シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

中村中学校

2025年12月掲載

中村中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.国語はどれだけ言葉を知っているかが重要

インタビュー3/3

授業スタイルは先生の裁量が大きく自由度が高い

授業はいかがですか。

菊地先生 割合と個々に自由にやらせてもらっていて、教員としては自分の国語への思いや色を出しやすいので、そういうものを伝えられるように、ということは心がけています。また、これは僕が国語科主任だったときには、「僕らが生徒の一番そばにいる日本語の使い手としての先輩なわけだから、そういう部分を示していきましょう」と声をかけて、語彙を増やす、使える言葉を増やす、ということに力を入れていました。国語は言葉を知っている者勝ちである、という信念に近いものがあるので、国語科で発言させてもらえるとするなら、そういうところに目線を合わせていきたいという思いでやってきました。とにかく話して話して、生徒たちに日本語を浴びせかけるというか、そういう思いでやっています。

授業は個々の裁量が大きいようなお話ですが、プリントや副教材みたいなものも各個人で準備するのですか。

真壁先生 そうですね。もちろん、購入してもらう教材は足並みを揃えていますが、それをどう使うかとか、プリントなどは、それぞれで作っています。

共有される機会はありますか。

真壁先生 同じ学年の同じ科目を2人で持つ場合は、テストも同じにしなければいけないので、その場合は足並みを揃えますが、学年を一人で持たせてもらえる場合は、自分のスタイルを尊重してもらえる環境だとは思います。シラバスはありますが、生徒の反応や様子を見ながら、この題材を先にやろうとか、順番を変えることにも自由度はあります。

真壁先生 小論文の授業などは、社会科学的な観点がわからないと書けないですし、用語の活用もうまくできないことがあるので、その都度、社会科の教員と話をしたり、教えてもらったりしながら進めています。

菊地先生 例えば修学旅行で「平和学習をやりましょう」となれば、修学旅行前に社会科や英語科や国語科で原爆など反戦教材を扱うこともあります。

真壁先生 職員室の席が、基本的に学年ごとなんですよね。そうなると、必然的に同じ学年の教員と会話をする機会が多くなります。隣の席が同じ学年の英語の先生だと、今どんな題材をやっていて、こんな様子だったみたいなことが、通常のお喋りとして出るので、英語でこういうことやっているなら、その話をちょっと生徒にしてみようかな、みたいなことは、狙ってどうこうっていうことではなくて、普通にあります。

中村中学校 プラットホーム

中村中学校 プラットホーム

国語を学んで「機に応じて活動できる女性に」

生徒さんにどんな力を身につけて送り出したいですか。

菊地先生 本校は創立116年です。当時、下町では女子教育が遅れていましたので、とにかく女子教育の灯を、というところからスタートしました。建学の精神である「機に応じて活動できる女性を」が、理想の生徒像です。その土台となるのは、やはり国語力だと思っています。先ほどお話しした言葉の使い方然り。問題を解く際には説明文を読むにしても、物語文を読むにしても、1回、自分が引いて、その世界に入ってほしいのです。説明文だったら、筆者が言っていることをまずは受け入れる。賛成反対はその後です。物語文だったら、感情移入せずに、冷静に読み進める。そして言動から、登場人物の性格などを探る、という具合にです。

そのようにして相手の立場に立って想像してみることが大切です。その時に国語力が必要なのではないか。逆に言えば、国語力があれば、ある程度想像がつくと思います。そういうところに気を回せるというか、適度な距離感を持って相手の気持ちがわかるというか、相手の立場に立てるというか……。それができて初めて「臨機応変」ができると思うのです。そのためにも、言葉を増やして、国語的に裾野の広い知識を持った人になってほしいと思っています。なぜ、そこで、その言葉を使うのか。適切な言葉を使って伝えることができれば、人間関係のトラブルをある程度回避することもできるので、臨機応変に活動するには、国語を勉強することが欠かせないと思うのです。

中村中学校 コリドール(図書室)

中村中学校 コリドール(図書室)

言葉を持てる人に育ってほしい

真壁先生 「自分の言葉を持つ」ということを、生徒に伝えるようになったという自覚があります。言動に力がある生徒は、とてもわかりやすいのですが、そうではない生徒でも、意外と何かを書かせたり、ちょっとした言葉のやり取りをしたりすると、「あなた、いいことを思っているじゃない」「いいことを考えているじゃない」ということに気づかせてもらう機会がたくさんあります。

私は読書感想文や、授業でもちょっとしたワークシートみたいなものを使うのが好きなので、全体の中ではあまり声高に発言しないけれど、実はすごく考えていたり、言葉をたくさん持っていたりする子たちに、それでいいんだよと伝えたいのです。私が見つけたら、そこを評価してあげたいという気持ちがあります。いろいろな価値観に触れて、最終的には自分の言葉を自分で信じて発信するなど、言葉を持てる人に育ってほしいと思っています。

大人とたくさん話をしてほしい

最後に小学生へ、メッセージをいただけますか。

菊地先生 僕は大人とたくさん話をしてほしいなと思っています。一番身近には親御さんやご家族がいらっしゃると思うので、とにかく話をして、視野を広げてほしいんですよね。先ほど、日常生活を普通に送ってほしいという話をしましたが、その中でできるだけたくさん話をしてほしいなと思っています。それから、世の中の動きもある程度知っていてほしいです。「今年は万博があったよね」とか、「最近、クマがすごくたくさん出ているよね」とか。そういうことにもアンテナを張っていてほしいなと、すごく思います。受験生であっても、遊ぶことも含めて、日常生活を豊かに過ごしてくれるのが一番大切なことだと思います。

真壁先生 私も実は同じことを思っています。体験が個別化しているという話は、いろいろなところで耳にしていると思います。家族で外食をする際、待っている間にスマホをいじっている場面を見ることが多く、せっかく親子が一緒にいるのに、1人ずつのような感じに見えるのです。そこに家族でいるのなら、やっぱり話してほしいんですよね。言葉にしないと伝わらないから、思っていることを言葉にしてみる。そういうベーシックなコミュニケーションを大事にしてほしいなと思います。親御さんにも、お子さんがやっていることに関心を持って、会話をしてもらえるといいなと思います。

言葉の使い方を意識して自分のものにしていこう

菊地先生 会話を重ねていく中で、(子どもの)ちょっとした間違いを(大人が)すぐに直してあげられるといいですよね。今回の5行問題でも、「家族に積極的に声をかけ、会話を楽しむことに注意して生きていこうと思います」という解答がありました。きちんとまとめていて、きっと真面目に勉強してきている子なのだろうと思いますが、ちょっと違和感がありました。「どういうところに注意して生きていこうと思うか」と聞かれているので、自分の考えをつなげたのだと思うのですが、「楽しむことに注意する」と言うでしょうか。そもそも楽しむは意識的にとる行動ではないですからね。それを周りの大人が聞いていれば、「その言い方はちょっとへんだよ」と、伝えられると思います。

子どもは、なかなか自分では気づけないですからね。

菊地先生 楽しみながら、会話を投げかけて、生活していくことが大事なのであって、「楽しむことに注意する」ではないと思います。中には「注意して」という部分を省いて、「こうやって生きていこうと思う」という書き方ができている子もいました。

真壁先生 言葉が自分に馴染むと、そういうこなれた言い方になるのだろうと思います。

中村中学校 校舎前

中村中学校 校舎前

インタビュー3/3

中村中学校
中村中学校明治36(1903)年、渋澤栄一と並ぶ明治屈指の実業家中村清蔵により、私立深川女子技芸学校として創立される。初代校長に女子教育の第一人者戸野みちゑを迎え、小名木川のほとりに校舎を新築し、現在の中村学園の前身である中村高等女学校として開校したのが明治42(1909)年。教育機関が乏しかった大正時代に”下町の華族学校、中村”の基礎が築かれた。
関東大震災、東京大空襲などにより校舎を3度焼失しながらも、まさに不死鳥の如く復活を遂げ、創立時と変わらぬ精神のもと常に時代のニーズを捉えた変革を続けながら未来を見通した教育を追求してきた。現在、緑豊かな清澄庭園を臨み、落ち着いた環境のなかで6年間のびのびと過ごせる。本館最上階にある図書室「コリドール」からは四季折々の自然風景が楽しめ、東京スカイツリーも見ることができる。
授業時間を確保し、学力を向上させる週6日制。1年生後期から数学・英語の習熟度別授業を導入されている。4年生からは、目的に応じたコース制を採用している。全教員が2~3人の生徒をチューターとして受け持ち、面談等を通じて有効なアドバイスをしながら、進路決定まで担任と二人三脚でサポートする。学習環境等、諸般の事情により家庭で集中して学習できない生徒は、夜の8時まで自学自習の場所と機会を提供する制度もある。
朝のホームルームのうち10分間は「朝読書」の時間。静かな時が流れたあと、落ち着いた雰囲気で1時間目の授業がスタートする。さらに週に1度、洋書の日を設け、多読が推奨されている。また、「読書ノート」を活用し、感じたことや考えたことを言葉にして書き記すことで、インプットしたことを深化させる読書体験を積み上げる。
中学2年が全員参加する「国内Winter School」は、「深川めぐり」を土台とし、歴史(江戸、中村学園)・人物(松尾芭蕉・伊能忠敬)・食文化(深川めし)・文化(祭り・相撲)・隅田川といったテーマを設定し、英語で紹介する3日間のプログラム。2日目に、フィールドワークとして地元深川を外国の方に案内する。各グループに1人のネイティブの教員がつき、スピーキングトレーニング・発音リスニングトレーニング・プレゼンテーションの仕方・テーマ別学習を行い、最終日には英語でプレゼンテーションも実施する。Reading・Listening・Writing・Speakingの4技能だけでなく、コミュニケーション力・プレゼンテーション力をも磨く。中学2年・3年希望者参加 の11日間のプログラムとして、8月の11日間、アメリカ・コロラド州デンバーの現地校などを訪問する「海外SUMMER SCHOOL」もある。基本的に現地学生の家にホームステイし、同じ生活体験を通して活きた英語を体得する。
部活動も盛んである。全国優勝30回以上を誇る伝統あるバレーボール部をはじめ、11の運動部があり、文化部は、吹奏楽や演劇、ハンドベル、中村ならではのボランティア等、15ある。文化祭「清澄祭」は、英語発表会のEnglish Dayを含む盛りだくさんな3日間で、クラスや学年、部活動など活躍の場がたくさんある。