シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

逗子開成中学校

2026年07月掲載

逗子開成中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.力を伸ばすには自ら学ぶことが重要。頭を使おう

インタビュー3/3

知的好奇心と主体性を身につけてほしい

中高の間にどのような力をつけて、大学や社会に出てほしいとお考えですか。

大岩先生 学校のディプロマポリシーでもある知的好奇心を大切にし、主体性を幅広く持ち続けることができる力をつけてもらいたいと思っています。僕もそれが大切だと思いますし、社会で活躍してもらうというところがすごく大切だと思っています。目の前の受験というより、将来、自分の力で生活し、社会へ出て活躍、貢献することが、とても大切なんじゃないかなと思います。

中には数学に興味がない生徒さんや、主体的じゃない生徒さんもいると思うのですが、どのように導いていますか。

大岩先生 導くのは結構難しいと思うのですが、学校として取り組んでいるのは指名補習を行い、底上げを図っています。ただ、それをやったからといって、できるようになるわけではないと思っています。全員をできるようにするよりは、できる子を大切にする。数学に関しては、そこに少し力を入れています。

中学あたりで数学が今1歩でも、やればできるようになっていくものですか。

大岩先生 やれば必ずできるようになります。しかし、やるようなきっかけがない限りかなり難しいと思います。例えば、少し極端な話ですが、お父さんが病気で亡くなり、医者になりたい、というような目覚めがない限り、中学、高校になって数学の成績がみるみるうちに上がるような生徒はゼロではありませんが、ほとんどいません。

こうした問題ができる子は、その後どうなりますか。

大岩先生 小学生で算数に興味のある子は、その後も数学に興味をもちます。高校で推奨しているのですが、先取りです。学校よりも先に自分で取り組むと、自分の頭で考え、工夫するようになるので、自然にできるようになっていきます。

そういう子たちは問題を持って来るのですか。

大岩先生 まれに持ってくることもありますが、質問はほとんどありません。自分で解決しているようです。

逗子開成中学校 周辺風景

逗子開成中学校 周辺風景

中学生がジュニアオリンピックに参加

数学の分野で社会で活躍されている方はいますか。

大岩先生 僕の教えた生徒になりますが、中学2年で高校3年の数学ⅢCまで終えていた子がいました。家が公文式の教室をやっていて、おじいちゃんが先生だったようです。その子は、授業ではノートを一切取らずに、じっと聞いていました。数学をわかっているはずなので、授業を聞いてもつまらないとは思うのですが、ぽろっと言うことをすごく覚えていてくれて、結局、東大の理科1類に現役で入りました。その子はヨット部で、10月ぐらいまでインターハイなどの大会があり、ほぼほぼ受験勉強をしていなかったのですが、それでも入ってしまいました。

もう1人は、中学3年で物理、化学、数学ⅢCまでを独学で終えていました。受験勉強はほとんどしないで、韓国語、あるいは中国語などの検定試験を受けていて、韓国語は在学時に1級を取得。そして東大の理科1類に現役で合格した生徒がすごく印象に残っています。

ノートをとらなくても頭に入るのですか。

大岩先生 ただただ、じーっと聞いてるんですよね。不思議なんですけど。

そういう子は「書かなければわからない」じゃないんですよね。ごく稀に、小学生にもそういう子がいます。

大岩先生 2人目の子はいろいろな研究もやっていて、幅広いんですね。私が授業でくじ引きアプリケーションを使っていたら、無料のアプリだったので、同じ番号ばかり出てしまい困っていると、新しいアプリケーションを「作ってみます」と言ってくれた子でした。

最近の卒業生ですか。

大岩先生 いや、今、31歳、32歳ぐらいだったと思います。「数学者になりたい」と言って、東大に行ったのですが、「コース選択で数学には行きませんでした」という報告が来ました。情報の分野に進んだようです。その後、「研究者になっている」という話までは聞いています。

1人目の子は、東大でもヨット部に入って、夢中になり、そのため1年留年して、一般企業に入りました。

逗子開成中学校 海洋教育センター

逗子開成中学校 海洋教育センター

逗子開成を好きになってくれたら力は伸びる

数学系の部活など、生徒さん主体で行っている活動はありますか。

大岩先生 数学研究会があります。僕はそれには関わっていませんが、土曜講座に「数学オリンピックに挑戦」という講座がありまして、そちらには関わっております。数学オリンピックには、興味がある生徒が多いですね。ジュニアオリンピックには中学生が多く、参加しています。

それは数学に自信がある子たちですよね。そうではない子もいますか。

大岩先生 数学は得意じゃないけど、好きだという子は多いですが、学年が上がってくと、どうしても知識量が増えてくるので、テストで点がとれなくなる。そうなると数学好きがいなくなっていく感じはありますね。一貫校だと授業についていくのは大変なので。

最後に小学生に向けてメッセージをお願いします。

大岩先生 よく「どういう生徒に来てもらいたいですか」と、コンセプトを聞かれることがあるのですが、僕はどういう生徒でもいいと思っています。来てほしい生徒像はありません。不本意で入学する生徒もいると思いますが、逗子開成はとても楽しく、安全に過ごせる学校です。6年間、最高の仲間と過ごす時間は一生ものなので、逗子開成を少しでもよいと思ったら、それが受験する資格だと思いますので、受けてもらえればと思います。どんな生徒でも絶対に楽しく過ごせる学校だと思います。

秦先生 3年前に取材に来てくださった時は社会科でしたが、当時の社会科主任が全く同じことを言っていました。280人もいれば、本当にいろんなタイプの子がいて、それぞれの活躍の仕方をしているので、まずは4教科で合格点を取って、入学していただきたいですね。手前味噌ですが、長くても夏休みぐらいまで。早ければ4月の第2週ぐらいで、みんな「ここ最高!」みたいな感じになります。そうなってくれれば、授業は楽しいので、力通りの伸びを見せていくと思います。

広報部長/秦 健二先生

広報部長/秦 健二先生

インタビュー3/3

逗子開成中学校
逗子開成中学校1903(明治36)年創立の神奈川県下最古参の男子私立中学校。東京の開成中の分校「第二開成中」として設立されたが、ほどなく独立。中学募集は一時中断したが、86(昭和61)年再開。近年の目覚ましい学校改革の試みは、バランスのとれた学校像の確立を目指すものとして注目されている。2003年(平成15)年に創立100周年を迎えた。
建学の精神『開物成務』にのっとり、「真理を探究し、目標を定め、責務を果たす」ことのできる人材の育成が教育の目標。レベルの高い学問を修めさせると同時に、独自の海洋教育や映像教育、コンピュータ教育等を駆使し、国際社会で活躍すべく、単なる進学校にとどまらない21世紀の新しい教育の創造を目指している。
逗子海岸に臨む校地には、ヨット工作室や宿泊施設もある海洋教育センター、本格的映写機と音響システムを備えた徳間記念ホール、コンピュータ棟やセミナーハウス、研修センターなどの充実した各施設が並ぶ。自習室も完備している。教育環境を見事に整備し、高い塀を廃した開放的な発想から、世界にはばたく人材が育っていく。
逗子開成の授業には演習が多く取り入れられている。問題を解く力や表現する力を、すべての教科・科目で身につけ、バランスのとれた基礎学力を育成している。学年によって教科、レベルは異なるが、習熟度別授業を実施。補習だけでなく、通常授業の効果をさらに上げる「特習」もある。中3から選抜クラスが新設され、学年ごとに入れ替えがある。高2からは文系・理系にコース分けをする。土曜日には各種講座や行事を実施するが、教師、保護者、生徒の好奇心がぶつかり合う土曜講座は世界・体験・達成・地域の4分野100講座以上とバラエティ豊か。
中1の時にヨットを製作するのは有名で、中3までの全員が逗子湾で帆走実習を行う。海洋教育と並び映像教育をも柱とする同校では、年5回映画鑑賞会が行われており、学校にいながらにして名作を鑑賞できる。中3では全員がニュージーランドに。高2の研究旅行はマレーシア・ベトナム・韓国・沖縄・オーストラリアのコース選択制で実施。中2~高2の希望者には1週間のエンパワーメントプログラムのアメリカ研修、カナダ研修、3ヶ月間の短期留学、1年間の海外長期留学がある。また、中1・中2では、校内における異文化英語プログラムなどがあり、語学以外に様々な体験ができる。奉仕活動にも熱心。