出題校にインタビュー!
法政大学第二中学校
2026年06月掲載
法政大学第二中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.教育の目的は「人格の完成」。平和的で民主的な国家及び社会の形成者たれ
インタビュー2/3
文章選びには時間をかけている
入試問題全体の構成に関して考えられていることや、工夫されていることを教えてください。
美濃部先生 50分間の中で読み切れて、かつ思考する時間をどのぐらい取れるかを、チームで相談しながら作っています。必ず我々も解いて、解けるかどうかもそうですし、難しさについても検討しています。
須賀先生 文章量はおおよそ3000字の後半から、5000字程度。説明的文章と物語を合計すると9000字後半あたりでしょうか。
野村先生 文章はいろいろな候補が出た中で、私たちが一番問いたいことを問える作品を選んでいます。
美濃部先生 候補作品は幅広く探そうとしていますが、その時の受験生の力を見る上で一番有効な文章をチームの中で検討していて、この作品になりました。
新しいもの、古いものを意識されているということはありますか。
野村先生 新しいものというわけではなく、いろいろと幅広く探して、内容にしても分量にしても、この文章のここを使いたいと思えるような文章に出会えると、私たちも幸せを感じるので、選ぶことには時間をかけています。
美濃部先生 何回も探してやっと見つけた文章が、今回の文章になります。そういう意味では、しっかりと見つけるところから受験生の力を問えるかどうかの勝負が始まっていると思うので、きちんと探すようにしております。
法政大学第二中学校 図書館学習室
入試問題は本校の教育理念や教育活動を対外的に示すもの
磯部先生 入試問題を使って授業をしてみたいと思うこともあります。それぐらい、入試問題の作成は、学校の考え方と普段の授業とをどう結びつけて実現させていくかを考える大切な機会になります。
アドミッションポリシーを大切にされているのですね。
磯部先生 まさにそうです。「本校における教育は、人格の完成をめざして、国民的共通教養の基礎を築き、平和的で民主的な国家および社会の形成者を育成することを目的とする。」という教育理念に基づいています。それが学則第1条でもあります。学校ホームページにも「私たちの学校」という教育理念・教育目標の話を掲載していて、生徒たちにもそれを通して本校の教育を理解をしてもらっています。
入試問題はその学校の教育理念や教育活動を対外的にお示しするものであり、「学校の顔」とも言うべきものです。入試問題を見れば本校が何を大切にする学校なのかが見えるものであるべきです。従って、入試問題を作成する際には、法政二中の教育理念や目指すべき生徒像を多くの受験生の皆さんに知っていただくための工夫をしています。
では、法政二中の教育理念とはどのようなものでしょうか。前に述べた教育理念は日本国憲法の精神に基づいて定められた教育基本法の第1章「教育の目的」を踏まえています。実際に見てみると、ほとんど同じ内容です。つまり日本国憲法の精神を実現することを大事にしている学校と言えます。
具体的には、人権の尊重、民主主義などの普遍的な価値を積み重ね、国際社会も含めて、平和な社会を築いていく決意を含む理念を教育のよりどころにしています。
こうした考え方が法政二中の教育にどう現れていくのか。「人格の完成をめざして国民的共通教養の基礎を築き」という点が象徴的だと思います。本校では「全教科主義」と呼び、あらゆる教科を同じレベルで、同じ価値を持ったものとして大切に学びます。あらゆる領域について学び、その知識を広げていくと同時に、学んだことが統合されて、人格形成につながっていきます。社会との関わりの中で自分がいかにして生きていくのか。社会と関わり合いながら、学んだことを踏まえてどう生きていくのかという点に結びついていくのです。
それが、平和的で民主的な国家及び社会の形成者として、社会に対して能動的に、主体的に関与していく力になっていくと考えます。
国語科/磯部 玄太先生
「読む」ことは「話す」「聞く」「書く」までやって完成する
磯部先生 この点を踏まえると、入学後の国語の授業においても、語彙や文法を確実に身につけることはもちろんですが、それ以上に、文学作品や説明的文章を数多く読み、歴史の積み重ねにより成り立つ社会の中で、私たち人間はどう生きていくかを考えることを大切にしています。
その時には自分の生活経験や価値観を通して考えてほしいと思っています。自分とは直接関係ない人の話であったとしても、自分の経験や自分の価値観をくぐらせ、結びつけながら理解してほしいのです。そして、自分は社会に対してどのように関わるべきか、考えてほしいと思っています。
その際には、生徒自身が作品とじっくり向き合い、自分と作品の間を行き来しながら考えていくことも大事ですし、ほかの生徒との意見交流や対話を通して新しい観点を取り入れたり、自己批評したりすることで、とらえ方を変容させていくことも大切です。
そして取り組みの最後には「書く」活動を大切にしています。自分はその作品をどう読んだのか、自分がそれを読んだことで、どのように社会と関わっていきたいのかを表明します。「読む」だけではなく、「話す」、「聞く」、「書く」のすべてに取り組んで初めて「読む」ことが完成すると考え、単元を構成しています。
入試においても、単に文章を読み、内容を整理して解答することにとどまらず、自己との関わりの中でその作品をどうとらえたかを問うているのです。ですから、この「穴」の記述問題にしても、評論文全体を通して、まずは「穴」が何を表してるのかを比喩的な表現を通して正確に読み解いていきます。それを自分の経験と結びつけて考え、「自分の経験の中で言えばこういうことです」と具体的に示します。その時には、社会の形成者として広い視野の中で自分に何ができるのか、自分はどうありたいのかを表明してほしいと考えています。
「われらの願い」
インタビュー2/3
法政大学第二中・高等学校は、1939年に旧制法政大学第二中学校(高校の前身)として設立された。1986年に中学が開校し、2016年に共学校となった。85年を超える歴史の中で、世界や地域、あるいは様々な分野におけるそれぞれの課題に取り組みながら、人としての成長を重ね合わせる人材を育成している。