シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

逗子開成中学校

2026年07月掲載

逗子開成中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.中学生はグループで学び合う授業スタイル。数学の楽しさを味わおう

インタビュー2/3

入試では全分野から均等に出題することを意識

全体の構成に関してお話いただけますか。

大岩先生 先ほども言いましたが、努力が報われる出題をしています。学校によってはもっと問題数が多いところもあると思うのですが、無理なく、時間内で取り組んだことをきっちり測れるような出題を心がけています。

しっかり習ったことができるか確認する入試をコンセプトに作成し、例年、出題側が設定している平均点は約6割です。全分野から均等に出すということも意識しているところです。ある分野に偏った出題はしないように、心がけております。

大問が(1)から(3)まであるとしたら、(3)の問題は相当難しいと思います。

大岩先生 合格するには(3)まで解けなくても可能です。ただ、基本的には(3)から問題は作っていて、最終的にそれを解くために(1)(2)を設定しています。難しいかもしれませんが、(3)まで考えてもらえるととてもうれしいです。

入試の回によって、作問チームが編成されるのですか。

大岩先生 基本的には1次、2次、3次、そして帰国生もありますが、それを分けて作ることはしません。全部の問題を作って、最終的に「これは1次にしましょうか」「これは2次にしましょうか」という感じで分けていきます。

4回分の入試問題を検討するとなると結構数がありますね。組み合わせも重要になるのでは?

大岩先生 そうですね。組み合わせも割と重要ですよね。帰国生入試は易しくしようとか、そういうことは考えていません。問題の難易度で配慮するのではなく、帰国生入試は10分試験時間を長くしています。

逗子開成中学校 本館

逗子開成中学校 本館

計算問題は過去問を解いて慣れてほしい

大岩先生 試験問題の作成には、ものすごい時間かかります。

大問1番は計算問題ですが、これも他校の入試問題と比べると、多少難しい問題になっていると思います。正答率はどのくらいですか。

大岩先生 だいたい86%ぐらいです。計算問題に関しては、過去問をやったかやらないかが結構大きいんです。ちょっと工夫すると計算が簡単になったりするので、毎年、そのことはメッセージとして受験生に伝えているつもりです。過去問をきちんと取り組んでいる受験生であれば、高得点を取っていると思います。

逆に言うと、過去問をやらずに逗子開成を受けると、たぶんまともに計算して、そこだけでものすごい時間を食ってしまうようなことになると思います。

途中の考え方を書かせる、最後の記述問題はどのように採点していますか。

大岩先生 全受験生の約3分の1は、途中点が出ています。「こうやって考えているんだね。じゃあ部分点をあげましょう」というコンセプトで採点しています。小学生なので、本当はちゃんと書いてもらって、厳しく採点したいのですが、なかなかそれも難しいので、どこまで考えられているかによって、段階的に途中点をつけています。

逗子開成中学校 校舎前広場

逗子開成中学校 校舎前広場

中学生は学び合いを重視した授業

授業の特徴についてお話いただけますか。

大岩先生 中学と高校ではだいぶ違います。中学はどちらかというと、教えるというより、生徒同士で話し合って問題を解いていくスタイルを重視しています。特に中1は授業というよりも学び合いという形です。高校になると、どうしても教科書の内容を授業としてやらなければいけないので、学び合いは少なくなるのですが。極力そういう時間を設けて、彼らの中で相談していくスタイルを心がけてはいます。

どの先生も同じようなスタイルですか。

大岩先生 基本的にそのような形をコンセプトとしています。アクティブラーニングの頃からの流れで、よいものだけが残ったという感じです。

中学生の授業は活気がある

授業での生徒さんの様子はいかがですか。

大岩先生 中学生のうちは本当に積極的に授業に参加してくれます。高校生になると、内容が難しくなるので、全員というわけにはいきませんが、特に中学生は活気があります。

今回出されたような問題を話し合うとか?

大岩先生 例えば中学1、2年生は、難しい問題を提供した後は、グループワークとして取り組みます。数学が苦手な生徒も積極的に議論に参加しています。

グループで話す時は割と皆さん均等に話すような感じですか。

大岩先生 授業によって違いますが、机をくっつけて、4人グループのような形にして問題を解いて、よかったグループは前に出てきて発表してもらうみたいなこともやっています。

テキストはいかがですか。

大岩先生 テキストは、中学は幾何だけですが、オリジナルテキストを使っています。高校は高校3年生の演習の時だけオリジナルテキストを使っています。

オリジナルテキストを使い始めたきっかけは?

大岩先生 証明を記号でやろうとしたことが発端です。証明を手でずっと書くというのも1つなのですが、証明を記号化して、記号を羅列して、証明するという形でやっています。栄光学園で教鞭をとられていた井本先生が勉強会のようなものを開いてくれていて、それがきっかけになりました。

高3の演習のテキストもですか。

大岩先生 それは本校の教員が作っています。毎年改定もしています。大学入試問題なので、素材としてはたくさんあります。高校生は検定教科書を使っています。中学生はオリジナルテキスト以外に、体系数学を使っています。

定期テストも入試問題と同じようにチームで作成しているのでしょうか。

大岩先生 定期試験はチームまでは作りません。担当教員が作って、他の教員がチェックするという、オーソドックスな形で作っています。

学年の全クラスが同じテストを受けるのですか。

大岩先生 そうです。ただ、中学3年生から選抜クラスができるので、そこのクラスに関しては試験問題を多少ですけど変えることもあります。

逗子開成中学校 体育館

逗子開成中学校 体育館

インタビュー2/3

逗子開成中学校
逗子開成中学校1903(明治36)年創立の神奈川県下最古参の男子私立中学校。東京の開成中の分校「第二開成中」として設立されたが、ほどなく独立。中学募集は一時中断したが、86(昭和61)年再開。近年の目覚ましい学校改革の試みは、バランスのとれた学校像の確立を目指すものとして注目されている。2003年(平成15)年に創立100周年を迎えた。
建学の精神『開物成務』にのっとり、「真理を探究し、目標を定め、責務を果たす」ことのできる人材の育成が教育の目標。レベルの高い学問を修めさせると同時に、独自の海洋教育や映像教育、コンピュータ教育等を駆使し、国際社会で活躍すべく、単なる進学校にとどまらない21世紀の新しい教育の創造を目指している。
逗子海岸に臨む校地には、ヨット工作室や宿泊施設もある海洋教育センター、本格的映写機と音響システムを備えた徳間記念ホール、コンピュータ棟やセミナーハウス、研修センターなどの充実した各施設が並ぶ。自習室も完備している。教育環境を見事に整備し、高い塀を廃した開放的な発想から、世界にはばたく人材が育っていく。
逗子開成の授業には演習が多く取り入れられている。問題を解く力や表現する力を、すべての教科・科目で身につけ、バランスのとれた基礎学力を育成している。学年によって教科、レベルは異なるが、習熟度別授業を実施。補習だけでなく、通常授業の効果をさらに上げる「特習」もある。中3から選抜クラスが新設され、学年ごとに入れ替えがある。高2からは文系・理系にコース分けをする。土曜日には各種講座や行事を実施するが、教師、保護者、生徒の好奇心がぶつかり合う土曜講座は世界・体験・達成・地域の4分野100講座以上とバラエティ豊か。
中1の時にヨットを製作するのは有名で、中3までの全員が逗子湾で帆走実習を行う。海洋教育と並び映像教育をも柱とする同校では、年5回映画鑑賞会が行われており、学校にいながらにして名作を鑑賞できる。中3では全員がニュージーランドに。高2の研究旅行はマレーシア・ベトナム・韓国・沖縄・オーストラリアのコース選択制で実施。中2~高2の希望者には1週間のエンパワーメントプログラムのアメリカ研修、カナダ研修、3ヶ月間の短期留学、1年間の海外長期留学がある。また、中1・中2では、校内における異文化英語プログラムなどがあり、語学以外に様々な体験ができる。奉仕活動にも熱心。