シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

青山学院横浜英和中学校

2026年02月掲載

青山学院横浜英和中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.身近なテーマを題材にすることを心掛けた入試問題

インタビュー1/3

まずは、この設問の出題意図について教えていただけますでしょうか?

板東先生 この問題では、「身近な自然現象の裏側に物理法則が働いている」というところに気付いてほしいといった意図があります。また、生き物の行動には、光の屈折や音の反射といった物理現象が関わっていることがあります。それらのつながりを考えることで、理科を暗記する科目ではなく、現象を科学的に説明する科目と捉えてもらえればいいな、と思い出題しました。

この問題を作問したのはいつぐらいでしたか?

板東先生 一昨年は中学1年生と関わる機会が多くあったのですが、その中で光の現象について調べていく際、鳥の習性に関する話題に触れることがあって、「なるほど」「そういうことか」と私自身も大変驚かされました。そこで、この気付きを受験生にも考えてもらいたい、と思い夏頃に作問しました。

鳥が魚を正確に視認するためには、魚が実際にいる深さや位置を見極める必要があります。しかし斜め方向から捉えにいってしまうと、屈折の関係で魚が本来より浅い位置にいるように見えてしまい、結果として実際の魚の位置とずれが生じて正確に捕獲できなくなってしまうんです。ところが、真上から魚を狙えば屈折による位置のズレがほとんど発生しないため、魚の実際の位置を正確に捉えることができます。

今回は物理と生物分野が融合したとも考えられますが、作問される段階で生物の先生ともお話しされたりしましたか?

板東先生 はい、しました。入試問題を作問する際には、分野を超えて理科の教員全員で問題を見るようにしています。

解答に関しては「斜めからだと光が屈折するので、魚は正しい位置に見えない」というのが正解で、正しい位置に見えないことが光の性質にふれて書いてあれば〇ということですか?

板東先生 はい、そうなります。

理科/板東 茉祐子先生

理科/板東 茉祐子先生

合格者正答率は47%

実際採点されていて出来はいかがでしたか?先生方が求めていた解答は得られていましたか?

板東先生 合格者の正答率は47%と大体半数ぐらいの子たちが出来ていました。「屈折の影響で獲物が違う位置に見えるから」「真上からだと屈折が起こらないから」といった「屈折」と「正しい位置に見えない」という2点を押さえられていたものは〇としました。

相田先生 47%は合格者の正答率で、全体正答率はもう少し低く、不合格者の正答率は36%となっています。

逆に不正解の解答にはどのようなものがありましたか?

板東先生 たとえば、「影で魚にバレてしまう」「自分の姿が水面に映ってしまう」といった誤答がみられました。
大問2の(1)の問題では「屈折」「反射」「直進」といったことを聞いていますので、そこをヒントにして解けるかなと思っていました。空欄の解答はほぼなく、何かしら書かれているものがほとんどでした。

青山学院横浜英和中学校 化学室

青山学院横浜英和中学校 化学室

先ほど「屈折」と「正しい位置に見えない」という2点が採点のポイントと仰っていましたが、どちらかだけのお子さんについては部分点をあげることはあったのでしょうか?

板東先生 部分点も考えていましたが、結果的に〇か×かのどちらかとなりました。屈折が押さえられていたら位置も違うことがわかっていると判断できるため、「屈折」がポイントとなりますね。

先ほど、中1の理科の授業でこの設問のヒントが生まれたということでしたが、生徒さんから出てきたアイデアだったのですか?

板東先生 授業の準備をする際に屈折について調べていたら、たまたま発見した情報に私がとても驚いて、授業で生徒たちに紹介するとともに知ってもらいたいと思ったことを入試問題にもしてみました。

鳥が真下に飛び込んでくる理由に屈折が関係しているとは、習わないと考え付かないかもしれませんね。映像で見ている感覚からすると影で見つからないようにするとか、最短距離でいけるからとか思ってしまいますよね。

青山学院横浜英和中学校 グラウンド

青山学院横浜英和中学校 グラウンド

インタビュー1/3

青山学院横浜英和中学校
青山学院横浜英和中学校横浜英和学院は、1880年(明治13年)、アメリカ人宣教師H・Gブリテンによって、横浜山手居留地に創立された。1916年に現在の蒔田の丘へ移転し、100年後の2016年4月より青山学院大学系属校となり、2018年度からは共学校となった。
「キリスト教に基づく人格教育を行う」という建学のもと、今後の社会を、希望と喜びをもって他者と社会に貢献していく人格の育成を、教育方針としている。「神を畏れる」「自立する」「隣人と共に生きる」の3つの教育目標は、キリスト教教育、キャリア教育、グローバル教育として、6年間の教育プログラムの中で具体的に実践されている。
神の前に自立した自己として立つこと。お互いを大切にし、認め合いながら相互理解を深めること。この2つのことを、今後彼らが活躍する社会やコミュニティーで生きていくための準備教育として大切にしており、「自分らしさ」、「私らしさ」を探求し、神から与えられている賜物を用いて、謙虚に自分の使命に生きる人生を志向していく人を育てることを目指す。
青山学院大学との系属校化により、大学出張講義や学問入門講座への出席、渋谷キャンパス、相模原キャンパス訪問、キャリアガイダンスの実施や青山学院大学への系属校推薦など、高大連携事業も年々より確かなものとなっている。
毎日の授業は、プロジェクターとスクリーンで展開。生徒は1人1台chromebookをもち、学びに活かす。講義形式の授業だけではなく、生徒自らが考えてつくる授業を展開しており、総合学習や海外研修報告、英語のレシテーションや各教科の研究発表などchromebookを用いて発表する機会が多くある。
給食があることも大きな特徴。栄養のバランスを考えた温かな食事を、クラスでみんなと一緒にとる。生徒も教職員も同じメニューで、クリスマスのケーキなどの特別メニューが出ることもある。幼稚園、小学校、中学校、高校、職員、1700食以上を管理栄養士と調理員計16名で作っている。