シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

芝浦工業大学柏中学校

2026年08月掲載

芝浦工業大学柏中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.日常生活の中にある理科を楽しめる大人になってほしい

インタビュー3/3

昨今ブームとなっている生成AIについてですが、生徒さんも当たり前のように生成AIを使える環境がある状況の中、学校として、また先生として、生成AIとどう向き合った教育をされていこうと考えられていますか?

須田先生 私は、「AIは自分の分身のようなもの」だと考えています。自分自身に十分な知識や力がなければ、たとえ分身がもう一人増えたとしても質の高いものは作れないのではないかと思うので、生徒にも「まずは自分自身をしっかり鍛えることが大切だ」と伝えています。基礎となる学力を身につけ、それをさまざまな場面に応用できる力がなければ、AIを使ったとしても大したものはできないですからね。

少し前までは、AIを杖や眼鏡のような、自分の力を補うための道具だと考えていました。しかし最近は、単なる補助ツールというより、自分の知識や考え方をそのまま反映する「分身」に近い存在だと感じます。

私自身も、AIを使う際には、できるだけ原本や一次資料にあたり、自分なりに内容をしっかり読んで理解したうえで、その情報をAIに覚えさせるようにしています。自分が読んでいない内容をAIに覚えさせ、そこから出てきた成果物だけを見ても、それが正しいかどうかを正確に判断することはできません。だからこそ、まず自分自身が内容を理解してからAIを使うことを大切にしていますし、その姿勢を生徒にも伝えるようにしています。

惠日先生 私は須田先生とは少し考え方が違っていて、部活の指導では、中学生には「部室で生成AIを使わないように」と伝えています。スマートフォンで調べればすぐに答えが出てきますが、それでは知識がなかなか身につきません。

一方、図鑑で調べると、目的の生き物だけでなく同じページや周辺のページに載っているほかの生き物も自然と目に入ります。そうした偶然の出会いから知識が広がることもあるため、生き物を調べるときには、まず本や図鑑を活用するように指導をしています。

私自身、生成AIの利用に対してそれほど肯定的ではありません。ただ、使うのであれば、適切な使い方を身につけてほしいと思っています。特に高校生になれば、原著論文や元となるデータが本当に信用できるものなのかを、自分で考えながら判断する必要があります。

生徒にも、生成AIが出した答えを丸写しするのではなく、「何をどのように考えたのか」「どのように調べたのか」といった、答えにたどり着くまでの過程を評価すると伝えています。

芝浦工業大学柏中学校 生物研究

芝浦工業大学柏中学校 生物研究

知ることを面白いと思う子に入学してきてもらいたい

今の在校生の皆さんがこれからの時代、どういった人に育って大学や社会に巣立っていってほしいと考えますか?

惠日先生 生物の教員という立場で言うと、今の在校生にはまず身近な生き物に親しみを持ってもらいたいと考えています。そして将来は、日常生活の中にあるさまざまな出来事を理科の視点から捉え、楽しめる大人になってほしいと思います。

「理科を学ぶことで、普段の生活に少しでも彩りを感じてもらえたらうれしい」、そうした思いを持ちながら、日々の授業を行っています。

また、これからは生成AIと競うのではなく、生成AIを適切に活用できる力が必要になります。そのため、AIに関する知識も身につけ、生成AIが示した情報を自分で判断しながら、学びや生活に生かせる人になってほしいですね。

須田先生 私は物理の教員ですけれど、最近は教育課程全般を見る立場にもなってきたため、教科だけでなく、学校教育全体の視点から考えることが増えています。我々が高校生だった時代と比べると、今の生徒たちが社会に出る頃には、これまで予測できなかったような課題に数多く直面することになると思います。

そうしたときに、学校で学んだことやその後で新たに学んだことをさまざまに組み合わせながら、少しでも前向きに課題の解決に取り組める人になってほしいと考えています。課題研究を行っているのも、そのような力を身につけてもらうためです。未知の課題に直面しても、自分で考え、学んだことを活用しながら乗り越えていく力があれば、将来、より幸せに生きていけるのではないかと思っています。

最後にこれから御校を受験される方へのメッセージをお願いいたします。

惠日先生 説明会でもよく言っていることですが、時事問題や環境問題についても出題することがあるので、机に向かうことも大事ですが、日常の物事に目を向けて関心を持ってもらいたいですね。自分の学んだ知識を覚えるだけではなく活用できるような人になってほしい。それを目指して入試問題に取り組んでもらえると問題が解きやすくなるのかな、と思います。

入試の性質上、単純な暗記問題も一定程度入れる必要があることは、十分に承知しています。ただ、用語の意味や語句の説明だけであれば、今はAIに聞くことで簡単に答えがわかってしまいます。一方で記述問題では、文章の内容を正しく読み取り、必要な情報を整理して自分の言葉で要約する力が求められます。

これからの時代には、知識を覚えているかどうかだけでなく、得た情報をまとめ、適切に表現する力がより重要になると思いますので、入試を通じ、受験生が文章を要約する力や考えをわかりやすくまとめる力についても測ることができればと考えています。

須田先生 理科には、生物・化学・地学・物理それぞれに、その教科ならではの面白さがあります。受験勉強では点数を取ることが優先されがちですが、「知ることの面白さ」を忘れず、夢や希望を持って学び、本校に入学してもらえたらうれしく思います。

中学受験に向けて、小学校3年生や4年生の頃から勉強を続けてきた受験生の中には、受験を終えたことで疲れ、「もう勉強はいいや」と感じてしまう子もいます。しかし、これから新しい学びが始まる時期に、そのような気持ちで入学するのは、とてももったいないことです。

入学後に大きく伸びるかどうかは、中学1年生として入学した時の学びに向かう姿勢に大きく左右されます。新しいことを貪欲に吸収しようとする気持ちを持ち、「知ることが面白い」「学ぶことに充実感がある」と感じながら、本校に入学したあかつきには前向きに取り組んでもらいたいと願っています。

芝浦工業大学柏中学校 生物班

芝浦工業大学柏中学校 生物班

インタビュー3/3

芝浦工業大学柏中学校
芝浦工業大学柏中学校芝浦工業大学は、1927(昭和2)年に有元史郎が創設した東京高等工商学校が前身。80年には芝浦工業大学柏高等学校(男子校)が、新しい高校教育を目指して創立。創立10周年には男女共学に。創立20周年を迎える99(平成11)年に中学校を新設した。大学は06年に豊洲へ移転した。04年に文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクールに指定された。
増尾城址公園に隣接し、自然環境が豊か。全校舎にLANを整備するなど施設面の充実も素晴らしい。
なかでも人工芝グラウンド、カフェテリア、ソーラーハウスプールは自慢の施設。そのほかグラウンド、グリーンホール、売店などを備えている。コモンスペースではインターネットに自由アクセス可。
「創造性の教育」「主体性の教育」「生きる力の教育」「感性の教育」「健康と安全の教育」の5つを教育方針の柱とする。
探究活動に力を入れており、生徒自らが課題を設定し、様々な困難を乗り越え、粘り強く取り組む経験を大切にしている。豊洲の芝浦工業大学附属中学・高校とは兄弟校。
きめ細かな指導と基礎学力の徹底が特色。一日の始まりは25分のモーニングレッスンで、読書、計算、英読の学習などにあてている。外進生とは高1まで別クラス。放課後は補習や上位者講習などを実施。付属校だが難関大学現役合格を目指したカリキュラム編成で様々な進路に応じたコースを選択することができる。
中高6年間を見通した探究プログラムを展開。中学では、課題設定や情報収集・分析など探究の基礎を段階的に育て、高校では、自らの興味・関心や問題意識をもとに専門的な課題研究に取り組む。中1の校外研修、中2のグリーンスクール、中3のニュージーランドホームステイなど、体験学習の機会も多い。大学・企業・地域との連携を通して、実社会とつながる学びの機会も充実している。クラブ活動は、原則として月・水・金・土曜日の活動。野球、サッカー、吹奏楽、演劇、鉄道研究など18のクラブ・サークルがあり、一部を除き中高別に活動する。ノーチャイム制。