中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

浅野中学校

2014年05月掲載

浅野中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.一人ひとりが居場所を見つけて、個性と能力を伸ばせる。それが浅野の魅力だ。

インタビュー3/3

毎年、概ね理系が多い

文理で分かれると、どのくらいの比率になりますか。

麻生先生 学年によって多少の違いはありますが、概ね理系のほうが多いです。多い年は3分の2が理系です。

最近の高校生を見ていて、変わってきていると感じるところはありますか。

麻生先生 スマートですね。何事にもあっさりしています。例えば進路を選ぶ時に、以前は「どうしてもこのコースじゃなければいやだ」という子が多かったのですが、最近はあっさり変えてしまう子もいます。大学受験にしても、本来の志望校ではないのに、難関校と言われる大学だったらいいやと判断する子が増えている印象です。

浪人せずに、入学を決めてしまうということですか?

麻生先生 そうなんですよ。そこがスマートなんですよね。「なにがなんでもこの大学に!」という子が少なくなっているように感じます。こだわりがないところは、少し気になっていて、たしかに大学受験は大変ですが、長い人生で見れば、1回くらい失敗してもいいんじゃないかと思うんです。でも、それはどうしても嫌みたいで、「ここに行きます」とあっさり(進学先を)決める者がいるんですよね。

先ほど(私が)レポートにいろいろなことを書くと言いましたが、昔はそれを見て、職員室まで押しかけてくる子がいました。「先生、これは違うと思いますよ」と力説する子がいましが、最近、そういう子も少なくなりました(笑)。

私はそういう子を、興味を持っていてくれているととらえるので、少し残念ですね。

社会科/麻生 徹先生

社会科/麻生 徹先生

最近の生徒は教員と深く関わろうとしない!?

疑問がないわけではないけれど、先生のところに押し掛けていくほど強さがない、ということでしょうか。

麻生先生 そうですね。以前ほど押しの強さはないです。

そういうところは、授業でも見られますか。

麻生先生 学年によって差はありますよね。突ついてみると反応がある場合もありますが、全般的にはおとなしめです。

昔は、放課後に職員室で仕事をしていると、「自分の話を聞いてくれ」と押し掛けてくる子がいました。聞いていると、世間話なんですよ。「忙しいのにな」と思いながらも聞いていましたが、そんな生徒もいなくなりましたね。私が年をとり、生徒との距離が離れつつあるのかなとも思っているんですけどね。

職員室は1つなんですか。

麻生先生 いえ、いろいろあります。教科担任で入っていると、どこら辺にいるというのは、生徒も知っているはずなのですが、遠慮しているのかどうか、あまり来ないです。挨拶をしてくれる子は増えた気がしますね。他のことに我、関せずではないんですよね。でも、深く関わりたいかというとそうではない。不思議ですよね。

自分で決めたことをしっかりやればいい

受験生に期待することはどんなことでしょう。

麻生先生 やはりしつこさを持ってほしいんですよね。特に、自分が決めたことには、しつこさをもって臨んでほしいと思います。高校の担任に入った時に、折にふれて進路の話などをしますよね。なかなか決まらない子、選べないでいる子にはハッキリ言うのですが。A・B・Cと3つの大学があったとします。Aを選んだということは、BとCを選ばなかったということですよね。それに対して責任を持ってほしいし、とことん追求してほしいのです。

将来の職業を考えて大学を選べたらベストですが、それはなかなか難しいことかもしれません。社会が変化する中で、自身の考えも変わりますから、深く考えることもないのではないかと思います。私も一直線にここ(浅野)へ来たわけではないですが、ここにいる理由を考えれば1本筋が通っているので、「自分で決めたことをしっかりやるということでいいんじゃない」と、生徒にも言っています。

浅野中学校

浅野中学校

生徒の個性、能力を伸ばす環境が魅力

“浅野らしさ”を教えてください。

麻生先生 うちの学校には不必要な規則はないんですね。まず一つ、そこがいいところだと思います。また、結構、居場所があります。クラブが居場所の子もいれば、今度、新図書館ができますが、本を読みたい子はそういうところで本を読んでいます。文化部の子は目立たないけれども一所懸命やっていて、非常に楽しそうです。いろいろな居場所があって、いろいろなことにチャレンジできるところが浅野のよさだと思います。文化祭などでも、やってみたいアイデアがあれば、検討します。もちろん無理なものもありますが、できそうなことはやってみることを前提に考えますので、アイデアを持っている子には合っている学校だと思いますね。

進路なども、成績によってアドバイスしますが、それだけではありません。例えば中3、高1を対象の進路講演会では、卒業生や社会の一線で働いている方をお招きし、話を聞くだけでなく、質問を自由にさせています。以前、お医者さんをやっている方にお話いただいた時は「ぜひ医学部志望の生徒さんと話がしたい」とおっしゃるので、高1、高2の医学部志望の生徒を呼んで、座談会のような場を設けました。すると生徒は、こちらが思っていた以上にいろいろ質問をしていました。そういう経験などをとおして、受験でイメージしている医学部の姿だけではないものが見えてくるのと思います。

最終的には本人の希望はしっかりと聞きます。聞いた上で、成績なども加味して考え、必要であれば何度も話す場を設けて決めています。ですから、最終的には納得してもらえるのではないかと思っていて、それがうちの学校のよさだと思っています。

『面倒見のいい学校』という評価をしていただいたことがあるようなのですが、面倒見のよさを具体的にいうと、そういうところなのかなと思います。

先生と生徒の距離が近い

麻生先生 クラブも、やりたくて入ってきている子ばかりではないんですよね。友達に誘われて、なんとなくついてきてしまったけど、入ったら、合宿でいろいろなところに調査しに行けたりして「おもしろい」と言っている子がいます。そうなると今まであまり興味のなかった本筋の方にも興味が出てきて、気がついたら積極的に活動していたということもあります。

高校生になると、自分で考えるところも出てきます。部活は退いたが「文化祭の企画を出してみようか」と言って、実行委員をやっている子もいますし、部活ではなく、外で頑張っている子もいます。浅野で勉強をしながら、相撲の大会に出続けている子がいて、学校単位でなければ出場できない大会には先生に頼んで付き添いをしてもらっています。

こんなふうに教員と生徒の距離が近いのも、浅野の特徴です。学年のフロアに職員室があり、そこに学年の担任が詰めていることが多いので、ちょっとした相談がしやすいのだと思います。

浅野中学校

浅野中学校

インタビュー3/3

浅野中学校
浅野中学校1920(大正9)年、事業家・浅野總一郎によって創立。当初はアメリカのゲイリー・システムという勤労主義を導入し、学内に設けられた工場による科学技術教育と実用的な語学教育を特色とした。戦後間もなく中高一貫体制を確立し、1997(平成9)年に高校募集を停止。難関大学合格者が多い進学校として知られているだけでなく、「人間教育のしっかりした男子校」としても高い評価を受けている。
「愛と和、九転十起」を校訓とし、自主独立の精神、義務と責任の自覚、高い品位と豊かな情操を具えた、心身ともに健康で、創造的な能力をもつ逞しい人間の育成に努めることを教育方針とする。校章は、浅野の頭文字で「一番・優秀」の象徴である「A」と、「栄誉・勝利」「幸運・誇り」の象徴である「月桂樹」から形作られており、「常に誇り高き勝利者たれ」という願いが込められている。
ベイブリッジを見下ろす高台にある約6万㎡の広大な敷地の半分は、「銅像山」と呼ばれる自然林で占められている。地下2階・地上5階建ての高校棟には、PC教室、120インチのビデオプロジェクターを備えた語学演習室などがある。2014(平成26)年には新体育館、新図書館が完成、2016(平成28)年にはグラウンドを全面人工芝化。
中高6年間一貫カリキュラムをとおして、大学受験に通用する学力を養成することが目標。授業を基本とした指導が徹底している。英語・数学・理科は中学2年までに中学校の学習範囲を修了。英語は週1時間の外国人教師によるオーラルコミュニケーションがある。数学では独自の教材やプリントが使われていて、中身の濃い授業が展開されている。中学3年・高校1年では「英数クラス」を各1クラス設置。高校2年からは進路志望別のクラスに分けて授業を行う。伝統的に理系志向が強く、理数系ではハイレベルな授業が展開されている。高度な授業展開の一方で、面倒見のよいことも大きな特徴。授業をしっかり理解させるために、補習・追試・夏期講習など行う。
「本校は『各駅停車』の学校です。大学受験行きの特急ではありません。」― これは学校からの受験生へのメッセージ。一歩ずつゆっくりと、しかし、確実に成長させるオーソドックスな指導方針が浅野イズム。
クラブ活動と学習を両立させる伝統があり、中学は98%の生徒がクラブに参加している。ボクシング、化学、囲碁、将棋、ディベートが全国レベル。ハンドボールやサッカーも活躍している。また、毎年9月に「打越祭」の名で、文化祭・体育祭が行われるなど、学校行事も盛んで、生徒一人ひとりが充実した学園生活を送っている。「銅像山」は、傾斜がかなりきつく、クロスカントリーや運動部の走り込みに使われるだけでなく、中学生たちの絶好の遊び場所となっている。職員室や各学年の担任控室をオープンにし、生徒との対話を重視するなど、メンタルケアにも力を入れている。