出題校にインタビュー!
青山学院横浜英和中学校
2026年02月掲載
青山学院横浜英和中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.問題や選択肢のボリュームを減らして臨んだ2025年度入試
インタビュー2/3
続いてですが、入試問題全体の理科の構成や作りに関してのお考えについて教えていただければと思います。
相田先生 一昨年は問題のボリュームもあり選択肢も多かったこともあり、平均点が低かったんですね。ですので、2025年の入試は問題を少し簡単にしてボリュームも減らしました。以前は選択肢も8択のものとかもありましたので、そういったものをなくしリード文も軽めにしたり、といった改善はできたかなと思います。実際に平均点も10点くらい上がって6割ぐらいといい感じになりました。
大設問の数は物化生地の4題構成となりますでしょうか?ちなみに出題する順番は決まっているのですか?
板東先生 基本的には4題構成です。出題順は年によってバラバラですね。
入試広報部長/相田 賢二先生
身近なテーマを入試問題の随所に盛り込む
大問1で「たまごサンドの材料である、たまご、バター、パンにはそれぞれどの栄養分が多く含まれていますか」といった問題がありましたが、題材が非常に身近に感じました。これは御校を受験する子どもにとって、身近なテーマでも関心を持って自分ごとにしてつなげてほしいといった意図があるのでしょうか?
板東先生 そうですね。授業においても「身近なもので説明ができるように」ということは意識しています。たとえば、スピーカーなど理科教材として売られているものもありますが、そういったスピーカーではなく、100円ショップで売られているものでも自分たちでスピーカーは作れるんだよ、というのを伝えて、「じゃあ家でも作ってみよう」といった感じで授業も行っています。
毎年記述問題が数題出題されていると思うのですが、入試問題を作問される際、「これを記述にしよう」というのは各分野で決められて、その後数の調整をされるような感じでしょうか?
板東先生 はい。各分野で記述問題を何題か持ってきて、物化生地4科の先生たちで話し合って、「この問題はいいからこれは残そう」「これはもう少し考えよう」といった議論をしたうえで調整しています。
問題として残す時の選定基準や、こういう力を見たいといったポイントはあるのですか?
板東先生 「身近なところとどう絡められるか?」というところが大きいです。身近なものの現象をきちんと説明できるような問題かどうかを意識して出題します。
身近なものと絡めて作問されているのがすごく絶妙だなと感じました。
板東先生 私は物理の教員で、常日頃から身近なところで「どんな物理の力が発生してるんだろう?」という点を意識しながら授業を行っています。もう一人物理の先生がいて、その先生とは常に情報を共有しています。
たとえば一昨年ぐらいに出題した竿ばかりの問題を出題した時も、「先生面白いもの見つけたよ」ってその先生が言ってきました。それも入試が終わってすぐのタイミングで、「竿ばかりはそういった力が働いているから、これ聞いたら絶対に面白いよ」と言われ、そこからずっと温め続けて出題した問題でした。このように、日常的にいろいろな素材を探し出して、見つけたらすぐ共有することは意識してやっていますね。
自ら疑問をもったテーマを探究する「探Question」
「日常的なものを大切にしている」というお話があり、授業でも意識しているということですが、具体的に「このようなやり方をしてるよ」といったエピソードがあれば教えてください。
板東先生 本校は基本的に実験が多い学校で、特に中学生は実験を多用した授業を意識して全学年で行っています。ベースとなる部分を教えてすぐ次の時間は実験をします。その次の時間では、実験の考察をして、「なんでこうなったんだろうね」といった話し合いをみんなで行って、そのあと次の単元を同様に進めていく、といった具合に現象を理解するための実験を数多くとり入れています。毎週実験があるときもありますね。
どれくらい実験をしているか数えたことがないのですが、結構な数をこなしていることもあって、生徒たちも「実験が好き」と言ってくれています。
相田先生 本校の場合、理科においては年度末に「探Question」という活動を行っています。中学生だけなのですが、教科書も12月くらいまでに大部分を終え、1月、2月にグループでやりたいことを学んでいく活動となっています。
板東先生 探Questionでは、1年間で学んだ内容で「さらに何を深掘りしたい?」「この実験面白かったなあ。じゃあ物質を違うものに変えたらどういう結果になるんだろう?」といった疑問を生徒たちで話し合いアイデアを出してもらい、どのように調査・観察・実験を行うかを自分たちで計画を立てていきます。
相田先生 素晴らしい内容のものに関しては、学年全員の前で発表してもらいます。生徒たちがパソコンやタブレットなどを使って動画を撮り、スライドを作って発表するのですが、見ていてとても面白いです。
板東先生 教員でも気づかなかったところに生徒が気付いてくれたり、自分の受け持っていないクラスの発表も見たりすることができるので、「あっ、こんなのあるんだ」といった新しい知識がもらえてすごく楽しいです。
ちなみに、探Questionのテーマに関しては「今年度の理科の授業と関連があること」でなければならないというルールがあります。
これまでの発表で何か印象に残っているものはありますか?
板東先生 「腐敗」を研究していた班があって、とてもインパクトがありました。「食べ物はどれくらいの時間で腐るのだろう?」という疑問を出発点として、そこから「温度が関係しているのではないか」「湿度の影響はあるのか」「日光は関係するのか」「暗室ではどうなるのか」といった条件を一つひとつ丁寧に考え、実験を組み立てていた班は本当にすごかったと思います。
「魚でやってみよう」「パンでやってみよう」「バナナでやってみよう」「お米でやってみよう」とさまざまな素材でチャレンジしていましたが、本当にいろいろなものが腐っていくのを見られて面白かったですね。
相田先生 市販の日焼け止めをいくつか買ってきて「SPF50といった数値は本当に正しいのか?」を検証するために、保護者に確認をとった上で生徒自ら実験台になって測定していた班もありました。
板東先生 ほかにも、「使い捨てカイロをもとに、最も温度が高くなるカイロを作ってみよう」とした班もありました。塩を入れると温度が高くなるので、細かく量を計って入れて調整していましたね。
相田先生 日常生活で普段使っている身近なものについて、「どういう仕組みなのだろうか?」と考えながら確かめるような実験をしている感じです。
探Questionが開催されている期間はどのくらいなのですか?
板東先生 例年12月から図書館でテーマ決めが始まり、1月から調査・観察・実験がスタート、2月中旬には発表といった感じで進みます。期間としては3か月近くありますが、授業時間としてはトータルで10時間ぐらいですね。
青山学院横浜英和中学校 図書館
探Question以外の科学的な学びの場
総合的探究の時間とは別のものなのでしょうか?
相田先生 そうですね。総合的探究の時間では、「福祉」「平和」「国際理解」といった学年ごとのテーマがあって、それを調べて学習するのがメインで、調べたあと発表するといった具合です。
ほかにも、理科では科学セミナーが行われているようですが、この科学セミナーというのはどういった内容になりますか?
相田先生 たとえば、本校の卒業生の中に外科医として活躍している方がいて、その方を学校に招き講演をしていただいたことがありますが、実際の仕事の話を直接聞くことで生徒にとって将来を考える良い機会になりました。
また、青学相模原キャンパスの近くにJAXAがありまして、JAXAと共同研究を行っている坂本研究室があり、その研究室を訪問したこともあります。訪問時には、ロケットと一緒に打ち上げる予定の小型の探査機を実際に見せてもらい、研究の現場を体感することができました。
どのくらいの人数で行かれたのですか?希望者のみですか?
板東先生 希望者のみ先着20人募集をかけたのですが、あっという間に枠が埋まってしまいました。
相田先生 青山学院大学には文系のイメージが皆さんあると思うのですが、本校でも生徒の7割は文系です。一方で、理系も力を入れているので、こうした活動の実施を広く知っていただきたいです。
青山学院横浜英和中学校 体育館
理科の実験後には考察や感想を書いて提出
通常の授業の話になりますが、2回か3回に1回実験が入ってくるといった感じでしょうか?実験後は、生徒さんにレポートを書いてもらったりするのですか?
板東先生 基本はプリント授業を行っていまして、最後に考察や感想を書いてもらい、それを生徒に提出してもらっています。そこで提出されたものを教員がチェックし、「この子はしっかり考えているな」といった生徒の学習把握状況を把握しています。よい考察に関しては、「こういう考察があったけど、この考え方はすごいよかったよ」と授業内で発表することもあります。
インタビュー2/3
横浜英和学院は、1880年(明治13年)、アメリカ人宣教師H・Gブリテンによって、横浜山手居留地に創立された。1916年に現在の蒔田の丘へ移転し、100年後の2016年4月より青山学院大学系属校となり、2018年度からは共学校となった。