シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

淑徳与野中学校

2026年04月掲載

淑徳与野中学校【理科】

2026年 淑徳与野中学校入試問題より

日本の植生は主に照葉樹林と夏緑樹林の2種類の森林に分けられ、国土の広い範囲(はんい)をおおっています。(中略)
さらに、北海道の寒冷な地域では針葉樹林が広がり、エゾマツ・トドマツなどが見られます。

表

(問) 日本の本州中部にある山を真東から見たとき、植生の分布を正しく表した模式図はどれですか。①~⑧より選び、番号で答えなさい。

模式図1~3

模式図2~6

模式図7~8

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この淑徳与野中学校の理科の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

解説

問題文より、日本の植生は主に照葉樹林と夏緑樹林の2種類の森林に分けられることと、北海道の寒冷な地域では針葉樹林が広がっていることが読み取れます。また、表より、照葉樹林は暖温帯に広がり、夏緑樹林は冷温帯に広がることが読み取れます。これらのことと、標高が高いところほど気温が低くなることから、日本の本州中部の山のうち、森林が見られるもっとも高いところでは針葉樹林、もっとも低いところでは照葉樹林が見られ、その間で夏緑樹林が見られると推測できます。

次に、山の南側と北側を比べると、南側の方が日光が当たりやすく、気温が高くなりやすいといえます。したがって、南側の方が北側よりも標高が高いところまで照葉樹林、夏緑樹林、針葉樹林のそれぞれが見られることになります。

以上の条件をすべて満たしているのは、①の図になります。

日能研がこの問題を選んだ理由

日本の国土の広い範囲をおおう森林は、私たちの近くにありながら、どのような種類の植物が、どのような場所に生えているのかという視点で見る機会は少ないかもしれません。

この問題では、冒頭の文章と表の情報を読み取っていく中で、日本のそれぞれの地域に生えている植物の特徴を知り、日本の地域ごとの多種多様な植生に目を向けます。そして、選択肢で示された模式図をもとに植生の分布を考えることによって、ぼんやりと1つのまとまりとしてとらえていた森林を、それぞれの場所の気候に適した植物の集まりとして新たにとらえ直すことができます。さらに、南北における太陽の光の当たり方をもとにした気候条件もふまえ、複合的に森林の景色を推測していきます。

また、選択肢の中から、植生の分布を正しく表した模式図を選ぶために、複数のものを比べて、相違点を見つけるというプロセスも、理科の学びで非常に大切な考え方であるといえます。

この問題に取り組んだ子どもたちは、身のまわりのものを見るときの新しい視点を得ると共に、比較することによって物事がとらえやすくなるという体験をすることができます。

このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにいたしました。