今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
法政大学第二中学校
2026年06月掲載

2026年 法政大学第二中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
次の文章を読んで、後の問に答えなさい。
他人から見て大きな事を成し遂げた人であっても、最初から大きな事をしようとしていたわけではありません。偉業というのは、意識して達成するものではないのです。
たとえばアフガニスタンの復興に人生を捧げた中村哲さんは、もともとは虫が好きで蝶を求めてアフガニスタンに行ったことで、現地と縁ができました。その後、医者として同国に赴任し、調べていくうちに、問題は個々の患者ではなく、インフラなど現地の環境にあると気づく。そして見捨てられた農地をよみがえらせるためには、水を引かなければと考えて、実行に移すわけです。
(中略)
仕事の本質は、目の前の穴を埋めることです。穴が空いていたら、困る人がいるだろう。だから埋める。その延長線上に偉業があるかもしれないし、ないかもしれない。
ここを理解していない人がとても多いのです。仕事というのはあらかじめ存在しているものだというのは勘ちがいです。そういう勘ちがいをする人はともすれば、上司や会社に「私の仕事を定義してください」などと求めることになる。そんなことは事前に完全に定められるものではないというのが理解できていないのです。
まず存在しているのは「穴」のほうです。需要と言ってもいいでしょう。自分のやりたいことが先にあるのではなく、求められることが先にある。
(養老孟司『人生の壁』より)
(問) 傍線部「まず存在しているのは『穴』のほうです」とあるが、本文で挙げられている例以外の「穴」の具体例を一つ挙げ、あなたはその「穴」に対して何をするのか、あるいは何ができるのかを八十字以上百字以内で詳しく述べなさい。
ただし、句読点・記号等も字数に数えることとする。
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この法政大学第二中学校の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答例
(「記述問題の答えは一つではない」という、多様性を大切にする出題校の考えを尊重し、解答例の掲載を控えます。)
解説
観点
傍線部「まず存在しているのは『穴』のほうです」の部分について、「本文で挙げられている例以外の『穴』の具体例を一つ挙げ」さらにその「穴」に対して何ができるのかを80~100字で説明する問題です。
筆者のいう「穴」は、文章全体を象徴するキーワードであり、比喩的な表現です。「穴」とは自分だけではなく、広く外に目を向けて考え、そこで自分は何ができるか・自分は何をすべきか、ということです。部分だけではなく、文章全体から「穴」の意味することがらを理解して、その「穴」を自分事としてとらえ、「自分だったら、どういう形で主体的な行動をとることができるだろうか」と思い浮かべていきます。
他人事としてとらえるのではなく、自分にとって実行可能な行動を想像し、記述していくことが大切です。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
文章中に出てくる「穴」という表現が何を表しているのかをとらえたうえで、文章中に挙げられている例以外の「穴」の具体例と、それに対して自分は何をするのか、あるいは何ができるのかを考えて記述する問題です。
文章では、アフガニスタンの復興に携わった中村哲さんの活動を例に挙げながら、ここで「穴」とは「需要」、「求められること」だと説明されています。
「需要」を考えるためには、他者の置かれている状況や気持ちを想像するという共感力が求められます。それを解決しようとする当事者意識も必要です。また、「需要」は「解決していく必要のある課題」と言い換えることもできるでしょう。そしてその「課題」は、他の誰かから与えられるものではなく、自ら発見、あるいは設定し、解決のために行動することが求められるものだと言えるでしょう。
文章を読み、問の記述問題に取り組む中で、受験生にはさまざまな学びや気づきがきっとあったはずです。この問題が、受験生の今後の学びやこれからの生き方にもつながっているだけでなく、この問題を目にする未来の受験生への力強いメッセージである点にも魅力を感じました。
このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。