出題校にインタビュー!
栄東中学校
2026年03月掲載
栄東中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.あきらめないで挑戦してほしい
インタビュー2/3
超難題から適度に難しい問題へシフト
小学生がこの問題にある程度答えられるように、日常の学習の中で大切にしてほしいことは、どんなことですか。
佐々木先生 それも、私の最初の作問の話に通ずるのですが、この問題はこう解く、この問題はこう解く、というように、解き方を覚えて、問題を見たら反射的に解いていくだけではないところを大事にしてほしいと思っています。いろんな問題を解きながら、どうしてこれはこうなっているのだろうとか、なぜ、こういう式を立てるのだろうとか。そういうことを疑問に感じながら、自分の中で噛み砕いて、その過程を自分なりに組み上げていって、正解までたどり着こうとしてほしいのです。
過去には本当に難しい問題、尖った問題を出していました。ひどいときは、1800人ぐらい受ける試験で、完答者が0人の問題を作ってしまったことも……。東大選抜の平均点がものすごく低くて、低い点数でも合格してしまうので、それも反省点でした。10年以上前のことです。近年、こちらがうまく流れを作ったり、手紙形式のようなものも活用したりして、思考力重視の問題へとシフトしています。
栄東中学校 通用門
勉強から逃げないことが大切
小原先生 今も難しい問題はあるのですが、僕らとしては「ほら、どうだ。難しいだろう」と言いたいのではなくて、難しい問題だけど、みんなに挑戦してほしいんですよね。飛ばしてほしくはないのです。作った以上は解いてほしいので、「これは一番難しかったよね」という問題の正答率が、2割ぐらいあると嬉しいな、という感じで作っています。作ったほうとしては、数%だと、みんな飛ばしちゃったのかなと思うので、なんとか最後まで解こうとしてもらえる問題を作ろうとしています。
問題を作るときに、最後の問題に至るまで、いかに引っ張ってこようか、そこまで、きちんと興味関心を引いて、これならできそうだと思わせて、ここまでを考えさせようという基準をもって作るようになったので、少し丁寧な誘導になっているのではないかと思います。
佐々木先生 例えば大問は、1番難しいと思う問題を必ず最後にするようにしています。途中にうんと難しい問題を置いて、そこにハマッてしまって、残りの1問、2問は、まるっきり解けませんでした、ということがないように配慮していますので、なるべく最後の問題まで行きついてほしいです。
江副先生 習ってきたことを使えるということは、受験生にとって嬉しいことかなと思います。例えば鶴亀算を教わって、栄東の入試でも出た。それがきちんと解けた。教わったものを活かせた、という経験もしてほしいという思いがあります。
入試が変わっていくにつれて、考えることが好きな生徒さんが増えている印象はありますか。
小原先生 勉強から逃げる生徒が減ったような感じはしますね。
佐々木先生 どのクラスに行って数学を教えても、「これ解いてみて」と言えば、みんな一生懸命解き始めます。「習っていないからできません」と言う生徒は皆無です。少なくとも私は、20年間、言われたことがありません。そういう意味では、何でも頑張って解こうとする生徒たち、ちゃんと考えようとする生徒たちが、入試に集まってきているのかなと思います。
入試問題からもそういう精神がひしひしと感じられますよね。バリエーション豊かな問題を作成し、問題自体もチャレンジされています。そういう姿勢が受験生にも伝わっているのではないかと思います。
数学科/小原 研先生
自分たちで習得したことは定着がいい
アクティブラーニングは、どのように行っているのですか。
小原先生 中学の授業を担当しているときに、グループワークだったり、実験だったりができるネタを何個か作って、数学科のものとして共有しているものがあります。加えて、各教員がおもしろいアイデアを持っていて、生徒に教え合いをさせています。
例えば、中学2年生のクラスで三平方の定理などの証明をさせたときに、突然思いつく生徒はなかなかいません。非常に頭のいい生徒は出してきますし、1週間ほど時間をあげれば出てくるのかもしれませんが……。そこで、違うやり方を探していたときに、1つのアイデアとして「証明を教えてしまえばいいのでは?」という意見が出ました。生徒たち3~4人グループを10個作ってグループごとにちがうものを、ためしに英語で書いてある三平方の定理の証明プリントを渡してみたんです。そして「次回の授業でみんなの前で説明してもらうよ」って言ったんです。必死になって英文を読んで日本語に訳す子もいるのですが、それよりもっと頭のいいやり方をする子は、この人はこういう風にやっているんだ。この図はこういうことね、じゃあこうやってやればできるんじゃないかみたいなアウトラインを、その英語の文章と図から読み取って、あとは自分で構築していきます。
どんなふうに使ってもいいのですね。
小原先生 そうです。みんなの前で発表して、みんなが「なるほど」って言えばOKなんです。そういうものを10個作ってやらせると、10個の証明を習得できます。自分たちで訳したり実験したりして習得したことはすごくよく覚えているので、テストで「三平方の定理を1つ、証明しなさい」という問題を出したら、大体の生徒が自分たちが説明したものを書いてきます。グループワークなど、生徒が能動的に取り組んだものは、確かに定着はいいような気がしますね。ただ、そればかりやっていても、大学入試で点を取れるかというと難しい部分があります。やはり覚えなければいけないものはありますし、計算をある程度手早く正確にやるには練習が必要なので、そこもないがしろにせずにやっています。
栄東中学校 瑞想庵
生徒同士の教え合いは入試の「手紙を書くこと」そのもの
グループワークはよく行っているのですか。
小原先生 毎回毎回行っているわけではありませんが、できそうな場面があったり、ちょっと難しい問題だなと思ったりしたときに、いきなり答えを板書するのではなく、「隣の人と相談してごらん」と声をかけて、子どもたちが自分たちで評価し合える場面を作っています。結論もちゃんと出してきてくれます。2人が寄り添ってもなかなか正解が出てこない問題であっても、合っているのか、間違っているのかを評価し合うというのは、すごく大事なことなのかなと思います。
江副先生 生徒同士で教え合うということは、入試問題の、手紙を書くということそのものなんですよね。その問題がうまく書けたり、好きだったりする子は、うちの学校の授業にぴったりハマるということになるので、そういう学び方が好きな子はぜひ来てください、というメッセージです。ですから、教え合う場面はなるべく多く取り入れるようにしています。さっき自分が悩んだところを教えてって言われたら、「ああ、そこね。気持ちわかるよ」って感じで教えてあげられるので、数学以外の力もつくのではないかと思います。だから、なるべくたくさん経験させてあげたいと思っています。こうしたやりとりで、力がつきます。定着しますよね。
小原先生 たとえば立体図形の授業では、正三角形の紙をたくさん与えて「これで何か立体を作って」と言うと、大体どの子も正四面体からスタートします。それができて、「もう少し大きいのを作ってよ」などと言うと正八面体ができて、「まだいけるんじゃないか」って言うと正20面体ができるので、「まだいけるだろう」と言うのですが、さすがにそれ以上の正多面体ができなくて。ひどい立体になってしまったり、「もうできないかもしれない」という意見が出てきたりすることもあります。そこで「なぜ、正20面体までしかできないの?」と聞きます。生徒は、おぼろげながら理由がわかってきて、それを説明させると、何人かが上手に説明し、それを聞いていた周りから拍手が起きることもあります。
手で作ると、感覚的にうまくいくことがありますよね。
小原先生 そうなんです。1時間の授業の中で、ここにたどり着いてほしいなというポイントがあるので。
江副先生 感覚でつかんだことをどう言えば伝わるのか。言語化する力も大事ですよね。
栄東中学校 校舎内
インタビュー2/3
平成4年に中学校が開校し、中高一貫教育が開始された。時代の変化に先駆けて、アクティブ・ラーニングを取り入れ、「①授業、②校外学習、③キャリア、④部活動」という4つを軸に分けて展開している。授業での工夫という枠を超えて、生徒の学びの場すべてをアクティブ・ラーニング実践の場ととらえ、学校そのものがアクティブ・ラーニングの場である。特定の教員が実践するのではなく、全教員がアクティブ・ラーニングの実践者であることが最大の特徴である。