出題校にインタビュー!
横浜共立学園中学校
2026年06月掲載
横浜共立学園中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.普段の日常生活の中からヒントを得て作った問題
インタビュー1/3
まずはこの設問の出題意図について教えてください。
岩谷先生 全体を通し、自宅のキッチン→教室→図書館と場面転換しながら会話が続いていくような物語形式にしました。このように教室にとどまらず学びはどこでも始まる、つながっているということに気付いてほしい、また気付ける人になってほしいといったメッセージを込めた問題になっています。
特にこの魚の問題に関してですが、生徒との実際の会話の中でヒントを得て作った設問となります。私は生物の担当教員ですが、生物部の顧問もしています。生物部では毎年テーマを決めて1年活動しているのですが、ある年に「海」をテーマにしたことがあって、その際に生徒が教科書に載っていない内容についていろいろ私に聞いてきたり、生徒同士で議論をしたりしていました。そういった日常の会話からヒントをもらったり、生徒とのやりとりの中から問題作成の案が出ることもよくあります。
日常の会話という設定の中で、特にこの魚の問題は子どもたちも「なるほど!」と感じる部分があったのではないかと思いました。大人もワクワクするような問題です。ほとんどの魚のお腹って白いイメージなのですが、実際はどうなのですか?
岩谷先生 水中だけでなく、陸上でもお腹が白い生物は多いですね。多くが「カウンターシェーディング」のためと言われてはいますがとても不思議に思います。
理科/岩谷 可南子先生
正答率は比較的高め
この問題の正答率はどれくらいでしたか?
岩谷先生 具体的な数値は出せないのですが、かなりよくできていたと思います。こういう問題って子どもであるがゆえ正答率が高いんだな、というのを改めて感じさせられました。
自分が子どもの頃、たとえばそこにある花が生花か造花か一目見てわかったように思います。しかし、大人になってからは、近寄って、触って、香ってみて初めて「あ、生花だ」と気付く。「この違いは何なのか?」とふと考えたときに、もちろん視力の低下や嗅覚の衰え、造花技術の向上などはあると思うのですが、一番は瞬間的な「観察眼」の違いだと思いました。それを子どものうちに鍛えることが大事だなと感じます。
子どもって「何で?」というような目を持っているので、その芽に水を注いで育てるのが学校の役割だと思いますね。
「カウンターシェーディング」の意味がわからなくても解ける問題
「カウンターシェーディング」って一般的に使われる用語なのですか?
岩谷先生 専門用語なので、知らない子がほとんどかもしれないです。教科書には書いていないです。受験生がこの「カウンターシェーディング」という言葉を知らなくても解ける問題になっています。
水中って、昆虫の擬態のように木や葉っぱなどに隠れる場所がありません。しかも上からも下からも見られるし、生き延びるのが大変だなって思わされました。
ちなみに、この問題は(A)(B)両方が正解でないと点数にならない問題ですか?
岩谷先生 はい。両方完答で得点となる問題です。答えにはいろいろな組み合わせがありましたが、(A)からも(B)からも俯瞰して物事を見られているかが鍵になってくる問題だと思うので、その能力があった子が解けたのかなと思います。
横浜共立学園中学校 山手214番館
理科は生活の中に全部あるもの
続いて理科の入試問題全体の構成やお考えになっていることなどありましたらお聞かせください。
眞田先生 おそらく多くの子どもたちは中学生になっても高校生になっても「理科=勉強」だと考えていると思います。でも、理科は生活の中に全部あるものなのです。私たちが生活している中にあり、そして私たち自身もその中にいるのです。そこでの出会いを常に大切にしたいと思っています。
岩谷先生 入試問題については、分野はもちろん、記述問題や知識問題、図の問題、考察の問題「すべてにまんべんなく」というのを心掛けています。また、計算や記述が一分野に偏らないよう理科四分野で話し合って作問しています。
なお、入試が終わって帰宅した際、たとえば今回だったら「魚の色の違いって意味があるんだよ」みたいな形で、ご家庭での話のネタを作れるような問題も入れられたらいいなとも思っています。
教科書からは得られない学びを入学後の授業では伝えていきたい
眞田先生 今回の地学の問題に、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に関連させたものを出題しました。作品に登場するケンタウルス座については、最近の教科書では少し出てきますが、実際には横浜周辺からはなかなか見るのが難しい星座です。ケンタウルス座の一等星は太陽の次に近い恒星なのですが、沖縄まで行かないと見えません。私もケンタウルス座自体を見たことはなく馴染みがなかったのですが、今回は宮沢賢治の作品から出題したかったので、今回のような問題になりました。
また問題に図を入れるにあたっては、星座早見盤と精密な星図を見比べながら問題を作っていったのですが、早見版の星座の線は実際のものとは違うことを今回初めて知りました。私自身も作りながら学びがあって、受験生が「へぇ、そうなんだ」と知ってもらえたら嬉しいなと思いました。
教科書での学びももちろん大事ですが、教科書からは得られない学びが理科にはたくさんあることを本校入学後には生徒に伝えていきたいです。
横浜共立学園中学校 グラウンド
会話文は多めに出題
今回の入試問題に関しても、小学校の教科書で学ぶような基本的な内容から文章を読み取ってその場で考える発展的な内容まで、きれいにまんべんなく入っているなと思っていました。
日常の中に注目していることもあって、全体として割と会話文が多いと思うのですが、先生が一方的に話すみたいな展開の会話ではなく、家族間や生徒同士で和気藹々と喋っているシーンが多い気がします。
岩谷先生 共立の生徒は普段から教員室に先生とおしゃべりしにやって来ますので、そういった共立の雰囲気も問題文に出ているかもしれないですね。
知識を問う問題よりも記述や作図を重視
解答形式のバランスがとてもよく、記述や作図に関しては採点が大変だと思うのですが、必ず出題しているようですので、相当こだわりがあるんだろうと思っていました。限られた時間で生徒さんがいろいろ書いてくるのを見るのは大変だと思うのですが、そういった問題を出すことで何か受験生の見たい力があるということでしょうか?
岩谷先生 特に記述でしか見られないことは多いので、大変でもそこは妥協せずに出題している部分ですね。
結構問題量も多いように感じます。女子校だと理科で40分の受験時間を取る学校自体がそれほど多くありません。また最近は、午前・午後入試を行う流れもあって、どんどん時間を凝縮している学校も多いです。社会と理科を合わせて60分、といった形にする学校も増えているものの、しかも100点満点で均等配点なのがとても貴重に感じます。
これだけの問題量でも受験生は完答されていますか?最後までたどり着けない子は多いですか?
眞田先生 比較的最後まで答えてくれていますね。理科は4時間目なので、かなり疲れているだろうと思いますし、自分が試験監督に入った時は「大丈夫かな?」と思うこともありますが、一生懸命最後まで書いてくれて本当に嬉しいです。もちろん一部で何も書いてない解答はありますけれど、真っ白な答案用紙はないです。
なるほど。40分でこれだけ問題量があると、最後までたどり着けないといけないと思って受験生も一生懸命練習して試験に臨みますしね。
横浜共立学園中学校 ピアソン記念礼拝堂
インタビュー1/3
1871(明治4)年、米国婦人一致外国伝道協会から派遣された3名の婦人宣教師により「アメリカン・ミッション・ホーム」として創立。戦前の女学校時代を経て、戦後、横浜共立学園中学部、高等学部に。1951(昭和26)年、学校法人へ組織変更し、現校名に改称。