シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

麻布中学校

2026年09月掲載

麻布中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.好きなことと考える力を育てる6年間に

インタビュー3/3

普段の授業を通じて、生徒さんには入学後の6年間でどのような力をつけて大学や社会に出ていってほしいと思われますか?

石塚先生 6年間の学校生活の中で、まずは自分が好きだと思えるものを見つけてほしいです。そのうえで、自分に合うものと合わないものを見極めながら、将来に生かしていってほしいと思います。

好きなことが見つかっても、自分で考える力がなければ、それを実現するために何をすべきか大学生になったときにわからなくなってしまいます。ですから、好きなことを探すのと並行して、自ら考える力も養い、何か一つの分野に打ち込んでくれたら嬉しいですね。

佐藤先生 ほかのお二方と同様に、私も生徒には考える力を身につけてほしいと思っています。私個人としては、授業では教員自身が数学を面白そうに語ることが大切だと考えています。

AIは確かに発達していますが、ある日突然、誰も働かなくても全員が平和で幸せに暮らせるような世界になるわけではありません。少しずつ社会に浸透し、それに伴って仕事のあり方も変化していくのだと思います。

そのなかで、AIをうまく活用できない人は次第に厳しい立場に置かれていくでしょう。何もせずにいれば、AIに仕事を奪われる可能性もあります。そうならないためには、AIを正しく使いこなす力が必要です。そのために、生徒には物事を自分の頭で考え、判断できる力を身に付けてもらいたいと思っています。

重田先生 その場では理解できなかったことを、心に留めておけるのは、本校の生徒の素晴らしいところだと思います。実際に「以前、先生が話していたときはよくわからなかったけれど、今になって理解できた」と言ってくれる子もいます。わからないまま忘れてしまうのではなく、考え続けた結果、後になって理解へとつなげられるのはすごいことだと感じます。とにかく、自分で考えることを大切にしていってもらいたいですね。

数学科/石塚 健二郎先生

数学科/石塚 健二郎先生

人に説明できることが本当に理解できた証明に

生徒たちに、算数をこのように捉えながら学んでほしい、といった思いはありますか?

重田先生 数学でも算数でも、「本当にわかった」という感覚を持てる人は素晴らしいなと思います。先生がそう言ったから理解したつもりになることと、自分自身が納得して理解していることとの境目が曖昧な人は少なくありません。

だからこそ、「人に説明できるところまで理解して、初めてわかったと言える」という意識を持ち、ひとつひとつ着実に積み重ねていってほしいですね。

最後にこれから麻布中学校を目指す受験生に向けたメッセージをお願いします。

石塚先生 数学が得意な生徒に入学してもらえることは、もちろん嬉しく思います。ただ、数学に限らず、自分の好きなことを見つけ、それに向かって正しい方向で努力しようとする生徒であれば、全教員がしっかりと支えてくれる学校だと思います。安心して入学してきてほしいですね。

佐藤先生 受験生の皆さんは受験勉強で大変だと思いますが、そんな中でも、受験勉強だけでなくいろいろなことに興味を持ち、好きなことを見つけてほしいと思います。本校は自由な校風だと思われることも多いため、「勉強しない自由もあるのでは?」と考える人もいるかもしれません。ただ、もちろん勉強にはしっかり取り組んでもらいます。そのうえで、学ぶことそのものを楽しんでほしいと思っています。

重田先生 中学受験は大変ですし、合格発表を一つのゴールとして捉えている受験生も多いと思います。ただ、本当の意味では入学してからがスタートです。「麻布中学に入ったらこれをやりたい」「入学後に自分のやりたいことを見つけたい」という気持ちを持って、今の受験勉強に取り組んでほしいですね。

「合格すれば、もう勉強しなくていい」という思いだけを支えに頑張ってしまうと、入学後に思い描いていたものとは違う結果になりかねません。ぜひ、麻布での充実した学校生活を思い描きながら、受験勉強を頑張ってほしいと思います。

麻布中学校 校舎内

麻布中学校 校舎内

インタビュー3/3

麻布中学校
麻布中学校1895年、江原素六によって創立された。明文化された校則もない、自由闊達な校風が伝統。責任のともなう自由が重視され、一人ひとりの多様性や自主性を伸ばす教育が行われている。自発的な研究も盛んで、お互いを高めあう気風がある。OBも、政治家、作家、ジャーナリスト、俳優、経済界など、幅広い分野の第一線で活躍する。
中3国語の「卒業共同論文」、高1社会科の「基礎課程終了論文」など、各教科とも書くこと、表現することが重視される。その集大成が「論集」である。高1・高2では土曜日の2時間、教養総合として約30のテーマから選択する授業がある、OBなど学外の複数の講師が担当する講座もある。カナダ、中国、韓国など、海外学校との国際交流も活発に行われる。
クラブ活動や行事も盛んであり、文化祭、運動会とも大変な盛り上がりを見せる。将棋や囲碁は全国レベル。オセロ部、バックギャモン部、TRPG(テーブル・トーク・ロールプレイング・ゲーム)研究会など、他の学校ではめずらしいユニークな部活動もある。
2015年には、ランニングコースも備えた新体育館が完成した。また、放課後や休み時間に多数の生徒が訪れる図書館は、100周年記念館の2F、3Fにあり、蔵書は8万冊を超える。自発的に学ぶ意欲が育つ、個性的な私立男子校の代表格である。