあるので、知識を問う問題、考えさせる問題に加え、生活に関連することや話題になったことも入試問題に取り入れています。世の中のことに目を向けられないと、見えてくるものも見えてこないので、「そういえば、話題になっていたな」と関心を持つことが大事だと思っています。

小学生は意外と知識を持っていますが、断片的なんですよね。

阿部先生 それをつなげるのが入学後の学習だと思っています。中高と学習を重ねていく中で、考える力を磨き、生徒が持っている知識を使えるようにしたいと、理科の中でもよく話しています。

理科/小関先生

理科/小関先生

インタビュー1/3

東京女学館中学校
東京女学館中学校伊藤博文が委員長として発足した「女子教育奨励会」が母体となり、1888(明治21)年に設立。建学の精神は「諸外国の人々と対等に交際できる国際性を備えた、知性豊かな気品ある女性の育成」です。インクルーシブ・リーダーシップ(共生し協働する力)を養うために、生徒会、クラブ、さまざまな行事を生徒による実行委員会方式で実施。
「国際学級」は英語に特化したカリキュラムで、実践的な英語力を養成。一般学級でも英語習得を中心とした国際教育を重視。英語や英会話はクラスを2分割します。アメリカ文化研修は、働く女性の職場から家庭まで密着するというユニークな文化交流。さらに、日本の文化にも力を入れ、茶道・華道体験、歌舞伎や能楽の鑑賞、京都・奈良への修学旅行(高2)などを実施。中3の修学旅行は沖縄で、平和や環境問題を学びます。
白のセーラー服に青いリボンの制服は1930(昭和5)年に制定され、「品性を高め、真剣に学ぶ」精神を象徴。中1では60歳以上の卒業生へのインタビューも交えたスクールアイデンティティ学習を実施。体育大会では、17世紀のフランス宮廷ダンス「カドリール」を高3が制服で踊るのが伝統。クラブではオーケストラ、ダンスが人気。茶道部は表千家・裏千家があります。食堂の手作りパン、ソフトクリームは大人気。