シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

淑徳与野中学校

2026年04月掲載

淑徳与野中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.受験勉強で得た知識を使えるようにしていく授業が待っている

インタビュー1/3

社会科との横断型の問題

まずはこの設問の出題意図からお話しいただけますか。

加藤先生 単に知識として高山の植生帯を覚えているかどうかではなく、標高と気温の変化、まずはここが第一だと思っています。さらには緯度との関係ですね。これらを総合的に考えて、判断する力を見ようと思って出題しました。

単純に覚えてきているかどうかより、一歩踏み込んで、それを使えるかどうかというところですね。地理的条件を踏まえながら、まずはどんな順序で植生が分布するのか。さらには、緯度でいうと低緯度のほうの気温が高い。それは理科で習うというより、おそらく社会科の地理で習うようなことだと思います。ただ、こちらは「地理で習ったよね」というより、理科としても考えられることなんじゃないかと思って出しました。要は、理科の枠を超えて、社会科との横断型の問題と言ったらいいのでしょうか。受験生がこれまでの経験で得た知識を、きちんと知恵として使えるかということを考えて出題させていただきました。

一番標高が高いところは森林の展開がないということで統一しています。上から順にいろんなタイプの森林が並んでいて、境界線が必ずどちらかに傾いている形を取っているのは、境界線は傾くということを考えなければいけないんだなということを、受験生に汲み取ってもらいたかったからです。

理科/加藤 茂幸先生

理科/加藤 茂幸先生

受験生の約87%が西日本に多く見られる植生を理解

この問題は「医進コース」の入試で出題した問題ですよね。

加藤先生 そうです。ちなみに、この問題の前の問1で、「西日本に多く見られる植生」について聞いています。照葉樹林と夏緑樹林では、どちらが暖かく、どちらが寒い地域に分布するのかという、確認の出題をしているのですが、その問題の正答率は約87%でした。西日本で照葉樹林が見られることを約87%の受験生が知っているということですから、その問1をクリアしていれば、寒さの順に並べると、針葉樹林、夏緑樹林、照葉樹林という順番になるということはわかるはずなんですね。あとはどちらに傾くかというところで、この問題(問5)の正答率が約43%ですから、もう1段階踏み込まないと、この問5の問題はできなかったというところですね。

誤答は⑤を選んだ子が多かったですか。

加藤先生 誤答としてはそうです。

塾に通っていない受験生も想定して作問する

先生は⑤と答えた受験生が多かったことを、どのように捉えていますか。

加藤先生 並び順を知識として知っている受験生は多いと思っていました。緯度の関係で、南が暖かいということはわかると思うのですが、それを境界線に落とし込んだときに、南のほうが暖かいから、同じ気温になるにはより上に上がればいいのか、というような考えができる受験生はあまりいないだろうなと思っていました。

塾に通っていない受験生もいますので、表の細かい特徴を出しています。小学生の教科書などだと、常緑樹、落葉樹という分類は出てきますが、照葉樹、夏緑樹という言い方や分類の仕方は出てこないからです。ですので、文章にその特徴と、最後のところに暖温帯に広がる、冷温帯に広がると記しました。

いろんなところにヒントが散りばめられていたのですね。

加藤先生 そうなんです。理科の入試問題を作る上での会議では、「塾に通っている生徒だけがもっている知識で解けるような問題を出題することはしない」という確認を必ずしています。

淑徳与野中学校 校舎

淑徳与野中学校 校舎

組み立て方にフォーカスして出題

塾に行っていない子どもを考える上で気をつけていることはどんなことでしょうか。

加藤先生 小学生向けの教科書や参考書を逐一確認しています。発展的な参考書よりは、広く教科書レベルで網羅的に扱っている参考書や問題集も見て参考にさせてもらっています。

その背景には家庭の事情で通塾が難しかったり、通信制の学習をやっていたりするような小学生もいるので、学校で習ってきたことを、知恵として使えているかを試すような出題を、いつも心がけております。作問者としても、難しいやり方を知っている生徒だけが解けるような問題であれば簡単に作れるのですが、みんながみんなほぼ100%知り得ている内容だけれども、問題としてはなるべく平均点が60点になるような意識でやっていますので、知識の使い方や組み立て方にフォーカスして出題することが多いです。

生徒さんの考える力をどのように感じていますか。

加藤先生 最近特に思うのは、入学したての生徒たちの知識量が増えているということです。同時に、暗記だけで終わってしまっている子も増えているような気もします。

年齢が上がるにつれて物事を深く考えられるようになっていきますから、学校としても高学年になるほど、知識だけではなく、因果関係を大事にしながら、使える知識となるよう授業をしています。高校に上がる頃には、中学範囲の内容については理解を伴って、吸収してくれていると思います。

淑徳与野中学校 シアター

淑徳与野中学校 シアター

インタビュー1/3

淑徳与野中学校
淑徳与野中学校1892(明治25)年に輪島聞声により淑徳女学校が開設。1946(昭和21)年に淑徳女学校第8代校長・長谷川良信により与野町に淑徳女子農芸専門学校と淑徳高等女学校与野分校が設立。48年に現校名となり、2005(平成17)年に中学校を開校。2015年高校校舎を中学隣接地に移転。
中学校舎は、「自然との共生」をテーマにしており、風力発電やエコガーデンを組み込むなど環境にも配慮。吹き抜けがある玄関、南向きの窓から太陽光がたくさん入る普通教室、和室や特別教室、体育館、運動場など最新鋭の設備が整う。
「仏教主義に基づく心の教育」「21世紀を生きていくための国際教育」「生徒の個性を伸ばし、難関大学進学の希望をかなえる進学指導」など、埼玉県トップレベルの女子進学校・淑徳与野高校で培われた指導方針を継承する。校訓は「清純・礼節・敬虔」。「淑徳の時間」の中での宗教の授業、宗教行事などを通じ「常に感謝の気持ちを忘れないで生きていく」という心の教育を実践する。
中高一貫生は原則として高入生とは別クラスで国公立・難関大学現役合格を目指す。高2・高3では文系・理系に分かれ目標大学に応じた指導を展開。中1から夏季・冬季特別指導、進学講座など、塾に通わなくても大学受験に対応できる体制が整っている。また、学習サポートと呼ばれる指名制の面談は各教科で実施。論文作成など「書く」機会を多く設定し、思考力を育てている。英語のテキストは『ニュートレジャー』を使用。授業は週5日制、隔週土曜日はお茶の水女子大学理科実験講座やグローバル探究講座、英・数の進学講座などの土曜講座を開講する。
学期制でなく、1年間を5つに分けた「5ステージ通年制」で学校生活を進めるのが特色。「適応・挑戦・確立・変革・未来」と各ステージで目標を定め、学習も行事も集中して取り組む。行事はオリエンテーション合宿、淑煌祭、なでしこ発表会、芸術鑑賞会、芸術研究発表会、花まつり、み魂まつりなど各ステージに合わせて行われている。韓国、タイ、台湾、イギリス、アメリカ、オーストラリアに姉妹校・提携校をもち、中2の全員参加の台湾海外研修、高2でのアメリカ・オレゴン修学旅行のほか、長期・短期の留学なども用意。中3の修学旅行は京都・奈良で、日本文化への理解も深める。クラブ活動は剣道、バトン、サッカー、吹奏楽などが活躍。