出題校にインタビュー!
芝浦工業大学柏中学校
2026年08月掲載
芝浦工業大学柏中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.実験や実習をふんだんに取り入れた授業を展開
インタビュー2/3
御校の授業の特徴について、先生方がどのように考えられているかをお聞きしたいです。
惠日先生 生徒には、実際に自分の目で見たり、手で触れたりしながら学んでほしいと考えているため、授業ではできる限り多くの実験や実習を取り入れています。扱う内容は、教科書に載っている実験や例年行っているものに加えて、身近な場所で偶然手に入った材料を使うこともあります。先日沖縄を訪れた際には、そこで得た題材をもとに沖縄に関する授業を行いました。
また、昨年はウミホタルの発光実験を実施しました。今年も同じ実験を行うのですが、今回は酵素反応とも関連づけながら、生徒たちに考えてもらいたいと思っています。
このように、身近な題材や生き物を活用し、実際に見たり触れたりしながら学べる授業を心掛けています。
須田先生 理科教員全体として、学校行事や課題研究、探究的な研究と、それぞれの授業内容をうまく関連づけようとする先生が増えてきたように感じます。こうした取り組みは、学びをより効果的にするだけでなく、カリキュラムの無駄を省き内容を整理することにもつながっています。
最近、文部科学省が「Less is more」という考え方をよく示していますが、以前のように7時間目、8時間目まで授業を増やすのではなく、6時間目までの中で必要なことをしっかりと学び、そのうえで、各教科や学校行事、探究活動などを有機的に結びつけていくカリキュラム・マネジメントが求められています。特に本校はSSH指定校という立場でもあるため、特にそうした視点を持って教育活動を組み立てることが求められます。
実際に高校の理科では、以前は1年次が2単位、2年次が3単位、3年次が4単位でしたが、現在は2単位、3単位、3単位に変更されました。授業時間が減った分、これまで行ってきた授業を一つひとつ見直し、学校行事や課題研究、探究活動と結びつけられる内容はできるだけ関連づけるようにしています。
単位を減らすというのは、かなり勇気がいったのではないですか?
惠日先生 今年の高校3年生が4単位から3単位に減った最初の学年となるので、生物の先生と化学・物理の先生があれこれ試行錯誤しながら取り組んでいる最中です。
須田先生 変更を進めた当時、反対する人も多くさまざまな意見が出ました。私も当時責任者だったこともあり、各教科の教科会に出向いて頭を下げながら理解と協力をお願いしました。授業時間を減らすことだけを見れば、マイナスに感じられるかもしれません。しかし、これをきっかけに各教科が授業内容を見直し、本当に必要な学びを整理することにもつながる点をお伝えしていきました。
そうした点を一つひとつ説明することで、決してネガティブなことばかりではなく、教育全体を見直す機会にもなることを皆さんに理解していただきました。
理科・SSH統括室部長/須田 博貴先生
学校に隣接する公園が理科の研究・調査の場に
来るときに見かけましたが、学校の横に公園がありました。そこには理科としてよく行ったりするのですか?
惠日先生 公園は、私が個人的な調査を行うほかにも、科学部の生徒たちが定期的に調査を行う場所としても活用しています。私自身の調査としては、季節によって見られる蝶の種類や出現する時期に変化があるかを毎年調べています。年々気温が上がっているため、蝶が現れる時期や見られなくなる時期も変化するのではないかと予測し、継続的に蝶類の調査をしているところです。
また、ケイソウを観察できるビオトープもあり、そこでは岩に付着している微細藻類を研究している科学部の生徒たちが調査を行っています。
須田先生 科学部には、生物を研究している生徒のほか、物理や化学などに取り組んでいる生徒もいます。中学生だけでも、化学・物理系が30~40人、生物系が20人近く在籍しており、全体では約60人になります。高校生を含めると部員数は80人ほどです。
分野別に見ると、生物は比較的取り組みやすいという印象があるため、毎年人数が多くなる傾向があります。一方、地学は高校1年生で地学基礎を設置していないこともあり、希望する生徒は少なめです。化学は一時期多くの生徒が取り組んでいましたが、最近は「難しそう」「実験が本格的すぎそう」といった印象を持たれるためか、やや減少傾向にありますね。
芝浦工業大学柏中学校 生物研究
通常授業と課外活動を組み合わせた学びの場を提供
御校では、SSHの取り組みが教育の大きな柱となっており、探究的な学びが生徒の成長を支える大きな力になっているという印象を受けます。
須田先生 少なくとも3年間、あるいは中高6年間の授業設計については、中学校では「総合的な学習の時間」、高校では「課題研究」の授業が中心にあります。これらの授業にはすべての教員が関わって指導しているため、それぞれの教員も学校全体の学びの流れを意識しながら授業を行っていると思います。その上で、自分が担当する専門教科や科目を総合的な学習や課題研究とどのようにつなげていくかを考えながら、日々の授業を組み立てているわけです。
おそらく他校でも同じような取り組みがあると思いますが、長期休暇や放課後を活用した課外活動には生徒の興味や課題に応じて内容を調整できる部分があります。通常の授業とこうした課外での取り組みの合わせ技で生徒を育成できればいいな、とは思っています。
時代が移り変わるにつれ、生徒さんの変化を感じたりすることはありますか?
須田先生 20年くらい前と比べると、生徒が課題研究をやるにしても「こういうことをやりたい」と言ってくるようになったような気がします。以前は「なんとなく課題研究をやりたいような気がするけれど自分は一体何をやりたいんだろうか?」という生徒が多かった気がしますが、主体的な生徒が増えてきているように感じますね。
芝浦工業大学柏中学校 生徒課題研究
インタビュー2/3
芝浦工業大学は、1927(昭和2)年に有元史郎が創設した東京高等工商学校が前身。80年には芝浦工業大学柏高等学校(男子校)が、新しい高校教育を目指して創立。創立10周年には男女共学に。創立20周年を迎える99(平成11)年に中学校を新設した。大学は06年に豊洲へ移転した。04年に文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクールに指定された。