シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

学習院女子中等科

2025年12月掲載

学習院女子中等科の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.日常生活で体験しうる事象を取り入れて作成した問題

インタビュー1/3

最初に、この問題の出題意図についてお聞かせいただけますか?

髙橋先生 ハチやチョウが花に寄っていくのは、比較的日常生活の中でも目にする事象だと思いますが、会話の中や日常での体験、本を読んだりする中で知り得る体験といったものを理科的な視点で身に付けているかどうかを問うために、花とハチの共生関係をテーマとして出題しました。

素敵な状況が頭に思い浮かぶような問題ですね。先生は、実際にニュージーランドでお花畑をご覧になったことはあるのですか?

髙橋先生 私自身は全く見たことがなく、たまたま高山生態系の研究をされている方の書かれた新書を読む中で、ニュージーランドと日本を比較する内容が面白いと感じ、どうにか問題にできないかな、と考えて作問してみました。

メッセージ性がすごくある設問だと思いました。おそらく受験生は「素敵な問題だな」と思いながら解いていったのではないかと推測します。出題順に関しては何か意識されましたか?

髙橋先生 問題の出題順は他の問題との関係性の中で決まっていく部分もありますので、たまたま今回は大問3の問題だったということで、特に意識はしていません。ただ、受験生が全く知らない話題は出題できないものの、想像力を働かせながらやってもらいたいといった想いは、ここ何年か問題を作る上で大切にしているところです。

例年、特に物化生地の4分野で出題の順番が決まっているわけではなく、その時の状況に応じて作っていく感じですか?

増渕先生 そうですね。レイアウトの関係もありますし、受験生が取り掛かりやすいかどうかも考えています。ただ、物理・化学・生物・地学(物化生地)の4分野から出すということは決めています。理科の先生方で複数の問題を作成して持ち寄って議論しながら「これでいこう」と決定していきます。

リード文など「もうちょっと書きたいな」と思う時もあったりするのですか?

増渕先生 全体のバランスの中で、削っているのが現状です。「この問題も出したかったのに」という想いもあるのですが、それで全体としていい塩梅になっている気はします。

理科/髙橋 和希先生

理科/髙橋 和希先生

記述問題対策をしっかりしてくる生徒が増え、記載される文字数は増える傾向に

実際に受験生の解答をご覧になった印象はどうでしたか?

髙橋先生 想定以上によくできており、思った通りに書いてくれた受験生は多かった印象です。ただ、聞かれたことに正確に答えられていない生徒は相当数いると感じました。たとえば、問6で聞きたいことを先に問5で答えてしまったり、資料の読み取り以上のことを書いてしまったりしている答案はかなり見受けられました。

最近、生徒たちが記述問題を答える際、「とりあえず何でも知っていることを書こう」とか「聞かれていることを無視して、自分が知っていることを書き連ねる」といったケースが増えているのを感じます。

増渕先生 大学入試で記述が求められるようになっている背景もあり、いろいろな学校で記述問題は多くなっているように思います。その結果十分な対策をして受験に臨む生徒が増え、書くこと自体は苦にならなくなっているんだろうなと思います。その上で、「これ知っている!」と反射的に書き始めるのではなく、問われていることを冷静に確認し、的確に答えることが大切です。

髙橋先生 たくさん想像できることはもちろん悪いことではないと思いますが、相当数の受験生が必要以上に書いていました。正答率はそれほど悪くはなかった問題でしたが、問題の簡単さに比べれば意外と減点される受験生も多かった印象です。問われている内容を簡潔に書くことが大切ですね。

 生物教室(講義室)/座席が階段状に配置されていて教卓は実験台になっており、最後列でも黒板や演示実験がよく見える。物理、化学、地学にも同様の教室がある

生物教室(講義室)/座席が階段状に配置されていて教卓は実験台になっており、最後列でも黒板や演示実験がよく見える。物理、化学、地学にも同様の教室がある

解答欄の大きさから必要とされる文字数を推測することも必要

答案用紙的には文字数として15字ぐらいが限界に思えたのですが、詰めて書いてきた子もいましたか?

髙橋先生 長く書かれた答案の中には、2行分の文章を書いたものがありました。解答用紙の記述欄の細さで答えるべき分量がなんとなく伝わればいいなという部分はあるのですが、それでも2行書いてくる受験生はいますね。

採点はかなり大変だろうなと思いますが、採点に関してはどのような苦労がありますか?

髙橋先生 いろいろな解答が出てくるので、1回全部見終わった後に、毎回元に戻って「あれはどうだったっけ?」といった検討があったりします。ですので、出題はしてみたものの「結果として大変だったな」と感じることはありますね。

増渕先生 本校においては「書いたことを評価し、削る採点はしない」という考えが理科だけではなく他教科でもあります。的外れな内容でなければ、書いたものが汲み取れる部分でプラスしていくことはあります。

物理教室(講義室)前の廊下には実験データのグラフや計算結果などが掲示されている

物理教室(講義室)前の廊下には実験データのグラフや計算結果などが掲示されている

インタビュー1/3

学習院女子中等科
学習院女子中等科1847(弘化4)年、京都で開講された公家の学習所がその起源。1885(明治18)年に華族女学校開校、創立140年を迎える。1906年学習院と合併し、学習院女学部となる。1918(大正7)年に学習院から女学部が分離して女子学習院となる。1947(昭和22)年、宮内省の所管を離れ、私学として現校名に。1999(平成11)年から高校募集停止。
重要文化財でもある鉄製の正門を入ると、四季折々の自然が望める6万6千m2の広大な敷地に女子中・高等科と2026年より学習院大学国際文化交流学部となる校舎がある。理科・芸術科・家庭科は科目ごとの専用教室があり、コンピュータ室や、2つの体育館、温水プール、テニスコート、グラウンドなど施設も充実。沼津游泳場など校外施設もある。官立から普通の私立として再発足してから80年に及ぶ歴史をもつ。「広い視野、たくましい創造力、豊かな感受性」を教育目標とし、世界的視野に立って、広く国際社会に貢献できる積極的な女性の育成をめざす。校内は気取らず明るく活発な雰囲気。
実験や実習を多く取り入れた授業を展開。特に創造性に富む表現力、情報を的確に伝える論理的構成力を育てるため、国語の作文、理科や社会のレポート作成などに力を入れる。中1の国語(古文・表現)、中1の数学(数量)・中2の数学(図形)・高1の数学Ⅰ、中1の技術家庭では1クラスを2分割。中1・中2の保健体育(水泳)、中2の技術家庭、中3の社会(公民)では1クラスに2人の教員が入るT.T.の形をとっている。また、英語はすべての学年で少人数制の授業。帰国生を除き、中等科では均等分割をして基礎力を強化し、高等科からは習熟度別授業を行う。高等科ではドイツ語・フランス語も履修できる。高2で文系・理系のコース制を導入。高3では卒業レポートを作成。55%程度が学習院大学へ推薦入学するが、最近は国公立大や早慶上理や医歯薬系への合格者も伸びている。海外の大学への進学者も増えている。
校長を科長、ホームルーム担任を主管と呼び、あいさつは、常に「ごきげんよう」である。「ことば」の尊重とともに芸術教育も盛ん。道徳の時間には、正式な作法教育も取り入れている。林間・臨海学校、運動会、文化祭、学芸会、スキー教室など行事も多い。クラブは文化部20、運動部11、同好会3と活発。特にテニス、ブロックフレーテ・アンサンブルは好成績を収める。運動部1と文化部1、または文化部2の合計2つまで入部可。オーストラリアの姉妹校メソディスト・レディーズ・カレッジで英語を学ぶ研修旅行や中3・高2希望者対象のイギリス・イートン校でのサマースクールなどがある。