シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

国学院大学久我山中学校

2026年07月掲載

国学院大学久我山中学校【社会】

2026年 国学院大学久我山中学校入試問題より

(問)下のグラフは、ふりかけ・梅干し・乾燥(かんそう)スープ月別支出金額(2024年)を示したものです。グラフ中(A)~(C)と品目の組み合わせとして、ふさわしいものを(ア)〜(カ)より選び、記号で答えなさい。

グラフ:ふりかけ・梅干し・乾燥(かんそう)スープの月別支出金額(2024年)

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この国学院大学久我山中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

(ウ)

解説

グラフ中の(A)~(C)について、支出額が多いか少ないかを比べると、(A)は圧倒的に多い一方で、(B)・(C)が同じくらいで推移しており、(B)・(C)がどれにあてはまるのかを決めるのは難しそうです。そこで、季節ごとの変化を比べてみると、(A)は夏よりも冬の支出額が多い、(B)は年間で支出額にほとんど変化がない、(C)は冬よりも夏の支出額が多い、といった傾向が見えてきます。

このことと、ふりかけ・梅干し・乾燥スープの特徴を結びつけていきます。ふりかけは、多種多様な味つけの商品があり、ふりかけ全体としては季節ごとに購入量が変化するとは考えにくそうです。一方、梅干しは、そのすっぱさが食欲を刺激し、またクエン酸や塩分、ミネラルが豊富であるため、夏バテを防止する食べ物としてよく知られています。乾燥スープは、お湯を入れるだけで手軽に食べられ、体を温めるのに適しています。以上のことから、冬の支出額が多い(A)は乾燥スープ、年間を通して購入されている(B)はふりかけ、夏の支出額が多い(C)が梅干しだとわかります。

日能研がこの問題を選んだ理由

私たちがお店でどの食べ物を買うのかを選ぶ時、その判断は、個々人のさまざまな事情に影響されています。「今はお腹が空いていないから少量でいいや」、「疲れたから甘い物が欲しいなあ」、「家族と一緒に食べられるものはないかな」 ……など。消費行動は、個々人の事情や趣味嗜好によって、ばらばらです。しかし、多くの人が何をどれくらい買ったのかという統計をとって、グラフとして眺めてみると、どうやら食べ物ごとに傾向があり、しかも季節や気候に大きく影響されているということが見えてきます。 この問題で取り上げられているような、ふりかけや梅干し、乾燥スープが、どの季節によく売れるのかについて、受験用の参考書などで学んだことがある、という受験生は、まずいないでしょう。しかし、それぞれの食べ物が何なのかは、日常生活のなかで知っているはずです。統計資料から、傾向や特色をとらえる。知識または体験を、季節や気候の移り変わりと結びつける。こうした思考は、「みかんの栽培は暖かい地域でさかんで、りんごの栽培は涼しい地域でさかんだ」「ピーマンは、冬になるとどの都道府県から出荷されることが多いのだろう」というような、中学受験でよく取り上げられることがらを考える時と、通じるものがありそうです。

「覚える科目」と見なされがちな社会科において、この問題では、「学んだ知識だけではなく、提示された資料や、見聞きしたこと、自然現象や世の中の動きなどを、それぞれ自由に結びつけながら考えることができるかどうか」が投げかけられています。統計を使って世の中の動きを知ること、自然現象と産業の結びつきをとらえることといった、社会科という科目の本質が問われていると考え、日能研はこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにいたしました。