出題校にインタビュー!
共立女子中学校
2025年11月掲載
共立女子中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.生徒会選挙でも複数の生徒が立候補。身近なテーマが入試問題に
インタビュー1/3
学校で何かを決めるとき、多数決が最適?
この設問の出題意図からお話いただけますか。
宮島先生 一番は「民主主義ってなんだろう」ということを考えてほしいという気持ちがありました。「民主主義」は言葉にすると少し堅いのですが、学校で何かを決めるとなると、「みんなの意見を反映させようね」と言います。それは「民主主義」を柔らかく表現している言葉だと思います。そこでよく行うのが、多数決です。ですが、多数決って本当にみんなの意見を反映していると言えるのでしょうか。そこにちょっと引っかかりを感じてほしい、というのが、出題の意図になります。
学校生活の中でも、そういう〝決める場面〟があります。国会などでも、基本的に「多数決」を決める手段として使っているので、「それが一番多くの人の意見を反映できる手段だ」と考えている児童は多いと思いますが、本当にそうなのかなと、考えてもらいたいと思って、こうした問題を作りました。
教務部副主任・公民科/宮島 洋子 先生
受験生の解答はさまざま
期待していた答えは出てきましたか。
宮島先生 多数決だったとしても、決選投票にフォーカスして「決選投票的なものが良い」とする答えがあったり、スコアリングルールに当てはめたりした人もいます。それから、一番嫌いなものに投票する「不人気投票」に言及していた子もいました。
菊地先生 確かに「やりたい」に投票すると、「やりたくない」はなかなか反映しづらいですよね。3番目にやりたいのかもしれないし、やりたくないから3番目になってるのかもしれない。わからないので、逆に「不人気投票」という、嫌なものに投票してみようとなると、また違った結果になるかもしれません。希望の度合いというのは、数を数えただけ、あるいは順位をつけただけだと判断できないので、確かに同じことをやっているようで実は違うことなんだと、解答を見て思いましたね。
正答率は低めだった
採点の基準を教えてください。
宮島先生 採点の基準は、2つ設けていました。1つは公平公正の視点で書かれてるか。もう1つはどういう決め方か。その2つがポイントでした。ですから、この決め方は良くない、などという判断はしていません。
菊地先生 本校の社会科の他の記述問題や、国語の問題などと同様に、設問の指示にきちんと対応していれば問題ありません。この問題の配点は2点で、決め方が1点、理由が1点としていました。平均は0.65点、得点率は32.7%でした。記述問題なので、少し低かったですね。
3つ目の決め方は、計算するんですよね。
菊地先生 はい。事例を出しているので、それになぞらえた解答が多かったです。問1で決め方を提示して、問2できちんと説明するという流れで書いてくれているものがほとんどでした。
宮島先生 こちらの意図としては、それに縛られずに、どういう決め方がいいんだろうと考えて欲しかったのですが、この中のどれがいいんだろうというように解釈して書いているような解答が多かったです。多数決ではない決め方、ここにはない決め方も含めて考えていいんだよという中で、「じゃんけん」という解答もありました。
菊地先生 他にも「みんながプレゼンをする」とか、「それぞれのいいところを言った上で、改めて投票する」とか。「全員が納得できるものを選べるようにする」という意見もありました。
共立女子中学校 自習室KSR
最近は生徒会選挙も白熱
宮島先生 今、学校生活の中では、単純に多数決で決めることが多いです。時間がない、それしか知らない、ということもあると思います。様々な決め方があり、決め方が変わると結果が変わることについては高2の「公共」の授業で扱います。今回の自民党の総裁選なり、首班指名でも決選投票が出てくるので、こういう決め方もあるということは授業でも伝えるのですが、自分たちのこととなると、まだまだ、多数決で決めることが多いです。一人ひとりの意見を聞く方法は、時間がかかってしまう、ということもあります。
菊地先生 クラスの中で「多数決」で決める場合は、その日、休んでいる人にも、手を挙げてもらい、票の総数と数が合わなければ、やり直しています。厳密性を重視しているところは偉いなと思います。
生徒会選挙も、以前は1組しか出馬せず、信任・不信任を問うだけでしたが、最近は結構多く立候補するようになって、候補者が多いと票が分散するので、決選投票を何回もやることもあります。過半数の得票を得た候補者がいない場合は、決選投票を行うと生徒会規約に定めているので、決まるまでやっています。
生徒会が学校の決まりを変えていく
菊地先生 7年ぐらい前の話になりますが、僕が担任していた生徒が生徒会長になったときは、まだ信任、不信任で決めていました。あまり候補者は出ていなかったような気がします。
当時、生徒会選挙の日のロングホームルームでは、後半に時間が余ってしまい、何をしようかなと考えなければいけないような感じでした。最近は候補者が複数いて余るどころか、むしろ少し押すぐらいになることが多いです。選挙をどう進めるかについては、選挙管理委員の生徒が考えて、実施しています。
宮島先生 背景として、生徒会活動がすごく活発になったことがあると思います。生徒会が動いて学校の決まりなどを変えていくという動きが、目に見えて出てきたことが大きいんじゃないですかね。生徒は手応えを感じていると思います。
菊地先生 教員のほうも、「これはダメ」と頭ごなしに決めつけず、生徒はそういう風に思ってるんだ、と受け止めるようになってきました。職員会議でも、生徒会が持ってきた提案が議題に上がることが増えてきています。増えれば、採用される件数も増えるので、変化を感じた生徒が〝動かす側〟に興味を持ち始めているのだと思います。
宮島先生 そうですね。変えられると信じて、公約を掲げて、挑戦する生徒が増えています。そういう先輩の姿を見て、自分も続くぞ、という後輩が出てきています。
共立女子中学校 校舎内
インタビュー1/3
1886(明治19)年、当時の先覚者たちが創立した共立女子職業学校が前身。2006(平成18)年に高等学校からの生徒募集を停止、中高の校舎も一体化した新校舎となり、完全中高一貫校に。「女性の自立」という建学の精神と「誠実・勤勉・友愛」の校訓に基づき、どのような場所・場面においても輝き、翔ばたくことができる女性を育成。比較的生徒数が多いこともあり、学校生活は活気に満ちていて、行事もとても盛ん。