シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

国学院大学久我山中学校

2026年07月掲載

国学院大学久我山中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.「大学入試」と「健全な市民&良識ある公民を育てる」という2本の柱

インタビュー2/3

普段の社会科の授業について、先生方のお考えなどをお話いただけますか?

吉田先生 説明会でも言っていることなのですが、本校では2つ大きな柱があると思っています。

1つ目は「大学入試」です。中学に入学して6年後の大学入試で結果を出すというのは、親御さんも本人も期待されていることです。そこがないがしろになってしまえば期待を裏切ることになってしまうので、我々としてはしっかりと社会科として結果を出すことが求められます。

2つ目は、試験の点数や大学受験、学歴とか関係なく、「健全な市民」・「良識ある公民」を育てていくことです。社会科の指導要領にも書いてありますが、民主的・平和的な国家社会の有為な形成者を育てていく、という想いは教員全員が持っています。

このどちらがかけてもよくないと思いますし、両方追えると思っています。

清水先生 高校の日本史や世界史の授業になってくると、どうしても受験を意識した演習型の展開にせざるを得ません。逆に本校の中学生の場合には、中1で地理、中2で歴史、中3で公民と座布団型で週4単位の学びの時間があります。週4時間もあるといろいろ時間が使えるので、中学のうちに教科書だけにとらわれない授業が結構できると考えています。

中学段階では机上の学びだけでない部分をいかに多く取り込めるかが重要で、私が中学生を担当する際には、授業計画の中にもなるべく能動的な学びになる工夫を盛り込みたいと思って取り組んでいます。

具体的なエピソードなどあれば教えてください。

清水先生 私は政治・経済や公民を担当することが多いのですが、授業では単に教科書の内容を説明するだけでなく、世界で起きている出来事と生徒たちの身近な生活を結び付けて考えられるよう意識しています。今だと国際関係を扱う際にはアメリカとイランをはじめとする国際紛争の話題を取り上げることがありますし、先日の倫理の授業ではモンテーニュをテーマに扱いました。モンテーニュが重視した「寛容」の考え方を学ぶ中で、異なる価値観を認められない「非寛容」が対立や分断を生み、時には国際紛争につながることもあるよ、といった話をしました。

そのような話をすると、生徒さんはどのような反応をされるのですか?

清水先生 基本的には、素直な生徒が多いので丁寧に質問すればしっかりと考えてくれます。まずは考えてくれさえすればよいです。

社会科主任/吉田 勝先生

社会科主任/吉田 勝先生

男女の特性の違いはあるが、ステレオタイプに陥らないように

吉田先生 高校生ではそれほど差はありませんが、特に中学段階では女子の言語能力の高さを感じますね。一方で、男子は図式的な理解が得意です。しかし、実際には男女ともにさまざまな個性を持った生徒がいますので、教員もステレオタイプに当てはめた思考に陥らないよう心掛けています。前回の中学入試でも、図式的な問題で女子の方が正解率が高かったものも散見されました。

フィールドワークから修学旅行まで広がる学び

社会科において、普通の授業以外の課外授業にはどんなものがありますか?

吉田先生 中学1年生では、入学後最初の中間試験が終わる6月頃に「地域探訪」を実施しています。久我山周辺を約2時間かけてフィールドワークし、実際に地域を歩きながら学ぶ機会を設けています。我々教員側が決めたスタンダードな場所でなくてもよくて、「なぜこの辺りはテニスコートが多いのだろう?」とか「右側の空き地は何だろう?」といった疑問から入っていく生徒もいます。

清水先生 中2ではイベントは特にないのですが、中3では学校の行事として京都や奈良を訪問します。社会科に関してのサポートとして、どんな地域や場所なのか何も知らないで行ったとしても学びがないですから、神社仏閣に行くのであれば事前情報を話したり、放送で全体に聞かせたりするなどを行います。もちろん説明しすぎても良くないですが、ある程度どんな地域かについて説明は必要だと考えます。あと、希望者は中3時に裁判の傍聴会に行ったりすることもありますね。

高校ではどうですか?

清水先生 高3は受験がある関係であまり行くことはないものの、高1では宿泊行事があります。社会科とはあまり関係ないですが、そこで集団行動の規律を学ぶための研修を行います。また、高2では修学旅行がありますが、去年から男子部は、オーストラリアと奄美大島と長崎のいずれかに行くことになっています。特に長崎は平和学習が修学旅行の大きなウェイトを占めるものなので、丁寧に事前説明していますね。

国学院大学久我山中学校 掲示物

国学院大学久我山中学校 掲示物

インタビュー2/3

国学院大学久我山中学校

「自律」が育む確かな一歩。失敗を恐れず挑戦し、自らの手で未来を拓く6年間。

国学院大学久我山中学校

玉川上水の豊かな緑に囲まれた国学院大学久我山中学高等学校。1944年に理科系の前身校として創立された経緯を持ち、現在は国学院大学の系列校として文理問わず高い進学実績と「文武両道」の伝統を誇る同校。創立以来の理数教育のDNAと人文社会への深い学びが融合した環境のもと、時代の変化を見据えた大きな進化を遂げています。

伝統を「自律的な学び」へとアップデートする

久我山が長年大切にしてきた実践目標である「規律・感謝・努力」。同校は今、これらを現代的な意義へと捉え直し、生徒一人ひとりの「自律的な学び」を実現するため、学習や行事、部活動のあり方を見直し、実践に移しています。
ここでの「規律」とは自らを律する「自律」を意味し、「感謝」は互いの「尊重」の上に立つもの、そして「努力」は「自己実現」のために欠かせない原動力として、日々の学校生活における大切な指針となっています。

失敗を恐れずに挑む――受け継がれる「きちんと青春」の精神

生徒たちの間で親しまれている「きちんと青春」という言葉は、ある卒業生の想いから生まれました。
その卒業生は以前のインタビューで、「若さとは、未熟で失敗も多い。でも何事も経験することの大切さ、挑戦する価値がある。そんな想いを『青春』という言葉に込めました。私にとって久我山の6年間は、「失敗できる場所」であり、同時に「挑戦する大切さ」を学ぶ場所でした」と語っています。
この精神は今の生徒たちにも深く根ざしています。異性の目を気にせず、あらゆる役割を自分たちで担う「男女別学」の環境は、失敗を恐れず試行錯誤を繰り返す最高の舞台となり、将来社会へ飛躍するための揺るぎない自立心を育みます。

日常にある豊かな学びが、将来を拓く確かな強みに

男子が6年間必修で取り組む「武道(柔道・剣道)」で鍛えるのは技だけでなく、礼節を守り相手を敬う強い心。女子の華道、茶道、日本舞踊、能楽などの特別講座で磨くのは、豊かな感性と美しい立ち振る舞いです。かたちの背後にある真の教養を育むこの日常の積み重ねが、生徒たちの人間性を育み、将来を切り拓く「大きな力」となっていきます。
こうした伝統を大切にする男女別学の環境は、結果として世界とつながる大きな強みとなっています。海外には、「共学校」はもちろん、伝統ある「男子校」・「女子校」も多く、「日本文化を体験したい」と願う海外生にとって、同性の仲間と気兼ねなく交流できる久我山は非常に親しみやすい環境です。実際に、海外の男子校生徒が来校して久我山生とバディを組み、共に武道を体験する光景も珍しくありません。
また、女子部のCC(Cultural Communication)クラスで毎週実施される「Global Studies」では多様な価値観に触れ、違いを学びの機会として捉え世界の課題と向き合います。ニュージーランドの修学旅行では、高校1年生の時に1年かけて自作した浴衣を携えて現地で文化交流を行うなど、自国の文化を深く理解した上で、多様な人々としなやかに協調する「真のグローバルリーダー」への歩みを着実に進めています。
※修学旅行は男子部は「オーストラリアまたは国内」、女子部は「ニュージーランドまたは国内」の選択制。

夢を形にする、圧倒的な「体験」の数々

同校には、全員で一丸となって取り組むプログラムから、生徒が自らの興味に合わせて選択できるプログラムまで、成長のきっかけとなる体験が数多く用意されています。ここではその代表的な取り組みの一部をご紹介します。

「自然体験教室」(全員参加型)
40年以上の歴史を誇る宿泊行事。信州や尾瀬・白根山での体験を通じて、自然の厳しさと美しさに触れ、仲間と協力する中で「尊重」と「感謝」を学びます。
「地域探訪」(全員参加型)
学校周辺の歴史や文学を紐解き、足元から世界を多角的に捉える視点を養います。
「くがラボ(理科校外学習教室)」(希望参加型)
教科書を超えた実験や観察を通じ、科学的な思考力と探究心を養います。

参加者全員で絆を育みながら視野を広げる体験と、各々の関心や希望に沿って学びの深化に挑戦する体験 ―― こうした多彩な学びを通じて、⽣徒たちは⾃らの興味関⼼を⼒強く掘り下げ、それぞれの夢に向かって歩み始めます。

一人ひとりの「自己実現」の結果としての進学実績

久我山の進学実績は、単なる数字の積み上げではありません。それは、生徒一人ひとりの個性に寄り添い、6年間かけてその背中を押し続けたサポートの結果です。
東京大学や京都大学、東京科学大学(旧、東京工業大学、東京医科歯科大学)、一橋大学などの最難関国公立大学をはじめ、早稲田、慶應義塾、上智、東京理科大学、GMARCH、そして医学部医学科への合格。その一つひとつに、生徒それぞれの「自己実現」のドラマがあります。
「主役である生徒たちの試行錯誤や成長を、教員は温かなサポート役として寄り添い、見守り続ける」 ―― そんな教育スタンスのもと、久我山は生徒一人ひとりの「今」と「将来」を真剣に見つめ、納得のいく進路選択を支え続けています。