シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

東京女学館中学校

2014年08月掲載

東京女学館中学校【理科】

2014年 東京女学館中学校入試問題より

夜行性の昆虫は、月の光を利用して飛行しています。【図1】のように月から届く光は平行なので、月の光に対して進む方向が同じ角度になるようにすることで、まっすぐに飛ぶことができます。

図1

(問1)昆虫が進むときに利用する光が、【図2】の➀、➁のように平行でない場合、A地点からB地点へ進んできた昆虫はその後、どのように進みますか。【図2】の(ア)~(エ)から1つ選び、記号で答えなさい。

図2

(問2)夜になると街灯などに昆虫が集まっているのが観察できます。これは、街灯の光りが【図3】のようにあらゆる方向に出ているので、光に対して同じ角度になるように進むと、結果として街灯に近づいて行ってしまうからです。このとき、昆虫はどのように近づいていきますか。最も適当なものを次の(ア)~(エ)から1つ選び、記号で答えなさい。ただし、図の△は昆虫を表しています。

図3

選択肢

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この東京女学館中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答
  • (問1)(ア)
  • (問2)(ウ)
解説
  • ➀問題から、夜行性の昆虫が飛行する際には、光に対して進む方向が同じ角度になるように飛んでいることがわかります。例えば、問題の【図1】では、月の光は平行に届いており、月の光が届く方向と昆虫の進む方向の間の角度(角度a)が同じになるようにすることで、昆虫はまっすぐに進んでいます。この考え方をもとにすると、【図2】では、➀と➁の光は平行ではありませんが、昆虫は➀、➁のそれぞれの光に対して角度aだけずれた方向へ進んでいくと推測することができるので、(ア)の方向へ進むと考えられます。
  • ➁➀と同じように街灯の光に対して同じ角度になるように進むことを手がかりにします。街灯の光は【図3】のようにあらゆる方向に出ています。街灯の光に対して、角度aが同じ角度になるように進んでいくようすを線で示すと、下の図のように、回転するように近付いていくと考えられます。

問2 解説

日能研がこの問題を選んだ理由

夜に昆虫が街灯などに集まっているようすは、多くの人が目にしたことがある現象だと思います。この問題では、日常の生活の中で観察することができる現象を取り上げ、光の進み方をもとにして、昆虫がどのように進んでいくのかというプロセスを筋道を立ててとらえていきます。

この問題を通して、子どもたちの身の回りで観察したさまざまなことがらについても、原因やしくみなどを明確にして現象をとらえていくことにつながると考え、日能研ではこの問題を□○シリーズに選ぶことに致しました。