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出題校にインタビュー!

2013年 開智中学校【理科】

開智中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.だから難問もあえて出すのは、気づきこそ、理科の喜びだから。チャレンジしてほしい。

「身近な勘違い。そうではないことを伝えたかった」

まず、この問題を出題した理由や、この問題を通してどのような力を問いたかったのかを教えてください。

小出先生 鏡を見たことがない子はいないと思うのですが、自分が近づいたり、遠ざかったりする中で、見えている絵(像)は思い込み、先入観なんですね。遠ざかると見える範囲が広がったりするのは勘違いなのですが、それを信じている子ども、あるいは大人がたくさんいると思うんです。そこで、「本質はそうではないよ」ということを、しっかりと道筋を立てて説明する。納得して答えを導くことが大切であることを伝えたいと思い、出題しました。

理科/小出 美穂先生

理科/小出 美穂先生

「予想以上に正答率は高かった」

受験生のでき具合はいかがでしたか。

小出先生 この問題を作文する上でヒントになったのが、理科の授業なんです。私は中1を担当しているので、同じような入射、反射の実験をやっているんですね。その中で、生徒に聞くと「たくさん見えるんじゃないか」と答える。なんの疑いもなく、自信をもって「たくさん見える」と答える子がたくさんいるのです。そこで「本当にそうかな」と、実際に鏡を持たせて確認させると「あれ?」と気づきがあるので、これを知っているかどうかは別問題として、5割前後の受験生が、答えを導き出せていたかなという印象です。

それは先生方の予想と比べて、いかがでしたか。

崔先生 僕は高いと思いました。2~3割できればいいと思っていたので。自分自身もそうですが、意外と思い込みというのは多いですよね。

小出先生 問1問2はアプローチの仕方は同じなのですが、問1のほうはできる。問2のほうが勘違いや思い込みや先入観で、「広がる」「大きくなる」「たくさん見えるようになる」と回答している受験生がいましたね。

イウを選んでいるという感じでしょうか。

小出先生 そうですね。

「普段からいろいろなことに興味関心をもち、疑いの目を向けることが大切」

前の問題で、鏡を使って「見える範囲」の問題を出していて、そこから筋道を立てられるのかなとも思いましたが、我々も2~3割と予想していました。今のお話だと、意外とできている子が多くて驚きました。やはり先端クラスの入試問題なので、普段からそういうことに気づきのあった子が受けているというのもあるのでしょうか。

小出先生 その影響は少なからずあると思います。普段からいろいろなことに興味・関心をもって生活している受験生が多かったのではないでしょうか。丸暗記ではなく、自分で手を動かすことのできる子のほうが理解していて、解答できたかなとは思います。

こういう問題を解ける子に、どういう子ども像をイメージされますか。

小出先生 科学なので真実はあるのですが、まずは疑いの目をかけてみるとか、「なぜ、こうなるのだろう」という疑問が浮かばないと、発展的な内容につながっていかないですよね。その疑問を抱いたことに対して自分の力で調べようとか、解決しようとか。そういう力をもっている子のほうが、入学してから伸びると思うので、そういう子がたくさん入ってきてくれるといいなと思います。

理科/崔 洛昇先生

理科/崔 洛昇先生

「授業では、鏡を遠ざけた時の作図で間違えることが多い」

この問題は男女で差は見られましたか。

崔先生 そこまでは調べていないですね。

小出先生 印象ですが、そんなに男女差はなかったと思います。

答えられなかった子は、どういう理由で間違えたと思いますか。

小出先生 授業の中では作図をさせるんですね。この図ですと、目の前にある物への入射と反射の作図はできると思うんです。ただ、鏡が遠ざかった時の入射角と反射角が、作図の段階で広がってしまっている、そういう間違いが授業の中では多いですね。そこで「これで大丈夫?」と指摘をすると、「あれっ」と気づいてくれる。鏡を見て確かめるということはさせています。

「間違いに気づくと表情が変わる。その感覚を大事にしてほしい」

授業では、まず投げかけて、作図をさせるのですか。

小出先生 班に鏡を渡して、近づけたり遠ざけたり、見え方を確かめた上で、「作図で表してごらん」と促します。それでも広い範囲が見えているという感覚があるんですよね。たぶん自分の顔の後ろの景色や距離感などで、広い範囲が見えると勘違いするのだと思うのですが…。

間違えても、気づいて納得してくれれば…ということですね。

小出先生 「こうだよ」と教えられるよりは、生徒自身が思い込みや勘違いをして間違えていたことに気づいて、自分の中で修正していく方が大切です。発見した時は、「なるほど」と、生徒の表情がよくなるんですね。授業の中で達成感があるので、表情を見ていると「こういう実験をしてよかったな」と思いますし、こういう感覚を大事にしてほしいなと思いますね。ですから、この問題を解いた後、どのくらいの受験生が家に帰ってから確かめたかなというのは、気になるところですね。

ほとんど全員がやっているんじゃないですか。

小出先生 そうだとうれしいんですけどね。

開智中学校

「先端クラス入試では、受験生のもつ知的好奇心を見たい」

この問題や、入試問題全体を通して、ほかに先生方が感じたことはありましたか。

崔先生 この問題の後になりますが、問6の缶の問題は、パターンというか、知識ではなく、だいたいこうなるだろうということを自分で推測しなければならない、頭の体操のような問題でした。疲れたりすると考えるのが面倒くさくなってきますので、いい問題だなと思いました。

理科の、入試問題全般に広げて、先端クラス入試で先生方が大事にされていることや、ポイントなどを教えてください。

崔先生 先端クラス入試の場合は、塾や学校で習った知識を問う問題よりも、与えられた条件の中でいかに考えられるか、そういう問題づくりを絶えず意識しています。例えば世の中の身近な出来事などがありますよね。それに対して、いかに興味をもって自分で調べていくか。そういう知的好奇心というか。そういうものを見られる問題づくりを意識しています。

ここまで思いきった問題を出すには勇気が必要だったと思うのですが、それは先端クラスをつくった時から考えられていたことなのですか。

崔先生 そうですね。

「高度な内容でも、わかりやすく興味を引く問題づくりを心がけている」

問題を作っていく上で、問いかけ方や素材などで、先生方が意識されていることはありますか。

生澤先生 私は生物分野を担当しているのですが、実際に知識として習う時には、たとえ高校、大学の内容であっても、やはり身近なものというのが大事なことだと思います。たとえ難しいことでも、もう少しかみくだいて、ある程度説明してあげれば、小学生でも理解できるわけですよね。たとえばNHKスペシャルの内容も、みんなにわかるように、かみ砕いて説明してもらえるからわかるので、それを意識して、今回、私の場合は味覚について出題しました。まだ研究途中でわかっていないことが多いのですが、なるべく小学生にもわかるように説明すると、「味ってこうなっているんだ」「こう感じるんだ」ということに気づいてもらえる。本当は高度な内容かもしれないけれど、みんながそれを読んで、興味をもってもらえるということも、私が視点を置いたところですね。

そのためにどうすればいいかというと、しっかりその情報を読み取る力が大事なのかなと思います。サッと読んでしまうと、読み落としてしまい、何を言っているのかわからないのですが、しっかり読み込んで、情報を得て、それを処理できれば、答えを導けると思います。そこを意識して出題したつもりです。

理科/生澤 昌之先生

理科/生澤 昌之先生

「60点満点中最高点は59点。小学生といえども侮れない」

生澤先生は生物の問題ですが、小出先生であればこの分野で、アイデアを出して問題をつくるという感じですか。

小出先生 そうですね。私はまさにこの回、この単元を担当したのですが、全問題に共通して聞いていることは光の入射、反射に終始していると思います。光の分野では、レンズを通して出てくる光の道すじがどうなるかなどは、塾でたくさん勉強してきていると思います。ただ、視点を変えるとおもしろい問題もできると思いますし、新たな発見や気づきを得られるのではないかと思っています。

それぞれの先生がいろいろな問題を持ち寄るのですから、バランスを取るのは大変ですね。先生方の間ではどんな議論があるのですか?

崔先生 はじめは、むしろ簡単すぎる問題を作問し苦労してきたのですが。僕は地学分野と化学分野を担当しました。化学分野では「洗濯物はなぜ乾くのか」という疑問をもっていたんですね。それは、自分が小学生の時に思ったことなんです。本が好きで、図書館で読んでいたら、空気も水もすべて原子なる粒から出来ているという知識を得て、例えば温度が100℃になっていなくても水は気体になるんだということにものすごい衝撃を受けたので、これは先端クラス選抜に問いかけなければいけないなと思いました。

そういうことがわかった時というのは、心の中にパッと花が咲くような喜びというのがありますよね。それを共有できる生徒に入ってきてほしいなと思ってこの問題を出したのです。びっくりしたのは、60点満点中最高点が59点だったこと。私が出題した問題を解いている受験生がいるんですよね。小学生、侮るべからずです。

「難問は小学生への挑戦状」

その問題は、小学生には難しいだろうという確信があって出題したのですか。

崔先生 そうなんです。分子、原子という言葉は使いませんので、かみくだいて、どのあたりまでわかるかなと、小学生に挑戦状を投げかけたつもりで出したのですが、たいしたものでした。

その問題の正解者は多くはなかったのですか。

崔先生 多くはなかったです。ただ、小学生なりにどこまで解けるのか、というのを見たかったんですね。

毎年問題を見させていただいていますが、今年は特に与えられた条件を読み取って、答えさせる問題が占める割合が大きかったですね。子どもへの挑戦状というか、ここからわかることを考えてね、という問題だと思いました。解答時間がもっとあれば、記述の問題が増えそうですよね。

小出先生 理科なので、記述力や作図などは、解答に力の差が出ます。こういった問題も適宜入れていきたいと思います。

開智中学校 先生

インタビュー 1/3

開智中学校

開智中学校心温かい21世紀のリーダーを育てるために環境・設備に最善を尽くし、研究を重ねた中高一貫の教育内容で、1997(平成9)年、現開智高校を設立母体として新設開校。綿密に練られた理念と教育計画は、開校当初より大きな注目と人気を集める。開智中高は一貫部、開智高校は高等部と区別改称。2004年、小学校(総合部)を開校。

5階までの中央の吹き抜けが、開放的な生活環境をつくる。質問コーナーを設置した開放的な職員室。ブース式で140席ほどある自習室。蔵書約4万冊の図書室。演劇発表や講演会ができる340席のホール。バスケ2面の体育館。広大なグラウンドなど施設に恵まれている。昼食は中1・2まで弁当持参。ただし希望者には給食弁当あり。中3から食堂などが利用可。

「創造型・発信型の心豊かな国際的リーダーの育成」を教育の目標に掲げ開智教育の3つの柱である「高質な知識と思考力を育てる教科の授業」「学ぶ力を育て探究力・発信力を養う探究テーマ・フィールドワーク」「行事・部活動・生徒会活動などによる自主性の育成」に取り組む。

難関大学を目指す徹底的な中高一貫進学校型カリキュラム。2年ごとに3つのステージに分類。I類・II類、文系・理系分けなど、目標や適性に合わせ複合的にコースを組みあげている。週2回の英会話はネイティブとのチームティーチング。『フォニックス』『トレジャー』を使い、英語で自分の意見を発信、ディスカッションできる高度な英語力を養成。英・数は習熟度別分割授業。補習・講習、プリント、小テストなどメニュー豊富できめ細やか。本(知識)を前提とせず体験から学ぶ「フィールドワーク」や、一人ひとりがもつ「探究テーマ」は、受験レベルを超えた創造的学力を養う同校ならでは。2009年に「先端創造クラス」を新設。自ら考え学ぶ創造的学力を高度に育成する。

フィールドワークは、中1は磯、中2は森林へ行く。中3で関西・広島、高1で首都圏、高2でイギリスへと活動範囲が広がる。クラスの枠を越え、探究テーマを深めながら、発表、取材、討論をとおして、国際的視野に高めていく。中2~高1の希望者対象にニュージーランド・オーストラリア語学研修もある。生徒会・部活動などに自主性が生かされ、THEグリーン委員会、ボランティア委員会など、生徒からの声で作られた委員会もある。高1・高2では「学部学科探究」を実施。いろいろな分野の大学の教授から講義を聞き、学問への興味付けをはかる。クラブは、運動部13、文化部9、同好会2あり、週4日活動。

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