シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

淑徳与野中学校

2026年04月掲載

淑徳与野中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.日常生活の中で「なぜ?」と思うくせをつけていこう

インタビュー3/3

実験は夏と冬の特別指導で時間をかけて実施

あらためて、理科の授業の特徴をお話いただけますか。

加藤先生 知識を知識で終わらせないところだと思います。問題を解くことだけに集中してしまえば、それこそ知識や解き方、また解き方のパターンだけで終わってしまうと思うのですが、どの先生もそれだけで終わらせていません。他の先生方の授業を見させてもらうことがありますが、どの先生方も知識としてだけでなく、その使い方も教えるような授業を心がけているように思います。

実習や実験は豊富ですか。

加藤先生 平常授業の中での実験は、教卓で教員がやって見せるということが多いです。夏期講習や冬季講習の講習会では、実験をメインに行っています。本校の授業時間は45分ですが、夏期講習や冬季講習は1コマ100分取れますので、そこでしっかり実験をやります。主に化学と生物に関する実験ですが、ただ実験を行うだけでなく、レポートを書いて提出してもらっています。

講習で行う実験のテーマは、どのように決めていますか。

加藤先生 基本的には担当の先生が設定しますが、化学分野は毎年、決まったことをやっています。生物分野は先生ごとに変わることが多いです。私が担当するときは、マイクロピペッターという、1mlよりも細かい液体量を正確に測り取れるスポイトのような器具を、全員に経験してもらいたかったので、2人で1本ぐらいの数を用意して唾液中のアミラーゼ酵素の量を測りました。そういう専門的な器具に触れたときの生徒たちは、普段の授業中では見られないような顔になります。色が変わるときなどは、特に反応がいいです。そういうことをしているので、入試問題でも実験での器具の使い方や、使うときの注意点なども出題することがあります。

淑徳与野中学校 理科室

淑徳与野中学校 理科室

医進の入試が加わり、理系進学者が増えてくる

理系に進む生徒さんはどのくらいいますか。

加藤先生 中高一貫生の場合、年度によって多少異なりますが、理系と文系はおよそ半々です。女子校の割には、理系の人が多いかもしれません。

「医進コース」ができたので、これからはますます増えてくるかもしれませんね。

加藤先生 そうですね。「医進」の入試で入ってきた生徒たちは、ほとんどが理系進学になると思います。2027年度から高校生になりますので、その時にどういう風に学年の表情が変わってくるのか、理系の教員としては楽しみにしています。

入試問題を見て、理系に力を入れてるんだなという感じがしました。

加藤先生 そうですね、医進の入試が始まるときに、理科の会議で校長から、「知識を問うような問題でもいいよ」ということでした。その意図は、理科の教員の作問の負担を考えてのことで、決してそれを望まれていたわけではないと思います。入試問題が1つ増えることになりますので、気を遣われて、「知識がベースになるような入試問題でもいいから」と言ってくださったのですが、理科の教員は全員が「思考力をきちんと問う問題を作ろう」という気持ちでした。むしろ医進の入試が始まったからこそ、思考力を問う問題が、どの分野からもより出るようになっています。問題を作るときは、医進も特進も関係なく作りますので、もっと言えば、医進の入試に自分が作った問題を採用してもらいたいという思いが感じられるというか。皆さん、かなり思考力を強く打ち出すようになっていると思います。

先生方に火がついたのですね。

加藤先生 入試問題は学校の顔でもありますしね。そのときの理科の会議で、「しっかりやりましょう」と決めたわけではなく、校長から話をもらって、「わかりました」ってそれぞれ言いながら、持ち寄ってみたらいいものが多くできていたというか。その場では皆さん口にしませんでしたが、個々には「よし、面白い問題作ってやるぞ」というような、うちに秘めた思いは、熱いものがあったのだと思いますね。

淑徳与野中学校 図書室

淑徳与野中学校 図書室

問題を発見・解決する力を養ってほしい

「医進」ができて、理科の中で変わってきたことはありますか。

加藤先生 お茶の水女子大学さんや埼玉医科大学さんなど、外部の大学と連携させていただいています。例えば、実験講座を学校のほうで開いたり、もしくはキャンパスツアーみたいなもので大学を見学させていただいたりする機会が増えています。理科教員のほうで率先して作っていったこともあり、そういう機会が出来上がっていったため、自然と我々も、実験に対する意欲や、理科教育に対する意欲が高まっています。これも個々に口にはしていないのでわかりませんが、おそらく理科教員全員のモチベーションは上がっていると思います。

お話を伺っていて、「医進コースを始める」というところから、理科だけでなく、どの教科もそういう問題を出そうという意識が高まったのではないですか。

加藤先生 そうですね。教員の「思考力への意識」は強くなっていると思います。私が自分でクラスや授業を受け持つときには、生徒の10年後を意識します。そのときに問題を見つけられる人であってほしい。そしてそれを解決できる人であってほしいと思っているので、まずは問題を見抜く力をしっかり養ってほしいと思っています。問題を見つけたら、それを解決できるアイデアを出せるように、そういう力を、この中高時代に養ってほしいという思いが前提にあります。

もちろん理科に限らず、いろんな場面で養っていってほしいのですが、理科は日常のいろいろな問題に直結することが多いと思います。ですから、授業の中でも「これはこうです」「覚えましょう」だけではなくて、仕組み、因果関係などを考えることを大切にしています。常々そういう見方で世の中を見られるようになってほしいなと思っています。それが大学の研究などに直結していくといいなと思っています。

淑徳与野中学校 和室

淑徳与野中学校 和室

小学生が「なるほど!」と思うような問題を出し続けたい

これから受験する小学生に、伝えたいことはありますか。

加藤先生 私がお伝えしたいのは、日常生活の中で「なぜ?」と思うくせをつけてほしいということです。受験が目前に迫ってきている小学6年生にはそういう余裕が無いかもしれませんが、「なぜ?」を考えながら生活していると楽しいじゃないですか。純粋にそれがわかったときの「なるほどね」を、大事にして生活してほしいと思います。それがどんなことでも、受験を突破するための勉強につながっていくと思うからです。原動力にもなっていくと思います。おそらく、それがないと受験勉強は苦しいと思うんですよね。量が多いので、受け身になるとただ浴びるだけになってしまいます。日常生活とともに、受験勉強をぜひ楽しんでほしいと思います。

私は最近、ダックスフンドを飼い始めたのですが、いろんな発見の連続です。調べてみて、なるほど!と思ったのですが、スヌーピーみたいに耳が垂れている犬は鼻が長いんですよね。他の動物の巣穴に顔を突っ込んだときに、泥などが耳の中に入るじゃないですか。それを防ぐために耳が垂れているらしいんです。ビーグル犬などは、鼻を穴に突っ込む習性があって、それ前提で進化を遂げているので鼻も長くなるのです。かわいがりながらも、あれ、なぜなんだろうと思ったことを、身近なスマホで調べています。

他にもないかなと、思わず探したくなりますね。

加藤先生 そうですよね。世界地図を見ると、地域的な犬種の分布にもひょっとしたら発見があるかもしれないですしね。2年前にもNHKさんで1題、取り上げてもらったのですが、それはシロクマの素肌の色の問題でした。シロクマの毛は白じゃないんですよね。透明なんです。それは太陽の光を受けて体の体温を保つためと考えられているのですが、そこで「素肌は何色と考えられるでしょうか」という問題を出しました。

それもおもしろい問題ですね。

加藤先生 答えは黒。太陽の光を吸収しやすいようにするためです。動物そのものは知っていますが、踏み込んだところまでは知らないことが多いので、疑問をもったら調べてみるとおもしろいですよ。これからも、小学生が「なるほど!」と思えるような問題を作っていきたいですね。

淑徳与野中学校 賞状・トロフィー

淑徳与野中学校 賞状・トロフィー

インタビュー3/3

淑徳与野中学校
淑徳与野中学校1892(明治25)年に輪島聞声により淑徳女学校が開設。1946(昭和21)年に淑徳女学校第8代校長・長谷川良信により与野町に淑徳女子農芸専門学校と淑徳高等女学校与野分校が設立。48年に現校名となり、2005(平成17)年に中学校を開校。2015年高校校舎を中学隣接地に移転。
中学校舎は、「自然との共生」をテーマにしており、風力発電やエコガーデンを組み込むなど環境にも配慮。吹き抜けがある玄関、南向きの窓から太陽光がたくさん入る普通教室、和室や特別教室、体育館、運動場など最新鋭の設備が整う。
「仏教主義に基づく心の教育」「21世紀を生きていくための国際教育」「生徒の個性を伸ばし、難関大学進学の希望をかなえる進学指導」など、埼玉県トップレベルの女子進学校・淑徳与野高校で培われた指導方針を継承する。校訓は「清純・礼節・敬虔」。「淑徳の時間」の中での宗教の授業、宗教行事などを通じ「常に感謝の気持ちを忘れないで生きていく」という心の教育を実践する。
中高一貫生は原則として高入生とは別クラスで国公立・難関大学現役合格を目指す。高2・高3では文系・理系に分かれ目標大学に応じた指導を展開。中1から夏季・冬季特別指導、進学講座など、塾に通わなくても大学受験に対応できる体制が整っている。また、学習サポートと呼ばれる指名制の面談は各教科で実施。論文作成など「書く」機会を多く設定し、思考力を育てている。英語のテキストは『ニュートレジャー』を使用。授業は週5日制、隔週土曜日はお茶の水女子大学理科実験講座やグローバル探究講座、英・数の進学講座などの土曜講座を開講する。
学期制でなく、1年間を5つに分けた「5ステージ通年制」で学校生活を進めるのが特色。「適応・挑戦・確立・変革・未来」と各ステージで目標を定め、学習も行事も集中して取り組む。行事はオリエンテーション合宿、淑煌祭、なでしこ発表会、芸術鑑賞会、芸術研究発表会、花まつり、み魂まつりなど各ステージに合わせて行われている。韓国、タイ、台湾、イギリス、アメリカ、オーストラリアに姉妹校・提携校をもち、中2の全員参加の台湾海外研修、高2でのアメリカ・オレゴン修学旅行のほか、長期・短期の留学なども用意。中3の修学旅行は京都・奈良で、日本文化への理解も深める。クラブ活動は剣道、バトン、サッカー、吹奏楽などが活躍。