シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

中村中学校

2025年12月掲載

中村中学校【国語】

2025年 中村中学校入試問題より

次の文章を読み、後の問いに答えなさい。(設問の都合上、本文を改変、省略したところがあります。)

たとえば美味(おい)しい食事をした時に満足感を覚えたり、ゲームで高い得点を出した時に爽快(そうかい)感を感じたり、スポーツをしている時にワクワクしたり、テストで良い点を取った時には達成感を感じたりしますよね。

そのような感情的に幸せな状態のことを、英語では「ハピネス(happiness)」と表現します。「楽しい」とか「嬉(うれ)しい」といった意味合いで使われる言葉ですが、こうした感情というのは、それほど長く続くものではありません。

それに対して、もう一つ「ウェルビーイング(well-being)」という言葉があります。「ウェル」は良い、「ビーイング」は状態という意味ですから、ウェルビーイングとは「良い状態」という意味で、辞書を引くと「幸福、福利、健康」とあります。身体面と精神面が満たされた広い範囲(はんい)での幸福を示す言葉です。

幸福学が目指すのは、このウェルビーイングの状態です。ハピネスは長続きしませんが、ウェルビーイングは長続きする幸せです。

今、皆さんの心の状態は、良い状態でしょうか?イライラしたり、腹が立っていたり、くよくよしたりしたら、それはウェルビーイングではない状態です。

一方、ウェルビーイングな状態というのは、気持ちが落ち着いていたり、やる気やチャレンジ精神にあふれていたり、周りに感謝していたり、誰(だれ)かと一緒にいる幸せをしみじみと感じているような状態です。

(前野隆司『幸せな大人になれますか』小学館)

(問)本文によると幸福学における幸せは「ハピネス」より「ウェルビーイング」の状態であるということが述べられていましたが、あなた自身が考える具体的な「ウェルビーイング」の状態を一つあげなさい。そして、そのためにどのようなことに注意して生きていこうと思いますか。あなたの言葉で書きなさい。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この中村中学校の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例

心身ともに明るく元気でいて、家族や友だちと楽しい時間を過ごすことが、私にとってのウェルビーイングな状態だ。
そのために、食べ物の好き嫌いをなくしたり、じゅうぶんな睡眠をとったりすることで健康を保ったり、家族や友だちのよいところを見つけて伝えたり、感謝の気持ちを言葉にしたりすることを心がけたい。

解説

文章の中では「ハピネス」と「ウェルビーイング」を分けて説明されています。
「ハピネス」については、「感情的に幸せな状態」、「こうした感情というのは、それほど長く続くものではありません」などと説明されています。
一方、「ウェルビーイング」については、「身体面と精神面が満たされた広い範囲での幸福を示す言葉」、「長続きする幸せ」、「気持ちが落ち着いていたり、やる気やチャレンジ精神にあふれていたり、周りに感謝していたり、誰かと一緒にいる幸せをしみじみと感じているような状態」などと説明されています。
「ハピネス」と「ウェルビーイング」の違いをとらえたうえで、自分自身が考える「ウェルビーイング」な状態を言葉にしてみましょう。
そして、そのためにどのようなことに注意して生きていこうと思うのか説明してみましょう。

日能研がこの問題を選んだ理由

文章中で説明されている「ハピネス」と「ウェルビーイング」の違いをとらえたうえで、自分自身が考える「ウェルビーイング」の状態を挙げ、そのためにどのようなことに注意して生きていこうと思うのかを記述する問題です。

文章中では、「ウェルビーイング」について、「身体面と精神面が満たされた広い範囲での幸福を示す言葉」、「長続きする幸せ」、「気持ちが落ち着いていたり、やる気やチャレンジ精神にあふれていたり、周りに感謝していたり、誰かと一緒にいる幸せをしみじみと感じているような状態」などと説明されています。

どのような状態をウェルビーイングな状態だと考えるのかは人それぞれです。
毎日を健康に過ごせることをウェルビーイングな状態だと考える人もいれば、登下校中に友人と何気ない会話をすることをウェルビーイングな状態だと考える人もいることでしょう。
入学試験の結果はもちろん大切だけれど、これまで努力してきた時間、自分自身の成長を感じること、応援してくれる人への感謝の気持ちなど、入試の日を迎えるまでのさまざまなことも「ウェルビーイング」につながりそうです。
入学試験の真っただ中という緊張感あふれる場面でありながらも、この設問に取り組む中で自分自身の幸せな状態を考えて、ふっと心が軽くなったり、温かい気持ちになったりした受験生もいたのではないでしょうか。
自分自身の「ウェルビーイング」について考えることは、これから先の生き方にもつながっていきます。
この問題が、子どもたちの今後の学びや生き方にもつながっていくことに魅力を感じました。
このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。