シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

サレジオ学院中学校

2026年01月掲載

サレジオ学院中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.高速道路の渋滞という割と身近な題材をテーマにした問題

インタビュー1/3

この問題の作成意図についてまずはお聞かせください。

亀田先生 私は千葉方面に学校から行くことがよくあるのですが、学校から千葉に行く方法としては「第三京浜から首都高湾岸線のほうに行く」、もしくは「湾岸線を使わずに横羽線のほうから昭和島のほうに行く」、「東名川崎から高速に乗って行く」といったいくつかのルートが考えられます。できるだけ早く着きたいこともあり、毎回「どのルートで行こうかな?」と考えることが多く、それを入試問題の題材にしてみようと思ったのがきっかけです。

本当は、条件を設定したいくつか考えられる道の中から「どの道がいいのか?」を選ばせるタイプの問題も考えました。たとえば首都高の場合、時速80キロ制限の区間もあれば60キロ制限の区間もあるといったことがありますので、そういった条件も問題設定として入れると面白いのではないかと考えましたが、それでは問題自体がかなり複雑になってしまうので、もう少しピンポイントな部分で問題が作れないか?と考えた時に、渋滞情報を題材にしたら面白いと思ったわけです。

また、「ここから11km45分」といった表記に対し、今回のような問題以外にもうひとつ考えたものとしては、おそらくこの「45分」は5分きざみで切り上げていると思われるので、範囲の問題として出題しても面白いかとも思いました。とはいえ、最終的には今回の問題のほうが受験生にとっては分かりやすい設定なのではないかということで出題するに至りました。

この問題、しっかりと設問を読まないと間違えてしまいますよね?

倉知先生 このあたりはきちんと文章を読んで理解し、解答できた受験生は多かったように思います。

亀田先生 実際どの渋滞が激しいのかといえば、(オ)の「10km45分」は距離も長いですし確かに激しいという理屈もある気はするのですが、作問の設定上、そういった選択肢が必要ということで正直微妙な部分もあるとは感じます。

数学科/亀田 隆史先生

数学科/亀田 隆史先生

もう少し正答率は高いと思っていた

渋滞の激しさは人によっていろいろな感覚があると思いますが、きちんと定義付けをして、その中で考えるという部分が数学に近いと感じました。正答率は先生方の予想通りでしたか?

亀田先生 そうですね、(問2)は(問1)と比べると少し正答率は落ちました。(問1)は正答率が8割いかないくらい、(問2)が5割くらいで、この後にももう1問(問3)があるのですが、正答率は低かったです。

先ほどお話ししたようにもっと複雑な設定を考えていたので、ピンポイントで状況を絞った形にしてかなり易しくしたつもりだったのですが、正直もう少しできると思っていたものの意外とできていなかった印象ですね。

倉知先生 最初の問題はもう少しできてほしかったかなと思っていました。そこで点を取ってもらおうと期待はしていたのですが、それ以外は想定範囲内という感じでした。

(問1)が取れないと後の問題に繋がっているため、全部の問題が一気に苦しくなりますよね?
(問2)においては24kmのうち3kmだけ渋滞というのが、図2の情報と組み合わせて理解できるかどうかが受験生にはハードルだったのではないかと思います。
24kmのうち21kmは普通に動けるわけで、しかも普通に動く時のスピードも書いてあります。ですから、受験生はまんべんなく情報をつかむ必要があるわけですね。
ちなみに(問2)の①、②ともに解答は16分ですが、これは意図的に同じにしたのですか?

倉知先生 いえ、これはたまたまであって意図的ではありません。もしかしたら自信のない子だと、同じ数字になったので「あれ?」って思った子もいたかもしれませんね。もともとはNEXCO西日本か何かのホームページに表示されていたものを参照し、うまく答えが合うように調整したものです。

亀田先生 今回の高速道路の問題も、私が野球観戦が好きで千葉マリンスタジアムに車で行く時、少しでも早く着けるようどこにどんな渋滞があるのかを考えたりしていたことから思いついた問題で、普段から日常的に「これは使える!」みたいなテーマを考えたりしています。

たとえば、何年か前に出した問題のひとつにダイヤに関するものがありました。時刻表って30分ごと、1時間ごとといった具合にパターン化されていることが多いのですが、ある時刻表を見ていた時に微妙に規則性が外れているところがあって、その違和感を問題にしてみたこともあります。

サレジオ学院中学校 グラウンド

サレジオ学院中学校 グラウンド

記述問題は多めにしている

最近は計算問題以外の3題全てに記述問題がありますが、受験生にとってはかなり大変だろうなと思います。1~2問出題する入試問題は結構ありますが、ここまで記述問題が多い学校はあまり多くない印象です。

倉知先生 本校が最初に記述問題を出題した頃は、問題に対して3つぐらいの想定解法があるような問題を作っていました。そこから「この問題に対してどのあたりまで考えることができるのか?」を見たくなった結果、記述問題はだんだん増えていき、近年は3問出題するのがノーマルになっています。

それぞれ問題のレベル感や出題者がどういう意図で作ったかも異なっていて、3題が一律のものといった感じではなく、出題者の意図や意向も含めて考えて作問されたものとなっています。

ちなみに、採点は複数の方で行うのですか?

亀田先生 そうですね。1人ということはなく、みんなで採点の仕方を共有しています。

サレジオ学院中学校 サビオ館自習室

サレジオ学院中学校 サビオ館自習室

大設問は5題構成で変更の予定なし

現在の全体構成についてのお考えとしてはどうですか?
5題構成はしばらく変わらないという感じですか?

倉知先生 基本的にその形で変わらないと思います。

割と受験層に合わせた問題で、前半は定番の問題、後半は少し大変かもしれないといった問題構成なのですね。
2020年前後ぐらいだったと思うのですが、解き方ではなく説明させる記述問題が出題されていたと思います。ここ2年ぐらいは出題されていないように思うのですが、これは単に難しかったからということでしょうか?

倉知先生 必ずしもそういうわけではありません。出題者がどういうことを聞きたいかによるので、ある年もあれば、ない年もあるでしょうし、年次によります。

基本的に、大問の中に問題が3問あるとしたら、最後の問題が一番聞きたいことになっています。でも、その問題は、結果的にかなり点数が低くなってしまうことが想定されるので、そこに至るまでのヒントになるような問題が(問1)(問2)に出てきます。このように、ある程度正答できるような構成は心掛けています。

問題はできるだけ易しい順番に配置

大問の並び順については、皆さんで持ち寄った際に決定するのですか?

亀田先生 最初の時点では決まっていないのですが、極力易しい順番で並べています。問題を並べてみた結果、「これは最後に持っていこう」といった具合に調整していますが、最後の問題だけは特に意識して配置しています。

受験日程のAとBについてですが、受験者層が違うという部分はあるとしても、問題のコンセプトは同じなのでしょうか?

亀田先生 そうですね。コンセプト自体は全く一緒です。ただし、例年Bの方が学力の高い受験生が多い傾向にあるため、少し難しめになります。

サレジオ学院中学校 ドンボスコシアター

サレジオ学院中学校 ドンボスコシアター

インタビュー1/3

サレジオ学院中学校
サレジオ学院中学校ドン・ボスコ(1815年北イタリア生)が設立したサレジオ修道会が、1960(昭和35)年に目黒サレジオ中学校を創立。75年に川崎市鷺沼へ移転。91(平成3)年にはサレジオ学院へ改称。95年に港北ニュータウンに新築移転を果たす。大阪星光学院もサレジオ会により創立された姉妹校。
港北ニュータウン内に位置し、校地は約4万8千平方メートルの広さに及ぶ。そのなかにグラウンド、テニスコート、体育館、サブ・グラウンドを配するなど、校地の大半以上を充実したスポーツ用地が占め、大きな魅力のひとつとなっている。ほかにドン・ボスコシアター、サレジオホール(食堂)、コンビニエンスストア、サビオ館などの施設がある。
少人数の家庭的な雰囲気のなか、キリスト教精神に基づく情操教育を実践。週1時間の宗教の授業(中1は2時間)「朝のはなしの放送(人生の道しるべの話)」「カテキスタ(宗教教育を担当する人)」によるカウンセリング、生徒が自分らしく、いきいきと過ごせるコミュニケーションルームの設置などを通じて豊かな人間形成を目指す。
中学では学習姿勢を養うことを重点におくが、高3ですべての教科で演習中心の授業ができるようなカリキュラムを構成。英語は『New Treasure』を使用。中学の英会話も2分割授業を行うティームティーチングを実施。高1までは4クラス編成、高2から文理分けし、6クラス編成として1クラスの人数を減らし、きめ細かな指導をする。補習は中学では英・数を中心に必要に応じて実施。夏期・春期講習は指名制・希望制で行い、高2・高3では約1週間の勉強合宿もある。大学受験も学校の授業だけで十分対応できる体制を整えている。夜9:00まで使用できる自習室がある。
サレジオ学院の基本方針「アッシステンツァ(ともに居ること)」のもとで明るく家庭的な校風が築かれてきた。学校行事は多彩で、四季折々のプログラムが用意されている。特に感謝祭、慰霊祭、クリスマスの集いは学校の個性が表れる。そのほか林間学校(中1)、スキー教室(中2)、研修旅行(中3、全員、イタリア)、フィリピンの語学研修(高校、希望制)、文化祭、秋季校外学習、マラソン大会など。クラブ活動は文化部11、体育部9、同好会3あり、活動は週3日。中学テニス部は2年連続全国優勝の快挙を成し遂げた強豪だ。他にも、カトリック研究会では、ボランティアやフェアトレードコーヒーの販売などを行っている。