シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

法政大学第二中学校

2026年06月掲載

法政大学第二中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.文章と誠実に向き合うことが最初のステップ

インタビュー1/3

問いたかったのは「主体的に物事を洞察する力」

まずはこの設問の出題意図や思いをお話いただけますか。

美濃部先生 国語力を見るということももちろん大切なことだと思うのですが、受験生自身がこれまでに培ってきた思考力などを踏まえて、主体的に物事を洞察できるかどうかを念頭に置いて出題をしております。

野村先生 入試問題を作るときから、子どもたちがどんなことを書いてくるのか楽しみにしているので、採点もそういう気持ちでしています。多くの子どもたちは「身近なことから」というところにとどまっていることが多かったと思いますが、少し大きな視点でものを見ていた受験生もいました。

この文章に登場する中村さん自身もお医者様ですので、アフガニスタンにいる間にもっと衛生状態が良くなり、病気がなくなって、人々が健康で安全に暮らせるためには何が必要かを考え、薬ではない、医療ではない、水なんだということで活動されていますよね。

日頃から自分は何ができるのか。誰のためにできるのかを考えて、自分の小さな世界ではなく、周りに目を向けて、あるいは社会に関心を持っていてほしいという思いがあります。普段から世の中に目を向けて考えてほしいというのは、国語だけでなく、他の教科でもおそらく申し上げていることだと思います。

国語科/美濃部 精治郎先生、野村 香織先生

国語科/美濃部 精治郎先生、野村 香織先生

「記述」・・・自分の言葉で表現することの意味とは

身近なことよりも、もう少し大きな視点を求められていたということですね。

野村先生 そうですね。もう少し大きな視点で考えることが大事です。他者に目を向けたり、周囲に目を向けたり、自分には何ができるかを考えられているか、というところを見ていました。

須賀先生 本校が求めている生徒像と入試問題は一致しています。本校では自分なりに言語化し、表現し他者に伝えることも大切にしています。合格点に達している受験生は記述問題の得点率も高い傾向にあったかと思います。記述問題にも丁寧に取り組んでほしいです。無解答でなくても、途中までの解答だと、採点できない場合も出てきます。日本語は叙述性が高いですから、最後まで表現していただければと思います。

行動に移せる子どもたちを育てていきたい

この穴の問題で、印象に残っている解答があれば教えてください。

野村先生 エコロジー活動やボランティア活動など、目の前にいる人が困っているので助けるというような解答が多くありました。自分一人ではできないから、お母さんと一緒にやってみたいといったことを書いているのもありました。

磯部先生 身の回りのことから、最終的に社会性のある話題になっていくような解答が印象に残っています。そういう解答の中には、「温暖化」というキーワードが出てくるものもありました。地球規模の問題に結びつけて考えていくような解答は、全体の得点も高くなったと思います。

須賀先生 例えばフードロスの問題を取り出して、フードロスをしないためには、まず自分がたくさん食べて残さない。それを、みんなにも呼びかけていく。洋服の大量廃棄の問題であれば妹に着てもらうようにするや、どこかにリサイクルに出すといった内容がありました。とても身近なことですが、それが大きなことにつながっているということまで考えて記述できている解答もあり、目を惹きました。

ほかにも教室や廊下に小さな水たまりがあって、それを拭くことや、道端に落ちていた物を少し端に寄せておくことは、その行為によって、その後にそこを通った人が怪我をしないようにすることにつながるかもしれません。そういう解答もありました。自分ができることはすごく小さなことかもしれませんが、それが大きなことにつながっていくということを、たぶん受験生は書きながら発見したのではないかと思います。ただ、まだ子どもなので、自分一人ではできない。周りの協力を求めるというような解答も多くありました。

野村先生 社会の問題に目を向けてほしいという思いは、本校の社会や理科などの出題にも意図として反映されているので、そういう視点をもっているお子さんに来ていただける学校なのかなと思っています。

受験勉強だけでなく、ニュースなどで困っている人の事実もきちんと見てほしいですし、考えてほしいし、心も痛めてほしいのです。考えたり、思ったりすることが次につながります。仲間ができれば、行動に移せると思うので、そういう子どもたちを育てていきたいなという思いを込めて出題しています。

法政大学第二中学校 校舎内

法政大学第二中学校 校舎内

文章に誠実に向き合うことが大切

説明的文章も、物語も、大問の最後に記述を持ってきている理由を教えてください。

須賀先生 記述問題は総合化していくことだと思います。最後まで引用文を読んで設問を解いてわかることがあると思います。今回の文章も、「穴」だけ注目すると、落とし穴のことなのか、それとも何かわからずにいる受験生も多いと思いますが、本文全体をとらえる中で、穴は何を象徴したものなのかというところが見えてくると思います。

そのためには、目の前にある文章に対して、誠実に向き合うということが大切だと思います。文章を自分の主観を入れて読んでいくのではなく、いかにしっかり誠実に向き合って読めるか。それがコミュニケーションをする上でも大切だと思っています。わからない文章や、わからないことに対して、どういうふうに向き合えるか。自分に備えてある材料を使って、どういうふうに見て考えることができるかといった力も見ています。

野村先生 問1から順に解いていくことで読みが深まり、最後に記述に至るという構成にしています。読む中で何かをつかんでもらえたらいいなというメッセージを込めています。

順番に解いていくということを大切にされているんですね。

野村先生 そうですね。問題を作るときに設問の入れ替えをよくします。「こっちの問いがあってからだよね」とか、「線を引いたところがこの問いにつながるためにはやっぱりこっちだよね」とか。見直しに回数を重ねることによって、問題が整っていきます。

この文章には、小学校で習わない漢字にほとんどルビがふられていませんね。

美濃部先生 ルビについては、相談しながら決めています。文章を読む中で類推できるものについては積極的にルビをふっていません。文章を読みながら類推していく力も含めて問いたいと考えているからです。

須賀先生 ここだったら類推できてほしいというところは、ルビはふっていません。ルビがなかったとしても頑張って読んでほしいという作品を出題文としてあげることもあります。

国語科/須賀 可奈子先生

国語科/須賀 可奈子先生

インタビュー1/3

法政大学第二中学校
法政大学第二中学校法政大学第二中・高等学校は、1939年に旧制法政大学第二中学校(高校の前身)として設立された。1986年に中学が開校し、2016年に共学校となった。85年を超える歴史の中で、世界や地域、あるいは様々な分野におけるそれぞれの課題に取り組みながら、人としての成長を重ね合わせる人材を育成している。
英語・数学の分割授業、週1回の理科実験、「定着試験」などで、学力の定着を図っている。高2までは共通科目、高3では文系と理系に分かれる。高3では選択授業として、「理工系進学者のための数学特講」や「政治学・法学入門」など多様なニーズに応えられるような形で多くの講座が開講され、高い学力と幅広い教養の獲得を目指している。高3の進路決定後は、進学する学部に合わせて課題学習を行い、大学の学びに備える。
1・2年生において集団的に学んだ成果の集大成となるのが、中学3年「総合」の取り組み。クラスごとに学習班の単位でテーマを設定し、年間を通して、調べ学習を行う。研修旅行での現地の体験をはじめ、図書館を利用した調査・探究を横断的に行い、中間発表を経て、年度末には学習の成果をプレゼン形式で発表する。特に優れた発表については、年度末にクラス代表として研究の成果を全校生徒の前で披露する。
中学の部活動は、週3~5日活動を行っている。入部は任意だが、ほとんどの生徒が部活動に参加している。勝利や成績だけを目的とした部活動ではなく、友人と共に自主的に研究・制作や練習方法を築き上げていけるようになる過程を大切にしている。高校部活動の文化連盟は、個性豊かなテーマ、研究・発表・パフォーマンス、旺盛な行動力と集中力で活動している。体育連盟は、科学的なトレーニングと民主的クラブ運営で、高校生アスリートとしての最高の舞台を目指している。