シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

栄東中学校

2026年03月掲載

栄東中学校【算数】

2025年 栄東中学校入試問題より

(問)図のように、大きな長方形を9個の小さな長方形に分けました。それぞれの小さな長方形に書かれている数は、その長方形の周りの長さです。このとき、大きな長方形の周りの長さは   cmです。

問題図

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この栄東中学校の算数の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

55(cm)

解説

様々な解法が考えられますが、ここでは、①~③の3通りの方法を紹介します。

①切り分けた長方形の周りの長さの合計に着目する方法
9つの小さな長方形の周りの長さを合計すると、次の図のように、大きい長方形の6本分と6本分の長さの合計になります。

解説1

18+14+12+23+19+17+24+20+18=165(cm)……()×6
周りの長さ=()×2より、大きな長方形の周りの長さは165×\(\frac{2}{6}\)=55(cm)と求められます。

②大きな長方形の周りの長さと同じになる長方形の組だけに着目する方法
例えば、次の図のように3つの長方形に着目すると、3つの長方形の周りの長さの合計が大きな長方形の周りの長さになることがわかります。

解説2-1

よって、大きな長方形の周りの長さは18+19+18=55(cm)と求められます。
※上記の他にも、着目する3つの長方形の選び方は次のようなものがあります。
いずれの場合でも、3つの長方形の周りの長さの合計は55cmになります。

解説2-2

③となり合う長方形の周りの長さの差に着目して、式を立てて解く方法
次の図のように、5つの長方形をア~オとします。
また、ウの縦の長さを□cm、横の長さを△cmとします。
このとき、□+△は12÷2=6となります。

解説3-1

ア、イ、ウの3つは横の長さが等しいので、(縦の長さの差)=(周りの長さの差)÷2になります。
(18-12)÷2=3(cm) → アの縦の長さは□+3(cm)です。
(14-12)÷2=1(cm) → イの縦の長さは□+1(cm)です。
ウ、エ、オの3つは縦の長さが等しいので、(横の長さの差)=(周りの長さの差)÷2になります。
(17-12)÷2=2.5(cm) → エの横の長さは△+2.5(cm)です。
(18-12)÷2=3(cm) → オの横の長さは△+3(cm)です。

解説3-2

これより、大きな長方形の縦の長さは(□+3)+(□+1)+□=□×3+4(cm)、
横の長さは△+(△+2.5)+(△+3)=△×3+5.5(cm)なので、
縦と横の長さの合計は、(□×3+4)+(△×3+5.5)=(□+△)×3+9.5となります。
□+△=6より、大きな長方形の縦と横の長さの合計は6×3+9.5=27.5(cm)とわかり、大きな長方形の周りの長さは27.5×2=55(cm)と求められます。

日能研がこの問題を選んだ理由

長方形という小学2年生で学ぶ図形を題材にし、それを9個の長方形に分けただけという、とてもわかりやすい設定の問題です。しかも、9個の長方形の周りの長さが具体的に示されており、比を使ったり、特別な知識や技術を使ったりする必要もありません。実際に受験した6年生でなくとも取り組める問題です。

この問題は、着目するポイントによって、様々な解法が考えられます。単純な設定にもかかわらず、なかなか奥深い問題です。見方によっては、たった2回のたし算で答えが出せる解法もあるのです。
様々な解法が考えられることで、「答えが出たらおしまい!」ではなく、他にどんな解法があるか、探っていく面白さがこの問題にはあります。この問題を見て、どう解けるかを議論するような場面も考えられるでしょう。もしかしたら、実際にこの入試を受験した子たちの中で、そのような話題があったかもしれません。

受験した子たちは、これからも数学を学んでいく中で、様々な問題に出合っていくでしょう。その際に、問題とどのように向き合っていくか、この問題からはそんな学校の先生方の想いが感じられます。
このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。