今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
桐光学園中学校
2026年09月掲載

2026年 桐光学園中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。
昨年は参議院議員選挙が実施され、7月3日に公示、20日に投開票がおこなわれました。(中略)
2013年に公職選挙法が一部改正され、インターネットを利用した選挙活動が可能となりました。今回の選挙では各政党が今まで以上にSNSや動画サイトの発信に力をいれていました。選挙でのインターネット利用が大きな役割を担う一方で、情報を発信する側がルールを守っていく姿勢や、情報を受け取る側がその情報が正しいものであるのかを自ら判断する力などの、いわゆるメディアリテラシーが求められています。
(問)下線部に関して、人が物事を判断する時に、無意識に生じてしまう思考の偏(かたよ)りや、ゆがみのことを、「認知バイアス」といいます。次の、(A)~(C)の認知バイアスの説明と具体例の組み合わせとして正しいものを、下の中から1つ選び、番号で答えなさい。


中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この桐光学園中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答
3
解説
それぞれの「認知バイアス」の説明は抽象的な表現になっているので、これを具体的な場面にあてはめて考えます。
<具体例>の [あ] は、「新しいテレビゲームを多くの人が買う」ということが、<説明>の(B)(バンドワゴン効果)の「多くの人が注目している物事」にあたり、そのゲームが面白い(良い)ものという判断につながっています。
<具体例>の [い] は、「通常価格5万円」というところが、<説明>の(A)(アンカリング効果)の「最初に示された情報」にあたり、それが基準となって、「今なら2万円」という価格を安いと感じることにつながっています。
<具体例>の [う] は、「難関大学を卒業している」ということが、<説明>の(C)(ハロー効果)の「一部の特徴」にあたり、「全体の評価」がそれにひきずられて「仕事ができる優秀な人」だろうと思うことにつながっています。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
私たちは、1日にどのくらいの量の「情報」に触れているのでしょうか。
手元のスマートフォン。街頭にあるデジタルサイネージ。電車の吊り広告。……
知りたいことがあれば、インターネットで瞬時に世界中の情報を集めることができますし、通販サイトやSNSを開けば、もはや自分から調べたり、探しにいったりしなくても、閲覧履歴などから自分の好みに合った情報が自動で流れてくる仕組みが活用されています。
テレビや新聞、インターネットなどのメディアを通じ、私たちが大量の情報に手軽にアクセスできる社会になるにつれ、発信された情報をうのみにせず、主体的に読み取って正しさを判断するメディアリテラシーも求められるようになっています。
また、私たちが情報を受け取るとき、無意識の思い込みや、思考のゆがみが生じ、偏った判断をしてしまうことがあります。これが「認知バイアス」です。
この問題では、認知バイアスと呼ばれるもののうちのいくつかについて、説明に即した具体例を選びます。認知バイアスについての細かな知識が問われているということではなく、それぞれで説明されている内容を読み取り、それが実際の場面ではどのような事象として起こるのかを結びつけることが求められています。
人は、自分の願望や経験、思い込み、周囲の環境などによって、無意識のうちに合理的ではない行動や、偏った判断をすることがある――このような「思考のクセ」の存在を知ったうえで、情報を受け取ったり、発信したりすることの重要性は、情報のあふれる現代社会においてますます高まっています。だからこそ、このような「認知バイアス」を、理論上だけのものとせず、自分の生活と重ね合わせ、この膨大な情報の中で生きている自分自身の行動につなげて考えていこう、というメッセージが、この問題からは感じられます。このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。