今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
頌栄女子学院中学校
2026年02月掲載

2025年 頌栄女子学院中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。
(前略)
「ねえ、松尾さんも詠んでみようよ」
そう言うと、またしても強引に、音々を部屋の中央に引っ張っていく。
「無理だって。心の準備、できてない!」
天神くんは聞いてくれない。こういうマイペースなところは、むしろ学校にいるときよりもひどいかもしれない。
「テーマをあらかじめ決める題詠句会の中でも『席題』ってのがあってね。句会当日に発表されたお題に対してみなが即興(そっきょう)〈あらかじめ準備するのではなく、その場で詩などを作り出すこと〉で句を詠むんだ」
だから事前準備も心の準備もいらないと天神くんは言う。そういうことじゃないと音々は叫(さけ)びたかったが、気づけば、みんなの輪の中に。
(後略)
(百舌 涼一(もず りょういち)作『17シーズン 巡(めぐ)るふたりの五七五』より)
(問) 問題文中には、いろいろな俳句が登場していました。詠まれた俳句について、その句にこめた想いや、そこで詠んだ出来事や景色に関するエピソードを説明した文章を「解説文」といいます。
「桜」という季語を使ってあなただけの俳句を作り、その俳句についての解説文を書きなさい。解答は大きく濃(こ)くていねいな文字で、必ず解答欄(らん)内に収まるように書いて下さい。
なお、俳句は今この場で考えたものに限り、必ず「五・七・五」の十七音で作って下さい。解説文の評価は、表記をふくめた言葉としての正しさ、また、巧(たく)みさにも着目しながら、文章として完結しているもののみ、内容を中心に行います。
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この頌栄女子学院中学校の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答例
【俳句】
肩あがり パソコンの中 桜咲き
【解説文】
初めての合格発表時間が目の前にせまってきました。となりには自分の母親がいて、落ち着かない顔をしています。いよいよその時間、震える手でボタンをクリックすると、画面の中には桜が咲いており、合格していました。その瞬間、自分の体がびくっと動きました。幸先良いスタートとなったので、この先の入試もがんばろうと心新たにしました。
解説
「桜」という季語を使い、桜にまつわる自分の想いを、五・七・五にのせていきます。自分の作った俳句に「解説文」をそえるときには、句にこめた想いだけではなく、どのような状況を詠んだのかをくわしく説明していきましょう。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
問題文(物語)に登場するいろいろな俳句に目を向け、その決まりや工夫も参考にして、「桜」という季語を使った俳句を作るとともに、その句にこめた想いや、そこで詠んだ出来事や景色に関するエピソードを「解説文」の形で書く問題です。
問題文中では、主人公の女子が、同級生の男子に連れられて、句会に参加しています。その中で、俳句のおもしろさや、自分がもともと俳句に対して持っている親和性に気づくとともに、素の自分を見せられない学校とは異なる、句会という人々の集まりに居心地の良さを感じています。
主人公のある種の「異文化体験」が、自分の居場所を見つけることにつながったという物語の構図は、問題文を読み設問に答えていた受験生にとって、刺激的な内容だったと思います。
また、問題文中では「虹」という席題で、即興で句を詠む場面があり、これが問十三(本問)に取り組むときには、大いに参考になっていたと考えられます。
さらに、本問では、卒業、そして入学シーズンを彩る「桜」という季語を指定することで、受験生がさまざまな想いをこめた俳句を作りやすい環境が整えらえているとともに、その俳句を「解説文」という体裁をとって客観化するという側面も盛り込まれているため、子どもの主観-客観を横断した総合的な力が試されていると言え、大変魅力を感じます。
このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにいたしました。