シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

淑徳与野中学校

2026年04月掲載

淑徳与野中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.入試問題はこれからの受験生に向けてのメッセージ

インタビュー2/3

「医進」(2027年度入試より、「医科学進学コース」と名称変更予定)の入試では計算力も重要視

各大設問での数値的な処理が多く、それは女子が苦手としているところでもあると思うのですが、意図的に出題しているのでしょうか。

加藤先生 「医進」の問題に関しては、文章などから数値を読み取って、それを使えるかどうかということ。それから、しっかりとした計算力(計算間違いをしない力)を問いたいと考えています。「特進」よりも「医進」の入試のほうが、グラフや表から数値を読み取って計算させることが多いです。

特に今回、物理分野の問題は、一見、数学寄りの問題になっているかもしれません。そうした横断型の考え方が大切だと思っています。本校では中2までに中学校領域の理科は終えます。中3から物理基礎、化学基礎、生物基礎という高1の内容に入っていくと、速度や濃度を考える力、グラフを捉える力が必要になります。数学的思考力で理科を考える力はとても大切なのです。

今回の問題もそうですが、選択肢を比較しながら考え続けられる力も問いたいところですか。

加藤先生 そうですね。選択肢を比較してもらうことで、出題者が何を聞きたいのかを、メッセージとして受け取ってもらえるような問題になるように心がけています。

他と比較することによって、正解が際立つというか、やさしさが感じられる作り方ですよね。

加藤先生 まさにそうです。今回の問題も、例えば選択肢ではなく、図を書いてくださいというような問題にしたら、小学生の出題の範疇を超えていることになると思います。選択してもらう形にしたことで、頂上から寒い順番に並べた後、北、南どちらに傾いているのかより立体的に考えてみようというように、手順を追っていける問題にしました。

淑徳与野中学校 メディアステップ

淑徳与野中学校 メディアステップ

出題意図を過去問で伝えられれば本望

リード文、興味関心が引かれます。

加藤先生 本校に興味をもった皆さんは何かしらで過去問を手に入れて、解かれて、本校の入試に臨んでくださっているだろうなと思っていますので、入試問題は受験生の力を問うためのものだけでなく、その過去問を解いている、これから受ける受験生たちに向けてのメッセージでもあると思っているんですね。例えば、この問題を解いてみて「答えはこれなんだけど面白くない?!」って、伝えられますからね。

身の回りのことで「これってすごくない?」ということを、中学入試の範囲の中で出題できるようにすることを心がけていますので、受験する小学生には、ぜひ過去問を解いてもらって、楽しんでもらえたらいいなと思っています。

淑徳与野中学校 利行堂

淑徳与野中学校 利行堂

理科は私たちの身近にある

入試問題はどのような形で作っていますか。

加藤先生 理科の教員がそれぞれに作問して持ち寄って、割り振りを決めていくような感じで作っています。例えば難しいものを全部集めてしまっても時間内には終わらないですから、ある程度バランスも考えて、差し引きをしながら組み立てて、さらに理科の教員が全員参加する入試会議を重ねて練り上げていきます。

理科は身近なものです。私は日常生活の中で理科を見つけてほしいと思っています。それを見つけて、身近な現象を理解できたときの嬉しさを大事にしているので、私はなるべく身近な自分自身の経験から問題を作るようにしています。

何年か前に、ブルーベリーでジャム作りをしたときの問題もありましたよね。

加藤先生 自宅の庭にブルーベリーの木があるのですが、植えてからしばらく実がならなかったんですね。やっと実がなったので、ジャムを作ってみました。最後にレモン汁でとろみをつけるのですが、レモン汁を入れたときに、それまで青紫色だったブルーベリーを煮詰めた液体が赤に変わっていくんですね。なるほど、これはリトマス試験紙の原理と一緒だなと思いました。よく紫キャベツなどでもやられますが、酸性の液体で赤く鮮やかになるのです。これは入試問題に使えると思いました。料理もやりますし、家庭菜園程度のちょっとした畑もやっています。そういう実体験の中から入試のネタを拾うことが多いです。

淑徳与野中学校 エコ・ガーデン

淑徳与野中学校 エコ・ガーデン

自身の体験と理科を結びつけて話すと生徒の目が輝く

加藤先生  学校できゅうりやスイカなどを育てたことがあります。花をつけるような植物が入り始めると、今度はそれに寄ってくる虫たちが自然とそこに寄ってくるんですね。この住宅街で、しかも2階の屋上という高さにある畑で、勝手にスイカの苗を植えただけなのですが、どこからともなく、住宅では見かけないようなモンシロチョウや、いろんな昆虫たちがやってきたことが非常に驚きでした。それは、どう考えても入試の問題にできなくて、出題には至らなかったのですが……。

体験に基づいた問題づくりは面白いですね。

加藤先生 僕自身、いろんなところに理科を見つけることが好きなので、それを大事にしています。入試問題にできるかどうかは別にして、見つけたら、必ず作問してみようと決めています。

授業では、ちょっとした小話として、そういう普段の経験を話しています。どの学年で話しても、生徒に「おっ!」と思われるのは、葉っぱがなぜ緑色に見えるかみたいな話です。私たちの太陽から受け取っている光には、本当はたくさんの色がありますが、仮に赤と青と緑の3つだったときに、植物の葉緑体は青色と赤色の光を吸収して光合成をします。相対的に光の吸収が少なかった緑色の光が透き通ったり反射したりするので、葉っぱは緑色に見られるという話です。生徒が「なるほど」と目を丸くして、黒板に集中してくれます。ちなみに、その緑色の葉っぱが頭上に生い茂っているような、アマゾンなどのジャングルでは、赤と青の光が上部で吸収されて、地表には相対的に緑色の光が多くなるので、緑色の光も吸収するような葉っぱが見られたりします。

なるほど。今度はジャングルの地表に、緑色以外の葉が見られるようになってくるということですね。

淑徳与野中学校 体育館

淑徳与野中学校 体育館

インタビュー2/3

淑徳与野中学校
淑徳与野中学校1892(明治25)年に輪島聞声により淑徳女学校が開設。1946(昭和21)年に淑徳女学校第8代校長・長谷川良信により与野町に淑徳女子農芸専門学校と淑徳高等女学校与野分校が設立。48年に現校名となり、2005(平成17)年に中学校を開校。2015年高校校舎を中学隣接地に移転。
中学校舎は、「自然との共生」をテーマにしており、風力発電やエコガーデンを組み込むなど環境にも配慮。吹き抜けがある玄関、南向きの窓から太陽光がたくさん入る普通教室、和室や特別教室、体育館、運動場など最新鋭の設備が整う。
「仏教主義に基づく心の教育」「21世紀を生きていくための国際教育」「生徒の個性を伸ばし、難関大学進学の希望をかなえる進学指導」など、埼玉県トップレベルの女子進学校・淑徳与野高校で培われた指導方針を継承する。校訓は「清純・礼節・敬虔」。「淑徳の時間」の中での宗教の授業、宗教行事などを通じ「常に感謝の気持ちを忘れないで生きていく」という心の教育を実践する。
中高一貫生は原則として高入生とは別クラスで国公立・難関大学現役合格を目指す。高2・高3では文系・理系に分かれ目標大学に応じた指導を展開。中1から夏季・冬季特別指導、進学講座など、塾に通わなくても大学受験に対応できる体制が整っている。また、学習サポートと呼ばれる指名制の面談は各教科で実施。論文作成など「書く」機会を多く設定し、思考力を育てている。英語のテキストは『ニュートレジャー』を使用。授業は週5日制、隔週土曜日はお茶の水女子大学理科実験講座やグローバル探究講座、英・数の進学講座などの土曜講座を開講する。
学期制でなく、1年間を5つに分けた「5ステージ通年制」で学校生活を進めるのが特色。「適応・挑戦・確立・変革・未来」と各ステージで目標を定め、学習も行事も集中して取り組む。行事はオリエンテーション合宿、淑煌祭、なでしこ発表会、芸術鑑賞会、芸術研究発表会、花まつり、み魂まつりなど各ステージに合わせて行われている。韓国、タイ、台湾、イギリス、アメリカ、オーストラリアに姉妹校・提携校をもち、中2の全員参加の台湾海外研修、高2でのアメリカ・オレゴン修学旅行のほか、長期・短期の留学なども用意。中3の修学旅行は京都・奈良で、日本文化への理解も深める。クラブ活動は剣道、バトン、サッカー、吹奏楽などが活躍。