シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

開智中学校

2026年04月掲載

開智中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.「探究=理系」のイメージを、文系の探究にも目を向ける方向へ後押ししたい

インタビュー2/3

続いて、授業を中心とした中身についてお聞きしていきます。国語科の先生も創発クラスを始めいろいろなクラスを受け持っていることと思いますが、同じ内容の授業をするとして、クラスによって「このクラスではこういう授業をしよう」とかあるのでしょうか?

渡辺先生 創発クラスに関しては対話の機会を多く作ることはあります。ただ国語に関して言うと、あまり話し合いばかりになるのも違うとは思っています。

基本的知識や漢字といったものを、ある程度繰り返し学習で定着させていくことはどのクラスでもそんなに変わりません。ただし、生徒の覚えの速さや集中力については創発クラスの生徒はやや優れていると感じます。

御校の基本理念として「探究」もあると思います。国語科として探究との関わり方・考え方といった部分について何かありますか?

渡辺先生 探究自体が、疑問を持つ→仮説を立てる→検証する→発表する、といった具合に各段階でいろいろ考えていくことになりますので、思考や「言葉の力」が重要になってきます。

本校の場合は早い学年の段階でかなり理科的な「見て」「観察して」「測って」「比べて」といったことを実践しますので、自然科学的なテーマを選ぶ生徒が多い印象です。個人的な感覚としては、人文的、特に言語や文学に関する探究をしてくれる人がいてほしいなと思っています。

そのため、国語科を含めた文系教科全体としての課題としては、質的研究や文献研究を後押しできるようなこともやっていけたら面白いかもしれません。ただ、なかなか国語の授業に探究テーマを取り入れるところまでは行ってないですね。

探究の授業には探究担当の先生がいらっしゃるのですか?

渡辺先生 そうではないです。担当教員は別に探究専門というわけではありません。

探究活動は個人の生徒個人の興味がエンジンになっていくものなので、いろいろなものが出てきて面白いですね。個人の探究テーマが漠然としすぎていたり、逆に細かい点に捉われすぎていたりすると感じることはあります。そうした時に、テーマ自体を変えさせることはしませんが、「そのテーマだったらこういう考え方はあるから、それについて話してみたらどうなの?」という問いかけをしたりすることはあります。

宮入先生 深掘りをどこまでできるかは、最初に出てきた疑問次第かなという気がしています。ですから「疑問をなるべくたくさん出す」という練習を低学年のうちはやっていきたいですよね。

どの学校に行っても探究って大体理系のイメージはありますもんね。

渡辺先生 科学的な実証や定量的に統計を取るのは面白いですし、興味を引くことは多いですからイメージしやすいと思います。実際、私も中学生だったころには「自主研究」といえば理科実験的なことをやっていたおぼえがあります。

国語科/渡辺 啓太先生

国語科/渡辺 啓太先生

大学受験に向けた特別講座や補習は充実

国語科で何か特別にされていることなどありましたらお聞かせください。

渡辺先生 進路としての大学入試への指導はもちろん外せませんので、他教科も同じですが入試に向けての特別講座や補習などは行っています。特別講座は本校の教員が担当していますので一人ひとりの生徒を理解して実施できることと、教員の側も受験国語に対する、感度のようなものはある程度磨かれているのではないかと思います。

特別講座の準備として教員は必然的に多くの文章を読みますし、分析的に読むといったこともします。もちろんこれらは生徒のためにやっていることではあるものの、教科指導力に結びついている部分もあると感じています。

6年間を通じて、中学生の段階ではどういった力を身につけてもらおうか、たとえば「中学生から高1ぐらいまではこのぐらいまで知識面で固めておけば大学入試に対応できる」というのを逆算した場合に、「ただやみくもに慌てなくてもいいのではないか」「低学年の時はある程度ゆったりやってもらってもいいのではないか」「塾にも急いで通わなくてもいいのではないか」とは個人的には思っています。

「中学に入ったら、私立の勉強についていくためすぐに必死で勉強しなければいけないのでは?」と心配されている方も多くいらっしゃると思います。そういったお気持ちは自然だと思いますし、学習習慣は大切です。しかしその上で、本校で大切にしているのは、生徒一人ひとりが「自分はどういう人間なのか」「これからどんな自分を目指したいのか」を考えることにあります。

つまり「自分探し」の時間をしっかり持つことが、その後の成長につながると思っています。その過程を教員がきちんと見守り必要に応じて支えている、そんな自分の方向性を見つけていく時間を本校での国語の学習を通じて持ってもらえれば嬉しいですね。

御校オリジナルの学習教材はあるのですか?

渡辺先生 国語に関しては副読本をオリジナルで作っていまして、授業で実際に活用しています。また、それとは別に学年共通のプリントを用意し、それに応じて各教員が授業を展開しています。

開智中学校 展示

開智中学校 展示

タブレットと紙のハイブリッドで授業は展開

ちなみに、副読本とはどういったものなのですか?

宮入先生 教科書には載っていないような文章を選んで冊子にしたものです。

渡辺先生 今は生徒が全員タブレットを持っていますので、PDF化して見られるようにしています。ただし、短い文章や古文、ある程度書き込んでもらいたい、マーカーを引いてもらいたいものについては印刷して配布します。タブレットについては、利点も欠点もあると思いますので、そのあたりに配慮しつつ活用しています。本校では中1からタブレットを使用しています。

タブレットを配っていれば最先端という時代から、教育的な考えとして「どう使うの?」「どういう選択をしているの?」ということを問われてきている感じがします。

インタビュー2/3

開智中学校
開智中学校1997年に岩槻に開校して以来、「平和で豊かな社会を作ることに貢献できる、創造型・発信型の国際的リーダーの育成」を教育理念とし、探究型の学びを中心とした新しい学習のあり方を模索し推進している。
岩槻キャンパスの自然豊かな敷地にある一貫部棟校舎は中央に5階までの吹き抜けがあり、開放的な空間となっている。その一階部分にはテーブルが複数置かれ、生徒たちが自習やミーティングなどで使用している。蔵書3万冊を超える図書室、広大なグラウンド、バスケコート二面がとれる体育館のほか、ステージ発表や講演などが行われるホールが複数あり、自習室にはブース式の学習スペースが140席程度用意されている。昼食は中2まで弁当持参だが、希望者には給食弁当もある。中3からは食堂などが利用できる。
入学時に入学者自身が自らの志望に応じてIT(目標の大学が決まっている人のコース)、MD(医療従事者を目指す人のコース)、GB(グローバルな仕事を志望する人のコース)、FD(志望をこれから考えたい人のコース)の4つのコースのいずれかを選択する。加えて、全員がS特待生で構成される「創発クラス」を2024年度入学から設置。創発クラスでは数学の特別授業「ガウス数学チーム」など各教科でより発展的な授業を展開する。この4コース制と創発クラスは高1までで、高2からは志望大学別のクラス編成となり、医学部を目指す医系クラスも設置される。高2からは放課後の特別講座が開始され、生徒の多くが塾や予備校に頼ることなく難関大学への進学を目指す。さらに国際バカロレアのディプロマ・プログラムの認定校ともなっており、今後はこの資格を利用しての海外有名大学への進学も視野に入る。
開智の教育の核となる探究活動は、中1から生徒全員が個人のテーマを決め、疑問・仮説・検証・考察のサイクルを何度も繰り返し、考察を深めていく。毎年行われる探究発表会ではポスター発表、スライド発表など様々な方法で生徒全員が発表を行う。フィールドワークは、中1は磯、中2は森で「はかる」「くらべる」をテーマにグループワークを行う。中3は関西をフィールドとして地域調査を行う。高1では首都圏で個人の探究テーマに関わる調査を実施し、高2ではイギリスの大学で現地の大学生を相手に探究の成果を発表する。中2~高1の希望者対象にオーストラリア・アメリカ・シンガポールなどへの語学研修もある。
生徒の自主性を重んじる校風で、生徒主体で作られた委員会や部活動もある。それ以外でも生徒の自主的な活動が活発で、SDGsなどの活動も盛ん。部活動は運動部19、文化部14、同好会1。ディベート部や文芸部かるた部門などは全国レベルでの活躍もある。