シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

中村中学校

2025年12月掲載

中村中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.読書感想文は中高を通じて継続したい取り組み

インタビュー2/3

読書を推進するためにオリジナルの読書ノートを活用

入学してからのお話を少し伺いたいのですが。国語の特色として挙げていらっしゃる「日本語道場」について、改めて教えてください。

真壁先生 「日本語道場」は、今、取り立てて声高に言っていることではないのですが、やり方などは変わっていません。言語知識がベースになると思っているので、言葉を漢字で書くなど、基本的なことを大事にしています。漢字テストは週に1回以上あります。読書も大事にしていて、中学に関しては、読書ノートを持たせています。本を読んだら感想を書いて、月に1回程度、定期的に提出させています。提出頻度については、教科担当と生徒とのさじ加減で多少ばらつきはありますが、継続してノートを持たせることは意識的にやっています。

また、読書感想文も、今のところ踏ん張って、中1から高3まで夏の課題として必修で課しています。潮時なのか、いや、もうちょっと頑張りたいみたいな、瀬戸際に立たされている感じはあるのですが、やっぱり本を読んで、気づいたことや新しい観点との出会いなどを、そこでとどめないで、自分の言葉で表現してほしいというところはあります。まさに入試の土台にも通ずるものとしてあるので、まだなんとか踏ん張って、やっている感じです。

読書ノートは定型のものですか。

真壁先生 そうです。元々は既成のものを使っていましたが、どんどん読んで、たくさん書く生徒が出てきて、新しいのを買わせるとややこしいので、学校の印刷機で作ることにしました。そういうものを、デザインすることが得意な教員が国語科にいてくれて、オリジナルの読書ノートを作っています。

国語科主任/真壁 美紀 先生

国語科主任/真壁 美紀 先生

読書感想文を書かせるのは伝統

今や、みんなスマホだから、ということもありますか。

菊地先生 そうなんですよね。やっぱり書く機会は失わせたくないので。

真壁先生 「読む」と「書く」を、こっちから働きかけないとちょっと難しくなってきた感覚は、それこそ変化としてちょっとあります。

菊地先生 個人的には今、探究流行りだと思っています。本校でもそれなりに探究活動を進めています。要するに、自分で課題を見つけて、それについてどう考えていくか、ということをするわけですが、読書感想文を書く作業もそういうことで、自分の観点を探して、それについて頭を巡らしていくわけです。だから決して古いものではないと、個人的には思っています。

真壁先生 長い間、読書感想文は宿題として出して、担任の先生に第1次選考をしてもらっています。

菊地先生 僕の知る限り、40年以上続けています。

それは手書きですか。

菊地先生 そうです。B4判400字詰め原稿用紙です。

意図的に書く機会を作らないと、なんでもキーボードか指の操作でできてしまいますからね。

菊地先生 漢字の書き取りで気になるのは、熟語をひっくり返す間違いが多いことです。スマートフォンなどで変換すると漢字が同時に出ますよね。目で覚えていても、いざ自分で書くとなると、順番がわからなくなるんじゃないかと思うんです。例えば「矛盾」だったら「矛」と「盾」、どちらが先だったかなと……。混乱してきてひっくり返ってしまったり、「盾」と書いた下に改めて別の「じゅん」という字を書いて、結果「じゅんじゅん」と読める語にしてしまったり。そういう間違いが圧倒的に増えました。あれ? って思い始めてからはもう10年くらい経つと思います。

なるほど。熟語のまとまりで覚えてしまっているから。 

真壁先生 読書感想文はなんとか粘って続けていきたいと思っています。

中村中学校 読書ノート

中村中学校 読書ノート

意図的に手書きする機会を作らなければいけない時代

生成AIを使っている生徒さんはいますか。

真壁先生 いると思います。

菊地先生 今年発見したのは、「〜ということを、本が静かに教えてくれた」というような、文学的な表現が使われていて、それが複数あったので、これはAIかな、という感じがしました。

ちなみに先生方はchatGPTをはじめとした生成AIを活用していますか。
Googleで検索するとAIの解答が出ますから、意識していなくても、使っていることはありますよね。

菊地先生 人それぞれですが、使っている教員もそれなりにいると思います。

真壁先生 高3生の小論文の授業を担当しているのですが、まさに大学からの入試課題で「生成AIが社会に与える影響について」みたいなテーマで書いている生徒がいました。そのテーマのことが授業で話題になって、普通にAIを使おうと思わなくても、検索しただけで勝手にAIが答えてくれるから、意識を持たなくても、AIと接しているという話になりました。

中村中学校 コリドール(図書室)

中村中学校 コリドール(図書室)

インタビュー2/3

中村中学校
中村中学校明治36(1903)年、渋澤栄一と並ぶ明治屈指の実業家中村清蔵により、私立深川女子技芸学校として創立される。初代校長に女子教育の第一人者戸野みちゑを迎え、小名木川のほとりに校舎を新築し、現在の中村学園の前身である中村高等女学校として開校したのが明治42(1909)年。教育機関が乏しかった大正時代に”下町の華族学校、中村”の基礎が築かれた。
関東大震災、東京大空襲などにより校舎を3度焼失しながらも、まさに不死鳥の如く復活を遂げ、創立時と変わらぬ精神のもと常に時代のニーズを捉えた変革を続けながら未来を見通した教育を追求してきた。現在、緑豊かな清澄庭園を臨み、落ち着いた環境のなかで6年間のびのびと過ごせる。本館最上階にある図書室「コリドール」からは四季折々の自然風景が楽しめ、東京スカイツリーも見ることができる。
授業時間を確保し、学力を向上させる週6日制。1年生後期から数学・英語の習熟度別授業を導入されている。4年生からは、目的に応じたコース制を採用している。全教員が2~3人の生徒をチューターとして受け持ち、面談等を通じて有効なアドバイスをしながら、進路決定まで担任と二人三脚でサポートする。学習環境等、諸般の事情により家庭で集中して学習できない生徒は、夜の8時まで自学自習の場所と機会を提供する制度もある。
朝のホームルームのうち10分間は「朝読書」の時間。静かな時が流れたあと、落ち着いた雰囲気で1時間目の授業がスタートする。さらに週に1度、洋書の日を設け、多読が推奨されている。また、「読書ノート」を活用し、感じたことや考えたことを言葉にして書き記すことで、インプットしたことを深化させる読書体験を積み上げる。
中学2年が全員参加する「国内Winter School」は、「深川めぐり」を土台とし、歴史(江戸、中村学園)・人物(松尾芭蕉・伊能忠敬)・食文化(深川めし)・文化(祭り・相撲)・隅田川といったテーマを設定し、英語で紹介する3日間のプログラム。2日目に、フィールドワークとして地元深川を外国の方に案内する。各グループに1人のネイティブの教員がつき、スピーキングトレーニング・発音リスニングトレーニング・プレゼンテーションの仕方・テーマ別学習を行い、最終日には英語でプレゼンテーションも実施する。Reading・Listening・Writing・Speakingの4技能だけでなく、コミュニケーション力・プレゼンテーション力をも磨く。中学2年・3年希望者参加 の11日間のプログラムとして、8月の11日間、アメリカ・コロラド州デンバーの現地校などを訪問する「海外SUMMER SCHOOL」もある。基本的に現地学生の家にホームステイし、同じ生活体験を通して活きた英語を体得する。
部活動も盛んである。全国優勝30回以上を誇る伝統あるバレーボール部をはじめ、11の運動部があり、文化部は、吹奏楽や演劇、ハンドベル、中村ならではのボランティア等、15ある。文化祭「清澄祭」は、英語発表会のEnglish Dayを含む盛りだくさんな3日間で、クラスや学年、部活動など活躍の場がたくさんある。