シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

広尾学園中学校

2026年05月掲載

広尾学園中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.最難関大学を目指せる生徒に育て上げたい

インタビュー3/3

広尾学園の社会の授業の特徴、特色などがありましたらお話しいただけますか?

町田先生 ここ数年、中学入試における広尾学園の入学偏差値が上がってきていて、実際に入ってくる生徒の学力が上がってきていると感じています。入学後のゴールとして、最難関大学にしっかり通用するだけの学力を養成していくという点については明確に意識しています。

ただ、6年間ずっと入試対策をやっていくかというと、もちろんそうではありません。中学1年生から高校1年生までは、私立の中高一貫校として、中学レベルを超えた発展的な内容を扱っていますが、そこでは単に知識の定着にとどまらず、しっかり考える力をつけていってもらう、また社会科に対する興味・関心を高めていく、といったことをコンセプトとして授業を行っています。

通常の授業では、映像だったりスライドを用いて分かりやすく授業を行ったり、フォームなどを用いて生徒の考えを引き出していく授業も行いますし、中学3年生時に行う「クエストエデュケーション」という授業では、企業からお題を出してもらい、それに対して生徒が解答を作っていくプログラムも導入しています。

広尾学園中学校 教室

広尾学園中学校 教室

社会の仕組みを知る「クエストエデュケーション」のプログラム

クエストエデュケーションとはどのようなものですか?

町田先生 まず株式会社がどのような仕組みになっているかを実際の企業を例にしっかり学んでもらい、その上で実際の企業からミッションが与えられます。その過程で生徒たちは各教室内でグループを作り、ディスカッションを行い企業のお題に対する解決策を作成、最終的に企業に対してプレゼンすることとなりますが、優秀作品に関しては全国大会に出場しそこでも発表を行います。

クエストエデュケーションは高校で取り組まれている学校が多いのですが、本校では中学生という比較的早い段階で取り組ませています。実際の企業がどういう活動をしているのか、ある種就職活動における企業研究のようなイメージで、実体経済に関心を持ってもらえるきっかけになるのではないか、と十数年前から続けています。この取り組みによって、実際の企業がどうしてこういった活動をしているのか、何を目的にしているのか、といった部分をしっかり理解できるようになっていきます。

生成AIは使いながらも考える力を育てる教育を

生成AIについてはどのようにお考えですか?

町田先生 AIがこれだけ進んでいるからこそ、子どもたちの考える力をどのように育てていくのかは本当に大きな課題だと思いますし、その課題をなんとか乗り越えていかないといけないと思っています。今は「レポートを書きましょう」「プレゼンテーション用のスライドを作りましょう」といったことがAIで全部できてしまうわけですから、逆に入試問題のように鉛筆と紙だけがある状況でどのような答えを作り出していけるかが、実は究極の考える力を育む場なのではないかと思います。

もちろん、AIを駆使しながら自分の考えをよりブラッシュアップさせていく場も必要ですので、考える力とAIを使いこなす力の両面を伸ばしていかなければと考えています。

普段生徒さんが生成AIを使っているのは把握されていますか?

町田先生 そうですね。使うなといっても使いますから、教員側としては「これは子どもたちの文体ではないな」といった部分などのチェックはしています。ただ最近は、「高校生に合わせた文体で書いてください」と言ったら書いてくれてしまうわけで、そうなると生成AIを使っているか使っていないかのチェックではなく、生成AIの使い方が上手いか下手かのチェックになってしまい、あまり意味をなさないのでは?と感じます。

であれば、生成AIを使って学べる場面はしっかり使ってもらう、使わない場面においては教員側が使わない場面をしっかり設定をしてあげて、その中で考える力を育むのが大切なことではないかとは思います。今は模索しながらやっているところですが、これが本当に生成AIだけの教育になってしまうと子どもたちの能力を衰えさせてしまうのでは?と危惧しているので、うまいバランスを取りながら、とは思っているのですが。

広尾学園中学校 掲示物

広尾学園中学校 掲示物

世の中の事象を自分のこととして考えられる子に育ってほしい

中高生時代に社会科の先生として身につけてほしい力としてはどのようなものがありますか?

町田先生 世の中で起きている出来事を自分ごととして捉える力は社会に出て必要だと感じていますし、ぜひ身につけてほしいと思っています。地理、歴史、公民とさまざま分野があって、世の中で起きている出来事ということでは公民が非常に近いかもしれませんが、地理であっても自分の身の回りの地形や天気、天候、気候などがどうなっているのかを知るのは自分の身の回りのことになりますし、歴史的な事象も昔があって今があるわけで、現在に至るまでにどうなってきたのかを自分のこととして考えて思考してもらいたいと思っています。

なお、本校では探究的な活動にも力を入れています。本科コースでは中学3年生までに一つの論文を作成するといった活動を行っていますし、医進・サイエンスコースでは理数研究といった形で自分の興味のあるテーマについて探究を深めることをかなり前からやっています。このような探究的活動の土台になるのが社会科の学力だと思っていますので、単純な知識ということではなく、世の中の何が問題で、それはどのように解決していけばいいか?について考える力を社会科の授業の中で身につけてもらいたいです。

最後に今後どういった生徒さんに入学してきてもらいたいか、受験生に向けたメッセージをお願いします。

町田先生 「自分はこういうことを学びたい。それを広尾学園という場で実現させていきたい!」といった意欲を持っている生徒に入学してもらいたいと思っています。

学校の枠の中だけで収まるのではなく、「こんなことをやってみたい」といった強い意思や希望を持っている子に入学してきてもらえると、広尾学園にはそれを後押しするだけの環境はあると自負していますので、本校としてもそういった子どもの強い意欲をサポートしていきたいと考えています。

もちろんみんなが強い意思を入学の段階で持っているかというとそうとも言えません。そこまでの意思はなくても自分の好きなものをどんどん極めていきたいというモチベーションのある子にも入ってきてもらいたいですね。そして、広尾学園で学んだ知識をベースに自分が社会をこのように変えていきたいんだ、という強い思いを持って、大学、そしてさらにその先につなげていってもらいたいです。

広尾学園中学校 カフェレストラン

広尾学園中学校 カフェレストラン

インタビュー3/3

広尾学園中学校
広尾学園中学校1918年、板垣退助(伯爵内務大臣)、夫人絹子たちを中心に大日本婦人慈善会により、順心女学校が創設された。2006年度の特進コース(中学、高校)設置、学習支援センターの始動によって、本格的な進学校への道を歩みだす。2007年度の共学化、それにともなう校名変更、インターナショナルコースの設置と大きな話題を呼んだ。現在は、国公立・難関私大をめざす「本科コース」、国内外の医系・理系大をめざす「医進・サイエンスコース」、トップレベルの国際人をめざす「インターナショナルコース」の3コース制をとっている。
9階建ての校舎は、最新設備を完備し、豊かな教育環境を提供している。エントランスを入ると右手に見えるカフェレストラン。昼食時、休み時間、放課後、生徒たちの明るい笑い声で賑わう。また、晴れの日はけやきの下でオープンカフェも楽しめる。校舎6階に化学、生物、物理、それぞれ3つのサイエンスラボが並んでおり、研究室レベルの最新設備を備えた環境で、中学・高校の授業の枠にとらわれない実験を体験することが出来る。
基礎学力定着の要として、生徒一人ひとりの学習進度に対応して実施される小テストが「P.L.T.」。朝のP.L.T.が終わると答案は学習支援センターに運ばれ、翌日、テスト結果に基づいた不得意分野の解消と学力定着のための課題が作成される。苦手分野を克服し、確実な基礎学力を身につける。週の終わりには1週間の成績表を生徒各自に配布し、週ごとに学習理解度を確認する。
英語では、「聞く・話す(プレゼンテーションする)・対話する・読む・書く」の5技能をバランスよく身につけるため、「英語は実技教科」という意識を持ち、英語を実際使うことを重視している。年に5回行うスピーキング試験、P.L.T.(Practical Listening Test)、授業中の英語発表などの機会を通し、生徒たちは使える英語を身につける。インターナショナルコースでは英語でプレゼンテーションも行う。
勉強だけではなく、部活動も活発だ。広尾学園の教育理念である「自律と共生」の力を身につけるために、部活動に打ち込むことを奨励されている。ダンス部、吹奏楽部、チアリーディング部、ディベート部などは、全国大会・関東大会のレベルだ。