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出題校にインタビュー!

2013年 開智中学校【理科】

開智中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.体験は記憶に残る。低学年の体験を高学年の理論づけで活かせるのが一貫校の強み。

「先端クラスの入試では、問題集に出ているような問題は出さない」

先端クラスの入試は今年で何年目になりますか。

崔先生 5年目ですね。

問題は、毎年、検討し、変化させていったのですか。

崔先生 そうですね。平均点などデータの蓄積がありますから、もう少しこのあたりは難しくしてもいいんじゃないかなど、調整はしていますね。今年は平均点が低かったので、来年はもう少し高くする方向になるかもしれません。

共通認識として、先端クラスの問題は一般クラスの問題よりも思いきった問題を出してもよいというコンセンサスはとれているのですか。

崔先生 (先端クラスの入試問題には)問題集に出ているような問題は出さないということですね。

素材は身近なものということでしたが、日常触れるものが多いのですか。

崔先生 そうですね。そういう傾向が多いですね。今年は地学も担当したのですが、火星探査機キュリオシティのニュースがありましたよね。どの程度興味があるのかなということで、今年は火星の問題を出題してみました。麻布さんか武蔵さんでも出していたのですが、はじめ僕たちも、火星が近づいた時の月との角度を計算して数値を出させようとしていたのです。ただ、いくらなんでも30分では難しいだろうということで削除しました。

時間があれば出せたかもしれないですね。

崔先生 そうなんです。(他校の問題を見て)みんな同じことを考えるのだなと思いました。

理科/崔 洛昇先生

理科/崔 洛昇先生

「理科に興味をもっている子が受けているという手応えはある」

難しいかな?と思う問題を出しても、受験生はくいついているなという実感はありましたか。

崔先生 ありましたね。全員がそうではないのですが、理科に興味をもっている子が、ある程度部分点をとっていたので、小学生を侮ってはいけないと僕は思います。

たぶん一番難しいんじゃないかと思ったのは、□2番の地学の問題だと思うのですが…。これ、逆行しないんですよね。塾で勉強している子は「逆行している」と答えてしまうのではないかと思いました。

崔先生 それを狙って出題しました。たぶん知識を問う問題なら答えられたと思うんですよ。だから角度を限定して、「こうなるんだよ」ということをしっかり解答してほしいなと思って出しました。

この問題は、子どもが知識だけで解いてしまったのではないかなと思ったところですね。

「中1、中2は実験中心の授業。年間20回~25回は実施する」

ふだんの授業では、どんなかたちで子どもたちの学ぶ力を伸ばしていこうとされているのですか。

小出先生 私は低学年を主に見ているのですが、中1などはいろいろなものに興味をもっていて、知識の量もかなり豊富で、その記憶もかなり新鮮な状態なんですね。授業では、今まで問題集などでしか考えてこなかった内容について実験をしてみるというようなことをメインにやっていまして、2回に1回から3回に1回くらいは実験をしています。多い時は、年間20回から25回くらいは実験が入ります。

ですから、低学年で一番大事にしていることは、実験を通して気づいたことや学んだことは何かということです。実験ありきを強調し、子どもたちにも意識をさせて、関係性から法則を見つけるというようなことですね。例えば理科の2分野だったら解剖をしてみて、このつくりはこうなっているんだなということを発見するなど、手を動かし、視覚でとらえて…ということを大切にしています。

また、その実験には目的があるので、それをまず理解して、その目的にそって実験できたかを振り返ることを大切にしています。実験が終わった後に感想を書かせるのですが、ただ「これがおもしろかった」ではなくて、プラスアルファで自分でやってみたいことや、この実験から新たにわかったことなども書かせるようにしているんですね。実験だけで完結しないで、家に帰って気になったことを調べてみようなど、そこまで意識づけができるようにしています。

いきなり「いろいろなことに興味をもとう」と言っても難しいので、実験などを通して動機づけをしてあげて、その中からこの構造はどうなっているのだろう、というような、自分が知りたいことに気づいて感想欄に書いてくれる子はたくさんいますね。

開智中学校

「高学年には“実験は失敗して当たり前。そこから学ぶものが大切”と教えている」

理科の先生にお話を聞くと、実験なのに合っているかどうかを聞く生徒が多いと言います。そのあたりは指導されていますか。

崔先生 どうでしょうか。私は中3から高3と、主に高学年を受け持っているので、高学年には「実験は失敗して当たり前」ということを教えています。中1、中2は実験が多く、中3以降は理論づけに入っていくんですよ。

中3、高1はきちんとした知識を身につけなければいけないのですが、高2、高3になったら、その知識を道具として使い、「科学の知識を使ってこの自然を読み解くことができるんだよ」ということを絶えず意識させています。だから、きみたちが失敗するということは当たり前。教師が準備したからうまくいくわけで、昔の科学者はガラス器具を素材から加工しなければいけないような条件でやっていたので、「成功するのが当たりまえと思い込んでいるけれども、そうではなくて、失敗したら失敗したなりの原因をきちんと考えることが大切なんだよ」と言っていますね。ノーベル化学賞の白川さん、田中さんも、失敗からの発見で受賞したわけですから、冗談で「きみたちも失敗を繰り返すうちにノーベル賞を取ったらテレビに呼んでくれ。そうしたらほめちぎってあげるよ」と言っています。

私学でも、大学受験を目前にした高2、高3になっても、そのように「失敗するのは当たり前」というような意識づけをされているのは珍しいと思います。

崔先生 きれいな結果を導くというのは、知識があれば誰でもできると思うんです。そうではなくて、この実験で失敗したのは、どこが悪かったからなのか。そういうことを考えることが大切だと思います。

「実験と理論をリンク。体験から身につくと記憶に残りやすい」

生澤先生は何年生をお持ちなんですか。

生澤先生 私は中3、高1が多くて、あとは高2、高3を見ています。中1、中2では実験、観察が多く、その後は理論づけになるのですが、例えば生物なら、茎の構造を習います。道管と師管があり、道管が水を運ぶことは知っていますが、では「なぜ、(道管は)より内側にあるの?」と聞くとわからなくなっていくんですね。「やったよね」と言うと、それは記憶していて、では「なぜ?」「乾燥から身を守るためには、水を逃がしたくないから内側にあるんだよね」と言うと、「あっ」と腑に落ちるというか。「構造には意味があるから、そうなっているんだよね」と言うと、今までの体験と理屈が結びついて「ああ、そうか。だからか」となるんですね。それが(生徒に)「おもしろいな」「すごいな」と思ってもらえるポイントなのかなと思います。

やってきた実験と理論をリンクさせることを大事にしていくと、体験から身につくものなので、すごく記憶に残りやすいと思います。だから高2、高3になって、入試問題の演習をやる時に「思い出してごらんよ」と。「あの時、こういうことをやったじゃないか」と言うと、その時の記憶が蘇る。今までやってきたことが全部つながっているわけなんですよね。

理科/生澤 昌之先生

理科/生澤 昌之先生

「高2文系の化学の選択授業では時間に余裕がある分、実験が豊富」

世の中も、体験で伸ばす方向になってきていますが、学校の授業の枠の中ではどうしても時間がかかるという問題がありますよね。

崔先生 正直に申し上げると、高3の受験時に中1のように頻繁に実験はできませんよね。でも、理科の基本は実験だと、私個人は思っていますので、時間があればやらせたいなと思っています。高校課程で一番実験が多いのは高2の文系で、センター試験でしか化学を使わない子たちです。「化学I」のみなので時間に余裕があるのですね。ですから彼らは、理系よりも実験をしているかもしれません。

水酸化ナトリウムを使用する、中和滴定の実験も、本来こちらが調整して生徒にやらせるのですが、秤量から全部自分たちでやらせます。3時間連続で実験などをやりますので、どっちが理系なんだ?と思う時もありますね。まあ、理系の生徒は大学に行っていくらでもできますけど、文系の生徒はここでしかできないでしょうから…。

いい経験になりますよね。

崔先生 そうですね。楽しそうにやっているので、それが一番です。

「中1、中2では、目で見たり手を動かしたりして理解を深める」

小出先生は低学年をもつことが多いということですが、上級生になった時のことを踏まえて教えていますか。

小出先生 中1、中2の生徒にも難しい話が必要な時もありますが、それよりも「なぜこうなるのか」ということを、実際に目で見たり手を動かしたりして、事実を確かめさせることを大事にしています。そういうことを経験していることが、その後、知識を深めていく上で重要だと思っています。やはり中1、中2の生徒には、「なるほど!」「だからか」とたくさん言ってほしいですよね。小学生の時は塾でたくさん勉強してきた電流の分野でも、「回路を組み立てたのは初めてです」という子もいるんです。教科書など本の中だけではなくて、実際に配線をしたり、組み立てたりしてみることで、より理解が深まるのではないかと思うので、それを低学年では大切にしています。

崔先生 私も以前は低学年をもっていて、中1から上に上がっていったのですが、一貫校のいいところは、高学年の授業の中で、低学年の時にやったことを使えることなんですよね。

今日、ちょうど中3で酸化還元というのをやったのですが。二酸化炭素とマグネシウムを反応させて、二酸化炭素の酸素をマグネシウムがとって、還元しているから炭素が生じるという反応式を書くという内容だったんですね。「この反応を知っているよね」と聞いたら、みんな「知らない」と言うんですよ。「やっただろう」と、1年生の時に、実験で二酸化炭素を入れてマグネシウムリボンを燃やす実験をするので、その話をしたらみんな「ああ」と言って思い出してくれました。一貫校は、ここが便利なんですよね。それを化学式で書くとこうなる。きみたちはおもしろいというだけで実験をやっていたかもしれないけど、「酸化還元反応という深い意味があったんだよ」と関連づけて授業ができるんです。

理科/小出 美穂先生

理科/小出 美穂先生

「疑問→仮説→検証は、理科に限らず社会でも取り組んでいる」

開校当初からフィールドワークを大事にされていましたが、そういう考えがあってのことなのでしょうか。

小出先生 中1も、自分の探究に取り組んでいて、「なんだろう」と疑問をもったことに対して、自分なりに「こうなるんじゃないか」という仮説を立てて、それを検証するためにはどんな方法があるかなと実験を考えたり、調べたりしています。(探究の)テーマによっては理科でやっている実験などがアプローチの一つになってくれればいいなと思いますね。

それは理科に限らず社会科なども同じような姿勢で取り組んでいるのでしょうか。

小出先生 例えば中1では、クラスの一人ひとりが、興味をもった歴史上の人物を調べて、全員で新聞を作っています。中2の先端クラスでは、その調べてきた内容を使って、生徒が教員に代って授業をする、というようなこともしています。

生澤先生 そういえば社会科には、生徒に教案をつくらせるという先生がいたよね。

小出先生 いましたね。

それは何年生ですか。

小出先生 中3くらいじゃないですか。

崔先生 中3でやっていますね。教室に行くと、黒板に教案提出と書いてあり、まさか教師がそんなことをするわけがないなと。生徒に「これ、きみたちの仕事?」と聞いたら「そうです」と言っていました。

インタビュー 2/3

開智中学校

開智中学校心温かい21世紀のリーダーを育てるために環境・設備に最善を尽くし、研究を重ねた中高一貫の教育内容で、1997(平成9)年、現開智高校を設立母体として新設開校。綿密に練られた理念と教育計画は、開校当初より大きな注目と人気を集める。開智中高は一貫部、開智高校は高等部と区別改称。2004年、小学校(総合部)を開校。

5階までの中央の吹き抜けが、開放的な生活環境をつくる。質問コーナーを設置した開放的な職員室。ブース式で140席ほどある自習室。蔵書約4万冊の図書室。演劇発表や講演会ができる340席のホール。バスケ2面の体育館。広大なグラウンドなど施設に恵まれている。昼食は中1・2まで弁当持参。ただし希望者には給食弁当あり。中3から食堂などが利用可。

「創造型・発信型の心豊かな国際的リーダーの育成」を教育の目標に掲げ開智教育の3つの柱である「高質な知識と思考力を育てる教科の授業」「学ぶ力を育て探究力・発信力を養う探究テーマ・フィールドワーク」「行事・部活動・生徒会活動などによる自主性の育成」に取り組む。

難関大学を目指す徹底的な中高一貫進学校型カリキュラム。2年ごとに3つのステージに分類。I類・II類、文系・理系分けなど、目標や適性に合わせ複合的にコースを組みあげている。週2回の英会話はネイティブとのチームティーチング。『フォニックス』『トレジャー』を使い、英語で自分の意見を発信、ディスカッションできる高度な英語力を養成。英・数は習熟度別分割授業。補習・講習、プリント、小テストなどメニュー豊富できめ細やか。本(知識)を前提とせず体験から学ぶ「フィールドワーク」や、一人ひとりがもつ「探究テーマ」は、受験レベルを超えた創造的学力を養う同校ならでは。2009年に「先端創造クラス」を新設。自ら考え学ぶ創造的学力を高度に育成する。

フィールドワークは、中1は磯、中2は森林へ行く。中3で関西・広島、高1で首都圏、高2でイギリスへと活動範囲が広がる。クラスの枠を越え、探究テーマを深めながら、発表、取材、討論をとおして、国際的視野に高めていく。中2~高1の希望者対象にニュージーランド・オーストラリア語学研修もある。生徒会・部活動などに自主性が生かされ、THEグリーン委員会、ボランティア委員会など、生徒からの声で作られた委員会もある。高1・高2では「学部学科探究」を実施。いろいろな分野の大学の教授から講義を聞き、学問への興味付けをはかる。クラブは、運動部13、文化部9、同好会2あり、週4日活動。

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