シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

頌栄女子学院中学校

2026年02月掲載

頌栄女子学院中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.讃美歌も身近な教材。楽しみながらもしっかり学ぶが頌栄のポリシー

インタビュー2/3

漢字はきちんと正しく書いてほしい

国語の入試問題全体の構成や内容については、どのような考えをお持ちですか。

松本先生 文章は大体2種類、説明的文章と文学的文章を両方出すようにしています。まとまった文章を制限時間内で読んで把握できるかどうかを大事に考えています。ですから、文章をきちんと消化して、問われていることに対して、しっかりとした根拠をもって答えてほしいと思っています。記述問題も、文章の内容を踏まえた上で、適切な根拠を持って自分の考えを自分の言葉で書けるかという、いわゆるアウトプット力を見たいという意図をもって作問しています。

大問1は漢字の問題ですね。漢字を書くことを大切にしているのですか。

松本先生 漢字はきちんと正しく書けないといけないですよね。採点者がどう捉えるかで点が決まってしまうので、自分では正しく書いているつもりでもそうではないと判断されるかもしれません。生徒にも授業の中で「きちんと書かなければいけない」と、伝えています。

受験生は丁寧に書いていますか。

松本先生 きちんと書いてくれていると思います。漢字、ことわざは日常でも使います。小学生も使ってきているはずですし、聞いてきているはずなので、中高でも継続して定着を図っていきたいという思いをもって出題しています。

国語科主任/松本 弘毅 先生

国語科主任/松本 弘毅 先生

楽しんで読んでもらえそうな文章を選ぶ

近年、1回目は説明的文章と科学的文章、2回目が文学的文章を1題、出題することが多いように思うのですが。

松本先生 その年によって違います。確かに傾向として、どちらかを長く出すとしたら、文学的な文章になりがちかもしれません。より長い文章で1題作って、きちんと読めるかどうか。全体の流れを理解して、それを踏まえた上で各問いに答えられるかどうかを見たい、という意図をもって出題しています。

入試に出題した文学的文章の中には、入学後に課題図書として指定するものもあります。それを念頭においていることもあって、同世代の子が登場する文章を選ぶことがあります。もちろん必ずではありませんが、なるべく物語世界に没入できるような作品をと思っています。

下保先生 私は自分が読んでいて面白いかどうかが、大事だと思っています。その作品の面白さが受験生に一番伝わるところを取り出したいと考えています。

神先先生 楽しんで読んでもらえそうなものというのは、念頭にあるかもしれないですね。

下保先生 それから、その先が気になって続きが読みたくなるようなものを選びたいという気持ちは、国語科全体の方向性としてあると思います。

松本先生 説明的文章は、読んでいてなんらかの気づきがあるようなものをと思って選んでいます。少し難しい部分は説明をつけているので、読める範囲で出題できていると思います。受験が終わった後に、それがきっかけで何かを考えてくれると一番嬉しいです。

頌栄女子学院中学校 教室

頌栄女子学院中学校 教室

先生の裁量が大きい授業が魅力

入試問題と授業がつながっているような印象を受けたのですが、授業を中心とした国語科の教育について、お伺いできますか。

下保先生 国語と古典は別ですが、学年(5クラス)の授業を一人の教員で受け持つことが多いです。受け持つ教員によって取り上げる作品も変わってきます。特に古典作品は特色が出ます。それぞれの先生から多様な考え方を学べるところが、頌栄の国語科の特徴だと思います。

テキストは何を使いますか。

松本先生 もちろん教科書も使いますし、プラスアルファの教材も使っています。生徒がリラックスして読める短い段落などをプリントで用意して、さっと読むこともあります。そういう時には教員の教えやすさや生徒の読みやすさを優先して教材を選んでいます。

先生同士で授業を見合うこともありますか。

松本先生 はい。授業見学はお互いになるべくするようにしています。現代文でも古典でも、教え方や教材の使い方、授業の進め方、質問の仕方など、いろいろな点で参考になることが多く、刺激になります。生徒の反応もさまざまでためになります。

神先先生 高校現代文は教科書に文献がたくさん載っているので、その中から教材を選ぶことが多いですが、そうした中でもどの教材を選ぶかというのは、担当教員の個性が出るような気がしますね。それこそプラスアルファとして、私自身が選定した課題図書を生徒に読ませることもできるので、その柔軟さは一人の教員が学年単位で授業を担当しているが故だと感じることが多々あります。

松本先生 高2、高3になると文系・理系に分かれるので担当する範囲が少し細かくなり、同じ学年を何人かで受け持つこともありますが、基本的には各自で自分の担当分を考えて授業を計画しています。

頌栄女子学院中学校 グローリアホール

頌栄女子学院中学校 グローリアホール

身近なところにも勉強の材料はある

生徒の反応を見て、教材や授業の内容を変えたりすることはありますか。

松本先生 ありますね。毎朝の礼拝で讃美歌を歌っていますが、讃美歌は文語のものでもあるので、ちょうどその中に扱ったばかりの助動詞が用いられていたりしたら、その解説を授業始めに入れたりします。「この前、やったね」という感じで。

下保先生 それが話題の1つになることもあり、最初は生徒もそんなことしないよ、先生何やってるの、という目で見ているのですが、そのうち生徒も習った助動詞を探し始めます。楽しくなったのか、礼拝後にちょっと来て、「今日は係り結びがありましたよね」と言ってくれることもあります。意外と身近なところにも勉強の材料はあるんだよ、ということを伝えられるので、讃美歌は魅力的な教材の1つだなと思っています。

神先先生 この学校には、楽しんで勉強するという考え方をもつ生徒が多いのかなという気がしています。例えば、理系のクラスでは当番が黒板に書く日付が、数式になっていたことがありました。私のクラス(高3)でも、気が付いたらホワイトボードに世界史・日本史のクイズが掲載されるようになりました。この生徒作のクイズは日替わりで、みんな一生懸命解いています。日々の中で楽しみながら勉強するという姿勢は、中学生から、受験を控えた高校3年生まで継続されていると思いますし、それを嬉しそうに教員に報告してくれます。もちろん国語科に限った話ではないのですが、国語科では先生が一人で見ているというのもあって、国語関連で何か興味深いことがあったら教員に報告してくれます。それは国語に限ったことではなく、どの教科でも同様に行われています。

下保先生 中2は古典も最初は難しくて、「現代語と違う」「なんでやるの」と言っていたのですが、最近は一生懸命勉強して、「考査、頑張るね」と話しかけてくれます。面白いなと思ったところは、楽しみながら勉強していると思います。

神先先生 中1次にアクティブラーニングを積極的に取り入れている科目が多いような印象はありますね。例えば、劇を交えたプレゼンテーションを通して発表する機会を設けたり、英会話の授業で、レストランのデモンストレーション(お店屋さんごっこ)をしたり。そういう工夫が中1のときに多いこともあって、「勉強は楽しみながらするものだ」という姿勢が、徐々に徐々についていくのではないかと思います。

下保先生 発言しようという姿勢はよく見られると思います。ただ、若者言葉や話し言葉を使いがちなので、授業では「記述だと、こういう表現になるよね」と伝えることもあります。

神先先生 特に帰国生には積極的な子が多いので、そういう意味でも活発な意見交換や、人前で何かを発表するなど自己表現をすることが好きな生徒は多いような気がします。

頌栄女子学院中学校 礼拝堂

頌栄女子学院中学校 礼拝堂

俳句の授業にも積極的に取り組む帰国生

一般生が日々の生活の中で帰国生から受ける影響は大きそうですね。

下保先生 最初はやっぱり圧倒されます。帰国生がエネルギッシュすぎて、一般生の中には「こんなによくしゃべるの!?」という反応をする子もいるのですが、帰国生はどんなことにも前向きな子が多くて、友だちが手を挙げて発表しただけでも「すごい」と反応していて、クラス全体が大盛り上がりすることも珍しくありません。そういう明るさに一般生も背中を押されて発言できるようになっていくと思います。

帰国生も俳句を作るんですよね。どんな感じですか。

下保先生 楽しそうに作っていますよ。普段の授業以上にやる気を出しています。「句会に来てください」「私の俳句はどれでしょう」と声をかけてくれます。普段の国語の授業では、記述で点が取れないという悩みを抱えている帰国生も、俳句を詠む時は気持ちが明るくなるようです。また、友だちの俳句に対するリアクションも帰国生は大きくて、「めちゃくちゃ素敵!」「なんかキュンとした!」など、「いいね!」と思ったことを、友だちに対して素直に言えるところも素敵だと思います。

インタビュー2/3

頌栄女子学院中学校
頌栄女子学院中学校岡見清致の信仰に基づく教育事業として、頌栄学校を1884(明治17)年に開校。1947(昭和22)年に中学・高校となり、64年に頌栄女子学院と改称。94(平成6)年から高校募集停止、中学・高校6年間を通した教育をおこなっている。
プロテスタント系キリスト教主義の学校で、聖書の教えを徳育の基礎におく。女性にふさわしい教養を身につけることが方針で、高雅な品位や豊かな国際感覚を備え、社会に奉仕貢献できる人間形成を志す。校名の「頌栄」は神の栄光をほめたたえるという意味。自慢の制服も同校の教育方針に沿い、国際感覚にマッチするものとした。言動、身だしなみについては日常きめ細かく指導している。帰国生との交流により、多様な価値観をも育んでいる。
区の保護樹林に指定される木々に囲まれた運動場など緑にあふれる校内には有名な建築家ライトの高弟の設計による記念堂をはじめ、礼拝堂と講堂をかねるグローリアホールなど施設も完備。ホワイトハウスと呼ばれる校舎や新体育館も近代的。南志賀高原と軽井沢に山荘をもつ。食堂は高校生から利用可(テイクアウトは中学生も利用可)。パン類の販売あり。
中学では英・数の多くがクラス分割などの少人数制授業。このなかでは高校で学ぶ内容も取り入れられている。英・数は時間数も標準より多い。聖書の授業も週1時間組み込まれている。中3以上の数学・高2以上の英語では習熟度別授業を導入。中3では卒業論文を制作、夏休み前から準備し、6000字以上でまとめる。高2からは文科と理科、さらに高3では理科コースが2つに分かれる。進路に応じた選択科目も多数用意されている。中学では主要教科を中心に昼休み・放課後に補習を実施、高校では長期休暇中にも受験講習を行っている。ICU、青学、早慶などに推薦枠があるのも大きな魅力だ。
2期制で、土曜日は休日としている。1日は礼拝で始まり、中学・高校とも週1回の合同礼拝もある。高校では礼法の授業がありしつけにも厳しい。タータンチェックのスカートの制服はあまりにも有名。校内にはイギリスの学校の雰囲気が漂い、生活スタイルも校舎内で革靴を履いたまま過ごす欧米流。クラブ活動ではハンドベルクワイヤや弓道部が知られている。花の日礼拝、イースター、クリスマスなど礼拝形式の行事が多く、そのほかキャンプ、コ・ラーナーズ・デイ(研究発表会)、頌栄フィールド・デイ(運動会)、カナダとイギリスの語学研修など盛りだくさん。奉仕活動にも力を入れている。