今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
逗子開成中学校
2026年07月掲載

2026年 逗子開成中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
(問)図1のように、Oを中心とする円板の上に、長さが等しく直角に交わる3本の直線でできた図形がかかれています。この円板はOを中心に時計回りに一定の速さで回転し、1時間で1周します。さらに、図2のように円板の外側に長方形のカバーをかけたところ、円板が回転していったときに2点A、Bが同時に消えました。図2の位置(OAとPQが平行の状態)から点Cが初めて消えるまで、何分何秒かかりますか

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この逗子開成中学校の算数の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答
12分30秒
解説
OAとPQが平行の状態から点Cが初めて消えるまでに、円板が何度回転するのかを考えます。
まず、2点A、Bが同時に消えたときまでの様子をとらえます。
2点A、Bが同時に消えたときの点A、B、Cの位置をそれぞれA\( _{1} \)、B\( _{1} \)、C\( _{1} \)とすると、2点A、Bが同時に消えたときの図形の位置は下の図のようになります。

三角形OA\( _{1} \)C\( _{1} \)と三角形B\( _{1} \)C\( _{1} \)A\( _{1} \)は合同な直角二等辺三角形なので、OC\( _{1} \)とA\( _{1} \)B\( _{1} \)は平行です。したがって、点AはOC\( _{1} \)上にあったことがわかります。角AOA\( _{1} \)=角C\( _{1} \)OA\( _{1} \)=45度より、OAは45度回転しているので、円板も45度回転したことがわかります。
次に、2点A、Bが同時に消えてから点Cが初めて消えるまでの様子をとらえます。
点Cが初めて消えるときの点A、B、Cの位置をそれぞれA\( _{2} \)、B\( _{2} \)、C\( _{2} \)とすると、点Cが初めて消えるときの図形の位置は下の図のようになります。
ここで、OCに着目すると、OCは下の図の★の角度だけ回転しています。そこで、この★の角度を求めることを考えます。

下の図のように、C\( _{2} \)を通りOC\( _{1} \)に垂直な直線と、OC\( _{1} \)との交点をHとし、★の角を含む直角三角形OC\( _{2} \)Hと、直角二等辺三角形OA\( _{1} \)C\( _{1} \)に着目します。

まず、直角二等辺三角形OA\( _{1} \)C\( _{1} \)について、A\( _{1} \)を通りOC\( _{1} \)に垂直な直線と、OC\( _{1} \)との交点をIとします。
このとき、三角形OA\( _{1} \)I、A\( _{1} \)C\( _{1} \)Iも直角二等辺三角形なので、下の図より、OC\( _{1} \):IA\( _{1} \)=2:1です。

次に、直角三角形OC\( _{2} \)Hについて、OC\( _{2} \)=OC\( _{1} \)、HC\( _{2} \)=IA\( _{1} \)より、OC\( _{2} \):HC\( _{2} \)=2:1です。

したがって、直角三角形OC\( _{2} \)Hは、下の図のように正三角形を半分にした形なので、★=60÷2=30(度)です。つまり、2点A、Bが同時に消えてから点Cが初めて消えるまでに、円板は30度回転することがわかります。

以上より、OAとPQが平行の状態から点Cが初めて消えるまでに、円板は45+30=75(度)回転することがわかります。円板は1時間で1周するので、円板の回転する速さは360÷60=6(度/分)です。
よって、OAとPQが平行の状態から点Cが初めて消えるまでに、75÷6=12.5(分)→12分30秒かかります。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
回転する円板上の図形の回転する角度を考える、ユニークな問題です。
多角形の回転する角度を考える問題は中学入試の算数でしばしば出題されますが、この問題のようなジグザグとした見慣れない図形の場合は目新しく、戸惑った受験生がいたかもしれません。しかし、問われているのは、「状況が変化する境目となる場面に着目したり、1点の動きに着目したりする」といった、受験生が算数の学びの中で何度も使ってきた視点です。見慣れない設定の中でも、これまでに学んだことを正しく使えるかどうか、その力が問われているといえます。
また、具体的な角度や長さの情報が与えられておらず、条件が少ないこともこの問題の特徴です。情報を増やすためには、これまでに学んできた図形の知識や技術を総動員しながら取り組むことが求められます。
このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。