今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
麻布中学校
2026年09月掲載

2026年 麻布中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
おもちゃの車両AとBがたくさんあります。下図のように、車両Aには一方の端(はし)に部品Xが、他方の端に部品Yが、車両Bには両方の端に部品Xが、それぞれついています。2つの車両は、部品Xどうし、部品Yどうしでつなげることができます。
両端が車両Aの部品Yとなるように、いくつかの車両を1列につなげて列車を作るとき、列車の作り方が何通りあるかを考えます。ただし、全体を逆順にした列車はもとの列車と同じ作り方と考えます。

例えば、以下の(イ)、(ウ)は同じ作り方と考えるので、5両の列車の作り方は2通りです。

(問1)7両の列車の作り方は何通りありますか。
(問2)9両の列車の作り方は何通りありますか。
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この麻布中学校の算数の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答
(問1)5通り
(問2)12通り
解説
Aの車両を、向きも含めて◢、◣と表し、Bの車両を■で表します。
両端は◢と◣で固定されるので、(1)では、両端以外の7-2=5(両)の作り方を、(2)では、両端以外の9-2=7(両)の作り方を考えます。
このとき、両端以外は、「■」または「◣◢」の2種類のもので作ると考えることができます。
(1)両端以外の5両として、
- ① ◣◢と◣◢と■の3つで作る場合
- ② ◣◢と■と■と■の4つで作る場合
- ③ ■と■と■と■と■の5つで作る場合
が考えられます。
逆順になる場合に気を付けて、次のようにそれぞれの作り方を調べます。
- ① ◣◢と◣◢と■の3つで作る場合
「◣◢ ◣◢ ■」「◣◢ ■ ◣◢」の2通りあります。
(「■ ◣◢ ◣◢」は、1つ目の逆順になるので数えません。) - ② ◣◢と■と■と■の4つで作る場合
「◣◢ ■ ■ ■」と「■ ◣◢ ■ ■」の2通りあります。
(「■ ■ ■ ◣◢」や「■ ■ ◣◢ ■」は、上記の逆順になるので数えません。) - ③ ■と■と■と■と■の5つで作る場合
「■ ■ ■ ■ ■」の1通りあります。
以上より、7両の列車の作り方は、2+2+1=5(通り)あります。
(2)両端以外の7両として、
- ① ◣◢と◣◢と◣◢と■の4つで作る場合
- ② ◣◢と◣◢と■と■と■の5つで作る場合
- ③ ◣◢と■と■と■と■と■の6つで作る場合
- ④ ■と■と■と■と■と■と■の7つで作る場合
が考えられます。
逆順になる場合に気を付けて、次のようにそれぞれの作り方を調べます。
- ① ◣◢と◣◢と◣◢と■の4つで作る場合
「◣◢ ◣◢ ◣◢ ■」「◣◢ ◣◢ ■ ◣◢」の2通りあります。 - ② ◣◢と◣◢と■と■と■の5つで作る場合
「◣◢ ◣◢ ■ ■ ■」「◣◢ ■ ◣◢ ■ ■」「◣◢ ■ ■ ◣◢ ■」
「◣◢ ■ ■ ■ ◣◢」「■ ◣◢ ◣◢ ■ ■」「■ ◣◢ ■ ◣◢ ■」
の6通りあります。 - ③ ◣◢と■と■と■と■と■の6つで作る場合
「◣◢ ■ ■ ■ ■ ■」「■ ◣◢ ■ ■ ■ ■」「■ ■ ◣◢ ■ ■ ■」
の3通りあります。 - ④ ■と■と■と■と■と■と■の7つで作る場合
「■ ■ ■ ■ ■ ■ ■」の1通りあります。
以上より、9両の列車の作り方は、2+6+3+1=12(通り)あります。
(別解)
逆順を同じとみなさないときは「並べ方」、逆順を同じとみなすときは「作り方」と呼ぶことにします。
(1)両端を除いた車両の並べ方を考えます。
- ・1両の場合
「■」の1通りあります。 - ・2両の場合
「◣◢」、「■ ■」の2通りあります。 - ・3両の場合
一番左が「■」のとき、残りの車両は3-1=2(両)です。
このとき、2両の場合と同じで、2通りあります。
一番左が「◣◢」のとき、残りの車両は3-2=1(両)です。
このとき、1両の場合と同じで、1通りあります。
以上より、2+1=3(通り)あります。
4両以上の場合も3両の場合と同じように考えることができます。
(4両の場合)=(3両の場合)+(2両の場合)=3+2=5(通り)
(5両の場合)=(4両の場合)+(3両の場合)=5+3=8(通り)
列車の作り方では逆順になっているものは同じとみなすので、逆順のない並べ方と逆順のある並べ方に分けて調べます。
【逆順のない並べ方】
逆順のない並べ方は、真ん中が「■」で左右対称なので、「■」を挟んで左側の並べ方だけを考えればよいです。
5両のとき、「2両分 ■ 2両分」となっているので、2両の場合と同じで2通りあります。
【逆順のある並べ方】
逆順のある並べ方はすべての並べ方から逆順のない並べ方をひいて求められます。
8-2=6(通り)
以上より、作り方は2+6÷2=5(通り)あります。
(2)両端を除いた9-2=7(両)の並べ方を考えます。
(6両の場合)=(5両の場合)+(4両の場合)=8+5=13(通り)
(7両の場合)=(6両の場合)+(5両の場合)=13+8=21(通り)
【逆順のない並べ方】
7両のとき、「3両分 ■ 3両分」となっているので、3両の場合と同じで3通りあります。
【逆順のある並べ方】
21-3=18(通り)
以上より、作り方は3+18÷2=12(通り)あります。
(参考)別解の方法から、両端を除いたN両の並べ方は、
1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、…
と続くフィボナッチ数列のN番目の数と等しくなることがわかります。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
おもちゃの車両をつなげて列車を作る。幼い頃に一度は経験したことがある人も多いのではないでしょうか。その状況は、算数の問題としても捉えることができます。おもちゃには車両どうしをつなぐための部品があります。部品のつなげ方にはルールがあり、どんなつなげ方でもよいわけではありません。新幹線などの車両を思い浮かべると、Aは運転席のある車両で、Bは客室のみの車両になることがイメージできます。このことから、B(客室車両)が最端になることがなかったり、A(運転席のある車両)の先端とB(客室車両)はつなげることはできなかったりと、実際のつなぎ方にあった設定をしていると読み取ることができます。車両の数が少ない場合は、どんな作り方があるのかをすぐに調べることができますが、7両編成や9両編成の列車を作るときはどうでしょうか。問題と同じような図をかいて調べることもできますが、それではあまりに煩雑です。限られた時間の中で、どうすれば効率よく正確に調べ上げることができるのか。「自分が使いやすい方法をその場で発明し、活用する」「調べる方針を先に立てておく」といった、算数の学びで必要な力が問われている問題といえます。また、調べていく中で、その調べ方には様々な工夫の余地があることにも気づくことができます。
このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。